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摺り替え、誘導はこの様に

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「そういえば、エレノア。クレア・オーガスティンという女生徒は知っているか?」
「クレア……いえ?ええっとオーガスティン家には成人した御子息だけと記憶しておりますが……娘でございますか?」

こてんっと首を傾げたエレノアにキュンっと胸を鳴らせたメイナードは、コホンと咳払いをした。
 エレノアを迎えに来ること数日。一切クレアの顔を見ていなかったのでエレノア自身は直接接触はなく、存在を知らないのかもしれないなと内心で結論づける。


「ああ、最近庶子を引き取って籍を入れたそうだ。次の貴族名鑑には、修正が入るのではないかな。
 どうやらエレノアとは違うクラスの様だが」
「もしかして転入生でございますか?」
「ああ、そうだ」

「あまり知っていることは……
 ただ、貴族の常識は教わってない様ですので、皆さまが気遣って挨拶をしたり、順序を教えていると伺っておりますわ。
 けれど休憩時間に仲良く声をかけようにも、直ぐ何処かへ行かれてしまうとか……
 あまり続きますと孤立してしまいますし、先生方の目に触れれば、厳しい叱責や補習もありますので、心配ですわ……」

「そうか……馴染めないと悩んでいた様だが違うのだな」

「仕方ありませんわ。貴族の事は、まま有るものですわ。
 でも貴族になられた以上、今のうちに学んで分からないことを聞いたり、失敗をして反省しておかないと、その方のこれからが……」

「学べるうち、やり直せるうちに、か。そうだな」
「そうですわ。皆さま不慣れな方に、喜んで手を貸してくださる優しい方ばかりですわ。もちろん淑女科の委員である私も、喜んで協力するつもりですの」
「フッ頼もしいな」




 と言ったやり取りを昼食にしたメイナードは、自分の教室に向かうと側近達に事情を話した。

 男子生徒が多い戦略科には、科も棟も違うことだし、あまり来ないように言うように指示をした。

 初め側近達は不安気だったが、筋は通っている事、最近淑女科の女生徒から親しげに挨拶されているのを見る事もあり、それもそうだなと納得して最終的にはメイナードの言に従った。
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