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SOUZOUドロップ

被験生活 19日目

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珍しい夢を見た。
以前の男だった自分の人生を振り返るような夢。
小さな頃からいろんなことがあったなと、
第三者的に眺めている。
なんだか自分のことではないように感じる。

そこで目が覚めた。



ここのところいろんなことを忘れるばかりだったのに、
今日は以前のことが鮮明に思い浮かんでくる。
ここでふと気がついたのだが、
色々と上書きを繰り返されていたので、
反動で一時的に以前の記憶などが蘇っているのかもしれないと。
自分がどんな人生を歩み、どんな人間だったか?
もう思い出すことがないかもしれないなと、
寝起きそのままにパソコンを開いた。



そう、もうお気づきだろうか?
いま、こうしてお話している内容はこの時に記録したものを
もとにお話しているのだ。




記憶が定かなところから思い出すことをどんどん記録していった。
一部、下手ながらに自分の似顔絵のようなものや、
声の特徴なども記録していった。

気がついたら2時間そんな作業をしていた。
さすがに疲れたので、歯を磨き顔を洗うために洗面台にむかった。



鏡に映る美女が自分なのかという違和感を久しぶりに感じた。
おそらくこれは一時的なものだろうなと改めて考えた。



歯を磨き、顔を洗った。
洗顔フォームを使っての洗顔は身体が覚えているので、
無意識にできたのだが、先程の違和感をここでも感じた。

顔を拭いて、今日は薄化粧でいいかと簡単に化粧を済ませた。
髪の毛も軽くブローして一つに結んだ。



思えば朝ごはんも食べていなかったので、
パンと珈琲を用意して、軽めではあるが朝食をとった。




食べ終わると着替えたをしようとウォークインクローゼットに向かった。
まだ作業を続けたかったので、シャツにGパンにした。



姿見に映る自分がやはり他人に感じる。
と同時に、ものすごい色気を感じて不思議とムラムラした。

しかし、今作業をしないと全てを忘れてしまう恐怖感がそれを上回った。

すぐにパソコンに戻って作業を続けた。
必死に思い出しては記録するを繰り返してみると結構な文量になる。
そして、自分の人生が悪いことばかりではなかったのかな?
と振り返ることができたのはちょっとした収穫だった。



そのまま作業に没頭していたらお昼になった。
まだやり残したことがあるように感じて家で食事を済ませることにした。

パックのご飯があったので、それを使ってオムライスを作った。



午前中ずっと作業ばかりだったので、少しゆっくりと食事をして
食後の珈琲をゆったりと楽しんだ。



食事を終えてそのまま作業を再開した。
だいたい記憶にある限りのことは記録した時に、
そうかここに記録した人間はすでに死んだ事になっているんだなと、
なんだか寂しさを覚えた。

とはいえ、1人の人間を死んだことにして新しい戸籍を作れる組織の監視下にある以上、
妙な疑いは自分の身を滅ぼすことになることはなんとなく理解していた。

その後、一通りのことを記録し終えたところでまず印刷を開始した。



こういうものは複数の保存をしておくことが大切であり、
いつか自分の為になるような気がしていたからだ。

相当数の印刷を終わらせてあと、データをDVDに記録した。
まずはDVDを金庫があったのでそこに保管した。
紙については輪ゴムでまとめて本棚に入れた。

組織にとって都合が悪いようならすべて消されるだろうが、
そこまでするとは思えないが念には念を入れて分散してみた。

こうして突然戻ってきた記憶を記録する作業で一日が終わろうとしていた。
もう外は夕暮れという時間だ。



ずっとキーボードを叩き続けたので少し休憩しようと珈琲を用意した。
ラジオを流しながらゆっくりと珈琲を楽しんだ。

そうしているともう夕食の時間だ。
一日あまり動いていないので、夜はサラダとスープとパンで軽くすませた。



食べ終わってリビングで少しゆったりと過ごした。
一日必死に頑張ったのか少し気が抜けたような時間になった。
しばらくしたときに昼に感じた妙なムラムラが突然襲ってきた。

身体が一気に熱くなる。
熱くなるというか火照っているというべきか。
今日は男の自分の自覚が強い日ということもあるのか、
久々に感じた女性に対するムラムラ感が頭を支配しはじめていた。

もう忘れたはずのアレが大きくなる感覚やそこから液体を放出する快感などが、
どんどんイメージされる。
下半身が熱く感じ始めた。

しかし、目に見えるのは完全な女性の身体。
だが、その自分の身体に興奮を覚えている自分がいた。

なにかのスイッチが入ったように全ての服を脱いで全裸になった。



男性の目線での女性の胸を揉んでみたい、アソコを触ってみたいという
欲望がどんどん湧き上がってくる。
不思議なことにそれにただ従ってしまう自分がいた。



胸を触り乳首をつまむと身体に快感が走る。
あそこをゆっくりと指でなでながら、その上の小さなアレを指先でこすると、
徐々に大きくなる。
そして、だんだんと身体中が快楽に支配されていく。

不思議なことに先程まであれほど男性的に感じていた興味が、
女性自身が気持ちいいと感じるところへ戻っていくのが自分でわかった。
そう、女性である自分が気持ちよくなりたいという変化だ。

そのままアソコと胸を触っているとすぐにイッってしまった。
下半身がビクビクと痙攣するが、快楽はどんどん湧き上がってくる。
続けて自分で触り続けるとすぐにイッってしまう。
そのたびに目の前が真っ白になる。



気がつけば1時間ほどそんなことを繰り返していた。
もうヘトヘトになっていた。
やっと快楽の波がおさまってきてふと自分をみると床が液体でびっしょりだった。

このままでは落ち着かないので、まずは床を拭いて服をもって浴室に向かった。



ベタベタになった身体をシャワーで流した。
今日一日感じていた自分が女性であることへの違和感はほぼほぼなくなってきていた。
やはり、一時的な現象だったんだなと。
また、それをもとに戻すために先程の興奮が発生したのだろうと考えた。

シャワーを浴びてスッキリしたので部屋着に着替えて少しゆったりと過ごした。
一日作業ばかりだったので気が向くままにWEBを眺めていた。

そうしているとそろそろいい時間になった。
今日もドロップを舐める時間だ。
昨夜のこともありどういう状況になるのかまったくわからない。
もしかするともう一度シャワーを浴びて着替えることになるかもしれないなと、
一旦部屋着を脱いで浴室にあったバスローブに着替えた。



そうしてリビングにドロップとAVを用意した。



AVをプレイヤーにセットしてドロップを口に含んだ。
いつものようにあっという間に液体になるのを、
ゴクリと飲み込んだ。
そして、AVを再生した。



もう、そこに映っているのが自分であるという感覚は変わることがなかった。
そして身体の奥底から快楽が湧き上がってくるのももう慣れたものだった。
しかし、今日は一段と身体がリアルにある現象に反応した。

そう、挿入された瞬間だ。

いままではそれ事態は気持ちいいという感覚ぐらいだったのだが、
今日は身体の中に実際に挿入されているかのような、
身体の中をえぐられるような、経験したことのない感覚がおそってきた。
同時にとても強い快楽が身体を支配する。

あぁ。。。本物を挿入されたらもっと気持ちいのだろうか
そんなことが自然と頭に浮かんできた。

しばらく挿入シーンとほぼ同じ感覚を感じ続けた。
女優がイクと自分もイク。
もう何度も何度も頭が真っ白になる。
ただただ、その快楽に身を任せるしかなかった。



また1時間程度が経過してやっと気持ちが落ち着いてきた。
これ以上はもたないとAVを停止した。

まだ身体の中に明確な感覚が残っている。
そして、SEXをしてみたいという強い衝動が脳に浮かんでくる。
しかし、いまの身体はどういう状態なのかわかっていないことも多い。
一度正直に明日窓口に相談してみようと気持ちを整理することができた。

その後、シャワーを再び浴びた。



やはり身体のあちこちが敏感であり、股間はびっしょりだったので、
しっかりと洗い流した。

そして身体を拭いて、髪の毛を乾かしているとあの強烈な眠気が襲ってきた。
なんとか髪の毛を乾かし終えると、部屋着に着替えてフラフラな状態で
ベッドに倒れ込んだ。
そして、そのまま深い眠りについた。



こうして19日目の被験生活が終わった。

いま、皆さんにお伝えしてる内容の半分以上はこの日に記録したものでした。

次からはこの後どうやって生きていくことになったのか?
をお伝えできたらと思います。
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