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CAT-GPsT

Story 1: main-side chapter-10 【digest turn】

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 さて、前回に続いて
 今回も早川幸雄への復讐の指令を
 CAT-GPsTに実行させてから
 更に次の1週間について話をしようと思う。

 今回の指令は2つ。

 一つは1週間だけヤツに今付き合っている女性との
 楽しい時間を満喫させてやり、
 その上であっさりと別れさせる。

 絶頂からヤツを絶望の淵に陥れるというわけだ。

 更に後になって女性を妊娠させてしまったことが
 発覚するというオマケもつけておいた。

 もう一つが、ヤツを俺の目の前にある
 CAT-GPsTが作り上げた、
 俺の理想ともいえる女性の人形と
 同じ姿に変えてやるということだ。

 まず50%だけ腰とお尻だけを変化させたのだが、
 これは外から見てもわかるぐらいに変化していた。
 このまま徐々にヤツの身体も作り変えていくというわけだ。

 最後に人形と同じ姿になったヤツとこの人形の感覚を接続して、
 部屋に居ながらにしてヤツに女としての快楽を刷り込ませる
 ということも計画の一部としてもちろん考えている。

 最初の1週間を見る限りとにかくすべてが
 うまくいっているように見える。

 しかし、油断は禁物だ。
 慎重に物事を進めなければならない。


 そして、迎えた次の一週間の初日。


 今日、いよいよヤツはあの女性にフラれる日になる。

 しかし、その命令の実行時間は今日の夜だ。

 ある意味でヤツが幸せの絶頂を感じられるのもあと数時間。
 それを考えるだけでニヤリと
 してしまいそうになるのをグッと堪えた。

 朝から上機嫌にヤツが出社してきた。

 どうにもあの女性とうまくいくように指令を出してから、
 とにかく仕事上の不条理な押し付けが全くなくなった。

 仕事に関してはなにも指示をしていないのだが、
 人間というのはちょっとした気の持ちようで
 態度がいくらでも変わるのだなと
 不思議な納得をするのであった。

 夕方近くになってあの女性が
 ヤツの席に向かって歩いている。
 なにやら話をしているが、
 そのまま二人でエレベーターホールへ歩いて行った。
 恐らく今日の夜に予定が入って
 しまったことを話しているのだろうが、
 であれば、その場で話せばいいことだ。

 またなにかやっているのではないか?

 と呆れ半分で想像してみるところだが、
 これはあとでCAT-GPsTで確認するとしよう。

 1時間ぐらいしてヤツが
 スッキリした表情で席に戻ってきた。

 だいたい察しはついたが、
 どうしたものかと呆れるほうが大きかった。

 そのまま終業時間となった。

 いつもならあの女性と共に
 そそくさと会社をでていくヤツが、
 珍しく残業をしている。

 そんなヤツを横目に、
 お疲れ様ですとだけ周りに声をかけて
 さっさとエレベーターに乗り、帰路についた。

 家に帰ってCAT-GPsTをすぐに起動した。

 夕方の出来事を確認すると、
 案の定会社でセックスをしていたようだ。

 どれだけ猿なんだ?と呆れるばかりだが、
 それほど入れ込んでいてくれるほうが、
 この後のダメージも大きいというもの。

 続いて前に出した指令の実行時間を確認すると、
 あと1時間後とのこと。

 一旦CAT-GPsTを閉じて、夕食を食べることにした。
 これほど美味い飯はないというぐらい美味く感じた。

 この後いろいろと楽しみたいところなので、
 続けてシャワーも浴びた。
 ザァーっという水の流れる音で
 興奮した自分を少し落ち着かせる。

 シャワーから出て髪の毛を乾かした。

 先ほど確認をしてから2時間ほどが経っていた。
 そろそろいいだろうと、再びCAT-GPsTを起動した。

 そして、指令の実行状況を確認すると、


 「complete」


 と表示されていた。


 それを確認した俺はCAT-GPsTにこう入力した。



「早川幸雄と付き合っていた女性は別れの連絡をしたか?」



 すぐにこう表示された。



「はい。指令が実行されてすぐに
 早川幸雄に電話で別れを告げています。」



 これほど何もかもが上手くいってよいのだろうか?
 口元が緩んでいるのが見てもいないのにわかる。

 しかし、まだまだこれからが本番だ。
 続いてこう入力した。



「早川幸雄は今、どうしている?」



 しばらくしてこう表示された。



「はい。早川幸雄は呆然としています。
 気が抜けたようにベッドに横になっています。」



 よし、予定通りだ。
 これで復讐の第一段階は終了だ。
 続いての段階に進めるというものだ。

 先週で腰とお尻を50%人形に近づけたので、
 今週は腕と脚、背中とお腹や肩といった全体的なところを
 50%ほど人形に近づけてみようと考えた。



「では、早川幸雄の腕や足、背中やお腹、
 そして肩を50%だけ前に作ってもらった人形と
 同じように変化させることはできるか?」
 


 しばらくしてこう表示された。



「はい。可能です。
 しかし、範囲が大きいため実行に6日間ほどかかります。
 また、今日から5日間の使用回数を
 消費しますがよろしいでしょうか?」
 

 やはり一度に複数部分の変化は負荷が大きいんだな。
 そう実感しながらも、
 6日間でこれだけの変化が起こせるならとこう入力した。



「わかった。では、それを実行してくれ」



 続いてこう表示された。



「わかりました。
 では、実行箇所の順序を指定してください。」



 なるほど。実行順序か。

 なるべき気が付きにくいところからというのが
 やはり効果的だろうとこう入力した。



「最初は足、次に背中、お腹、続いて肩、最後に腕だ」



「かしこまりました。では、その順序で命令を実行します。
 なお、これで本日含めた5日間の使用回数がなくなりました。
 また後日のご利用をお待ちしております。」

 
 こう表示されてチャット画面が閉じた。
 こうして復讐の第二弾の初日は過ぎていった。



 次の日、ヤツは会社を休んだ。



 電話を取った人間に聞いたところ、
 体調不良ということだった。

 よしよし、確実にダメージが効いてる。
 大声で笑いたくなるのをグッと堪えて、
 黙々と仕事をした。



 それから3日間ほどヤツは会社を休んだ。



 さすがに3日目になると人事部が俺の席にきて、
 最近なにか変わったことはなかったか?と聞いてきたが、
 何も知りませんよと白々しく答えておいた。


 そして4日目にヤツはついに会社にきた。



 




 以前のようなどこかわ湧いてくるのか
 不思議だった精気は感じず、
 ただただ、うろたえているのが遠くからでもわかる。

 そして、遠目でもかなり細身になっているのがわかる。

 数日休んでいたので体調不良かな?
 というような印象で周りは見ているだろうが、
 俺は確実に指令が実行されていることに
 心の中で大笑いをしてしまった。


 復帰した日、ヤツは俺のところにきて
 休み中の仕事について尋ねてきたので、
 ざっと状況を説明した。


 目線が安定しないというか、
 どこか遠くを見ているというか、
 想定以上のダメージになっているようで、
 若干可哀そうな気持ちも芽生えそうなものだが、
 今の俺にとってはすべてがうまくいっている
 証拠にしか見えなかった。


 しばらく仕事の話をしてヤツは席に戻っていった。


 確実に物事は進んでいる。

 そう確認する事実を確認できた1日が終わり、
 気が付けばCAT-GPsTの使用回数が回復する日を迎えるのだった。



 翌日、ヤツもさすがに休みというわけにはいかないだろうから
 朝から出社しているが、スーツがダブついているのが遠目にわかる。

 よしよし、今日からCAT-GPsTが使えるということもあり、
 夜、状況を確認しようと一段と仕事に気合が入った。

 そして1日はあっという間に過ぎ去り、
 帰宅してCAT-GPsTを開けている。

 久しぶりに見るチャット画面だが、すぐにこう入力した。



「別れを告げられたあとの数日、早川幸雄はどんな風に過ごしていた?」



 しばらくしてこう表示された。



「はい。早川幸雄は何も手につかず
 とにかくずっとゴロゴロとベッドの上で横になっていました。
 その後、なんとか会社に出社しましたが、
 別れを切り出されたことで頭がいっぱいになっており、
 仕事もあまり進みませんでした。」


 

 よしよし。素晴らしい成果だ。続いてこれも確認しよう。



「早川幸雄を人形に近づける指令は実行されたか?」



 すぐにこう表示された。



「はい。すでに大部分の変更が完了しております。」



 よし。これでだいたいの準備は完了だ。



 ここからは一気に変化を起こしていきたいところだが。
 どんな指令を入力していくか?
 しっかり考えなければならない。
 今日の夜はとても長い夜になりそうだ。



 こうしてあっという間の6日間がまたも過ぎ去った。

 全てが計画通りに進んでいる。
 CAT-GPsTの凄さは疑う余地はない。

 そして、いよいよこれから
 ヤツを造りかえる作業にはいる。
 俺の本当の復讐はここからだ。

 一体この復讐のあとにどんな結末が待っているのか?

 そんなことはこの時全く知る由もなかった。
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みんなの感想(1件)

白鷺雨月
2023.09.03 白鷺雨月

続きが気になります‼️

解除

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