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男は語る
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「夢の叶え方を知っているかい?」
俺はそんな言葉が脳に焼き付いたまま目を覚ました。
変な夢を見たものだと、飯を食って歯を磨いた。
中学を出て、高校は中退。まだまだ遊び盛りで、今日もツレと原付に乗って遊びに行く。
いきつけになった定食屋でオヤジがいつものチキンカツ定食を作る、大根おろしにポン酢がカツの上に乗っていてそれがまたうまい。
「おい、タケシこれ見てみろよ。」ツレがスマホ画面をよこす、ガキが先生にプリント渡すように。
映っていたのは最近ハマっている動画配信者らしい。男の背景にはインドみたいな建物が映っている。
「これにてインドでバックパック旅終了!」どうやらインドの映像で間違いない。
「今回インドに行って僕は人生変わったよ!みんなも一度は行ってみてねー!」
その後いつもの挨拶なのか知らないが謎の締めくくりで動画は終わった。
「人生変わったって何言っとるんじゃろうなこいつ。」とツレは方言を交えてケラケラ笑う。
俺も同調して笑った、バカがバカを見て笑っているっていうのがこの時は当てはまったんだろう。
笑いながらぬるくなった味噌汁を飲んで店を出た、次の日俺はパスポートの取り方を調べた。
金がかかることがわかった、親には頼めなかった。普段から遊んでばかりで金をくれとは言えなかった。だからバイトを探した。
引越しのバイトでは家具を壊してしまい謝ったが社員のジジイにネチネチと怒られ続けた、なんでこんなにとも思ったがジジイはバイト後に会社で怒られていた。居酒屋のバイトでは言葉使いが悪くスーツを着たオッサンに怒られた。ムカついていたけど、それが店長に見透かされていたのか叱られ、言葉使いの練習をした。再び出会ったときオッサンは笑いながら一杯奢ってくれた。
俺はバイトを続けた、脳に焼き付いた言葉が行き先を示してくれているように思えたから。
ある日の朝母さんがお金をくれた。小遣いではないことが封筒の厚みでわかった。父さんからと母さんのへそくりをちょびっと、らしい。
パスポートを取り、俺はカバン一つでインドに行った、そこで俺は。
「インドに行って変わったって言う人いるけど、お兄さんは何が変わったと思うの?」目の前の青年が問いかける。
酒が回っていても臭いことを言えなかったから「いい質問だね。」と調子良くはぐらかした。「夢の叶え方を教えよう。」俺は語り出した。俺は一つ確かなことを知っていた。興味深そうにキラキラした目で青年は聞いている、もしかしたら俺が錯覚してるのかもしれないが。
「夢の叶える秘訣はみんなに応援してもらうことなんだ。いや応援はまた違うか、俺の夢を理解してもらって、どんどん広げて大きい波みたいにすることなんだ。」俺は熱心に自分の考えを投げた。投げ続けた。
不意に、俺はとんだ恥ずかしいことを言っていたことに気づき、隙をみてトイレに向かった。
夢を叶える秘訣を語る人はたくさんいた。どれも当たり前のようで、薄っぺらいように思えた。
でも、今、僕の目の前にいる純粋そうな男が語る夢の叶え方には重さがこもっているように思えた。
男がトイレに立つと、気を遣ってくれたのだと理解し、僕はお会計を払って店を出た。
俺はそんな言葉が脳に焼き付いたまま目を覚ました。
変な夢を見たものだと、飯を食って歯を磨いた。
中学を出て、高校は中退。まだまだ遊び盛りで、今日もツレと原付に乗って遊びに行く。
いきつけになった定食屋でオヤジがいつものチキンカツ定食を作る、大根おろしにポン酢がカツの上に乗っていてそれがまたうまい。
「おい、タケシこれ見てみろよ。」ツレがスマホ画面をよこす、ガキが先生にプリント渡すように。
映っていたのは最近ハマっている動画配信者らしい。男の背景にはインドみたいな建物が映っている。
「これにてインドでバックパック旅終了!」どうやらインドの映像で間違いない。
「今回インドに行って僕は人生変わったよ!みんなも一度は行ってみてねー!」
その後いつもの挨拶なのか知らないが謎の締めくくりで動画は終わった。
「人生変わったって何言っとるんじゃろうなこいつ。」とツレは方言を交えてケラケラ笑う。
俺も同調して笑った、バカがバカを見て笑っているっていうのがこの時は当てはまったんだろう。
笑いながらぬるくなった味噌汁を飲んで店を出た、次の日俺はパスポートの取り方を調べた。
金がかかることがわかった、親には頼めなかった。普段から遊んでばかりで金をくれとは言えなかった。だからバイトを探した。
引越しのバイトでは家具を壊してしまい謝ったが社員のジジイにネチネチと怒られ続けた、なんでこんなにとも思ったがジジイはバイト後に会社で怒られていた。居酒屋のバイトでは言葉使いが悪くスーツを着たオッサンに怒られた。ムカついていたけど、それが店長に見透かされていたのか叱られ、言葉使いの練習をした。再び出会ったときオッサンは笑いながら一杯奢ってくれた。
俺はバイトを続けた、脳に焼き付いた言葉が行き先を示してくれているように思えたから。
ある日の朝母さんがお金をくれた。小遣いではないことが封筒の厚みでわかった。父さんからと母さんのへそくりをちょびっと、らしい。
パスポートを取り、俺はカバン一つでインドに行った、そこで俺は。
「インドに行って変わったって言う人いるけど、お兄さんは何が変わったと思うの?」目の前の青年が問いかける。
酒が回っていても臭いことを言えなかったから「いい質問だね。」と調子良くはぐらかした。「夢の叶え方を教えよう。」俺は語り出した。俺は一つ確かなことを知っていた。興味深そうにキラキラした目で青年は聞いている、もしかしたら俺が錯覚してるのかもしれないが。
「夢の叶える秘訣はみんなに応援してもらうことなんだ。いや応援はまた違うか、俺の夢を理解してもらって、どんどん広げて大きい波みたいにすることなんだ。」俺は熱心に自分の考えを投げた。投げ続けた。
不意に、俺はとんだ恥ずかしいことを言っていたことに気づき、隙をみてトイレに向かった。
夢を叶える秘訣を語る人はたくさんいた。どれも当たり前のようで、薄っぺらいように思えた。
でも、今、僕の目の前にいる純粋そうな男が語る夢の叶え方には重さがこもっているように思えた。
男がトイレに立つと、気を遣ってくれたのだと理解し、僕はお会計を払って店を出た。
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