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Attractive tablet

introduction ~ 1st sectiont - contact

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■introduction


なんで、こうなるのよ。

付き合って3年になる彼から突然の別れを切り出された。

そりゃ、ちょっとワガママも言ったし、
エッチだってあんまりしてあげなかったけど、
それでも「もう無理」ってなによ。

なんとも言えない喪失感を紛らわすように、
自分に問いかけていた。

先月27歳になったばかり。

そろそろ結婚も考えはじめていたのに。

いくつもの後悔が頭をよぎる。

しかし、こうなってしまったからには、
前を向くしかない。

とはいえ、こうやって別れを突然切り出されたのは
今回が初めてではない。
何回も見た光景。

根本的に女としての魅力に欠けているのかなぁ?
ちょっと自信を無くしてしまう。

なんか、こう、世の中の男ども振り向くような、
魔法みたいな何かはないのかしら?

ふと、そんなことを思い浮かべて、
何気なくインターネットで検索をしてみた。

そう、それが、まさかあんな出来事になるなんて。
その時は知りもせずに。



■1st sectiont - contact


突然、どこからか魅力があふれ出るようなものが、
そこらにあるはずがないことは、
言われるまでもなくわかってる。

でも、そんななにかにでもすがりたい!
と考えてしまうのも、
また人間の弱さなのかもしれない。

そんな自問自答をしながら、
なんとなく眺めていたインターネット検索で、
なんとも気になるサイトを見つけた。

”あなたの人間としても魅力が増大するサプリメント
「Attractive tablet」 モニター募集中!”

これはなんと読むのだろ?
英語は苦手なので、翻訳ツールで日本語にしてみた。

「魅力的なタブレット」

名前がそのまますぎて苦笑い。
モニターってなんだろう?と、詳細を開いてみた。

そこを読んでみると、
”この新開発のサプリメントは、
1週間飲み続けると、生きる活力がアップして、
内側から自信が湧いきて、誰からも魅力的な人間になれる!”
だって。

とにかく胡散臭いなぁとしか感じだったけど、
藁にも縋る心境だったし、、
まぁ、モニターだし応募してみようと、
申し込みフォームから応募してみた。
そう、とっても軽い気持ちで。

その日はそれも含めて、
いくつかのサイトを巡ってみた。
当然だけど、これというものはないよね。

そんなことをしたことも数日すれば忘れてしまう。
女とは切り替えの早い生き物だね、
と、自分でも関心しちゃう。

その日はすぐにシャワーを浴びて寝ちゃった。

翌朝、いつものように会社に出社して、
そつなく仕事をこなしていく。

そろそろ婚活が話題になる年代が増えた職場で、
それとなく話を合わせたりね。

そうして1日が終わり、家路につく。
これといった趣味もない私。
どこかに寄り道をするのも面倒だし、
まっすぐ自宅に向かうことにする。

マンションのオートロックを解除して、
習慣でポストを確認すると、
なにか小さな荷物が届いていた。

特に怪しむこともなく、それを手に取り、
エレベーターに乗って部屋に向かう。

部屋のあるフロアに到着すると、
エレベーターのすぐそばにある
自分の部屋の鍵をあけて、
誰もいない真っ暗な部屋に入る。

電気をつけて、とりあえず手洗いとうがい。
最近、これは習慣になっている。

そして、すぐに楽な部屋着に着替えて、
夕食を準備する。

毎日疲れて帰ってくるから、
週末におかずはまとめて作っているの。

その作り置きのおかずと冷凍ご飯を解凍して、
さっさと夕食を終えちゃう。

そして、リビングのソファーに腰を下して、、
テレビをつけた。
なにを見るというわけでもないんだけど、
音がない空間よりはマシっていう感じ。

そういえばと、さっきポストに入っていた荷物なんだっけ?
と手に取ってみる。

差出人は見たこともない製薬会社。
とはいえ、あて先は間違いなく私。
とりあえず開けてみちゃうかと開封。
中にはなにか手紙と瓶のようなものが入っていた。

その手紙にざっと目を通して、
これがなにかすぐにわかったの。

この間、ふと気になって応募したモニターの商品みたい。
そっか、当選したのかと続きを読んでみた。

簡単に言うと、この瓶に入っているのが、
新開発の人間的な魅力があがる!
というサプリメントで、
1日1錠寝る前に飲んで、
朝の気分を指定のメールアドレスに、
報告をするというものだって。

しかも、必ずやらないといけないものでもなくて、
返送することも可能みたい。
ご丁寧に返送用の封筒も入っていたり。

正直、かなり怪しいなぁって感じだけど、
この製薬会社のウェブサイトが書いてあったから、
一応見てみたんだけど、実は様々な薬を開発している
大きな会社だってことは間違いないみたい。
それだけじゃどうなんだろう?と、
会社名だけで検索してみても、特に怪しいものはでてこなくて、
色々な学会の名前や論文なんかがいっぱいでてくるだけ。

これはもしかしてすごいものに出会っちゃった?!
と少しドキドキしてきちゃった。

色々調べてみて、
改めてモニターの手紙を読んでみても、
変わったことは書いてなくて、
あえてあるとするならば、
気分が悪くなったりしたら、
この会社まですぐに連絡するように、
というぐらい。

いろいろと自信をなくしていたこともあるし、
まぁ、少し試してみるかな?ぐらいの感じで、
その日の夜からそのサプリメントを飲んでみることにした。

報告用のメールアドレスは、
一応スマホのアドレス帳に登録しておいたり。
報告の質問事項はいくつかあったので、
それもすぐ送れるように一つ下書きのメールを作っておいた。

そんなことをしているといい時間になっちゃったから、
とりあえず、お風呂にすることにした。
シャワーで身体を洗って、湯舟に少しだけ浸かる。
裸になった自分を見て、いつも考えるのだけど、
そこそこ胸は大きいし、形もいい。
スタイルだって、バカにされるほどひどくないけど、
やっぱり顔が平凡。
そうやって、毎日自信を無くす。
いい加減のこのループを断ち切りたいというのは本音。

そんなことを考えながら、体も温まったのでお風呂からでて、
身体を拭いて、タオルを身体に巻いた。
そして、肩にかかるぐらいの髪の毛を乾かしていく。
少し切ろうかなぁ?なんて最近考えちゃう。
この乾かす時間が面倒なんだもん。

そうこうして、髪の毛を乾かし終えて、パジャマに着替えた。

さてとっと、先ほどのサプリメントが入った瓶を手に取ってみる。
ラベルもない瓶にピンク色の錠剤が入っているだけ。
それを1粒取り出し、意を決して口に入れみる。
そして、水で飲みこんでみた。
別に変な味はしなかった。

これ、もしかしてすぐになにかおこっちゃう!?
と変な期待もしてみたけど、どんなことは全然なかった。
ちょっとだ様子を見ようとスマホをいじって、
時間を潰してみたいけど、ほんとなにもおこらなかったから、
そのままベッドで横になっちゃって、自然と眠りについてた。


この最初の日のことを後から思い返してみると、
こんな気楽に話していい1日じゃなかったのかなぁ。なんて。

まさか、朝起きてあんなことが起こるなんて考えもしないじゃない?
続きはまたね。
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