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Ⅹ 辿り着いた幸せ

③※

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 カロール殿下と東屋の小休憩を楽しんだ。穏やかに微笑むカロール殿下が「ハカルたちを王城に戻そう」と提案してくれて嬉しかった。カロール殿下がリンの手首のリボンを解いた。もう目に見えた繋がりが無くても大丈夫だから。部屋までエスコートされて戻った。まるでお姫様になったかのような丁寧なエスコートを受けてリンの頬が真っ赤になるほど恥ずかしかった。そんなリンを見てカロール殿下は嬉しそうに笑っていた。

 カロール殿下の居室に戻るとすぐに侍女を下がらせてリンにキスをする殿下。そのまま抱き上げられて浴室に向かう。
「もう背中を見てもいいでしょうか」
カロール殿下に聞いてみた。

「いいよ。リンがリーン殿下のふりをしていたとき、俺の前から消えようとしていたのが分かった。辛いことが多くて、もうリンとして戻ってくるのが嫌になったのかと不安になった。だけど俺はリンを手放したくなかった。その後、もし記憶をなくしたリンが背中を見て思い出したら、きっと俺を許してくれないと思った。リンを護れない情けないアルファだと嫌われると思い、怖かった」
カロール殿下を見つめる。

「何?」
「いえ、アルファでも怖いとか思うのですね。普通な考えに驚きました」

「ブハッ! さすがリンだ。アルファとは言え俺は人間だ。ん? リン。まさかと思うが、今のは『アルファ王子に嫌われるための作戦』ではないよな?」
確かに『アルファ王子に嫌われるための十の作戦』にそんな内容の項目がある。リンが王城に来た頃を思い出し、互いに服を脱がせ合いながら笑った。

 発情期ではないが互いのフェロモンが混じり合って鼓動が高まる。裸のカロール殿下は彫刻のように逞しく美しい。濃い茂みに存在感のある男根。そっとリンが触れるとすでに固くなっている。張り出たカリが艶めかしくて、リンの心臓がドキリとする。もう少し触ってもいいのか悩んで手がモジモジしてしまう。

「ブハッ!」
途端に笑う殿下。
笑われると急激に恥ずかしさが増してきてリンの顔が熱くなる。カロール殿下から離れようとしたが。

「ごめん。可愛い口からヨダレが垂れている」
はっとして口元を手で拭う。確かにヌルリとした感覚。恥ずかしすぎてリンは背を向ける。

「……もう、嫌いです。見ない振りしてくれても良いじゃないですか。意地悪です」
下を向くリンを後ろからカロール殿下が抱きしめる。

「リン、ゴメンって。可愛らしかったという意味だよ。さ、背中のガーゼ取ろう。一緒にラブラブ風呂してゆっくり愛し合いたい」
「なんだか、発言がドーラ殿下じみて来ましたね」
カロール殿下の発言と思えずリンが笑う。

「そうかもな。ドーラの自由さを見たら、俺も我慢しなくて良いのかもって思えたからな」
ゆっくりと背中のガーゼが剥がされる。リンは目を閉じずに鏡で背中を見た。久しぶりの自分の背中。見慣れた焼き印と鞭の痕のはずだが、少し違和感がある。

「色が、少し薄くなりました」
「うん。どうにか治してあげたくて。最高級の皮膚治療薬を塗っている。でも、医者はこれが限界だろうって」
以前の赤黒い火傷の痕から黒茶色になっている。鞭の痕は茶色に薄く残るのみ。

「十分です。僕はコレを見られるのが怖くて仕方なかったのです。カロール様に嫌われたくなかったから。罪人の印がある汚くて醜い僕はいらない、と言われるのが怖かった。殿下に処刑される惨めな自分を考えたく無かったのです」
悲しい気持ちを思い出すと急に背中が痛む。骨まで響く痛みに自分の肩をギュッと抱く。

「リン、そんな風に思わないで。この傷は俺が一生背負う『俺の罪』なのだ。俺はこれから先、リンを幸せにするよう国政の安寧と豊かな経済国家をつくることを誓う。その全てはリンのためだ。リンへの償いと愛だ」
背中の傷に触れる何か。はっとして鏡を見れば、焼き印にキスをするカロール殿下。

「お、おやめください。皮膚が焼けて汚いですから」
「いや。リンの全てが俺のもので、リンは全てが美しい。愛らしい俺のリンだ」
殿下が背中にキスをするとそこから身体に温かいものが広がる。

 そのまま二人で浴室に入る。笑いながら大量の泡を作り互いの身体を洗った。カロール殿下を泡で包むと巨人のようで面白かった。そして筋肉質の大きな身体に終始リンの心臓がドキドキと高鳴った。自分の貧相な身体が恥ずかしくて背を丸めて隠れたくなった。そんなリンを殿下が「可愛い」と抱きしめてくる。リンとは対照的に、裸の殿下は堂々としていた。

一緒に浴槽に入る頃には互いに完全に勃ち上がっていて、どうしても殿下の男根に目が行ってしまった。大きくて、すごい存在感だから。
「触る?」
目線が釘付けになっていたのがバレていてリンは一気に恥ずかしくなる。

「さ、触る? 何を言っているのですか!」
「脱衣所でも触れたじゃないか。今更恥ずかしがるな」

リンの手をカロール殿下の男根に誘導される。大きなそれに恐る恐る触る。湯の中でも分かる熱。ほかのどの皮膚よりしっとりとしている。遠慮がちに触れるリンの動きにグンと大きくなる男根。驚いて手を離す。

「もういいの? じゃ、俺の番」
「うわっ」
リンを膝の上に乗せるカロール殿下。

 密着する背中にカロール殿下の男根がグリグリ当たる。リアルな感覚に背中を反らせた。だが、カロール殿下がリンの男根を手で包み込み優しく刺激し始める。その刺激に耐え切れずリンが猫背になる。背中に当たるカロール殿下の起立がヌメヌメしているのが分かる。心臓がドキドキするとリンのお腹がキュンとする。太ももに力が入る。「んぅっ」と小さく声に出すと「可愛い」と耳元に低い声。リンの男根の割れ目をなぞるように刺激される。たまらずに腰を動かし「あぁ!」とリンの声が漏れる。

「お湯の中でもヌメヌメしているって分かる。ほら」
鈴口をナデナデされると自分の先走りが出ているのが分かって辛い。ふぅふぅと荒い息を繰り返すと、自分の胸が喘いでいるように上下している様子が見える。それに合わせるようにカロール殿下が腰を突き上げる。リンの背に大きなものがグニグニ当たる。

「リン、背中は痛む?」
「はう?」
気持ち良さに集中していて何を言われたか理解できない。薄ぼんやりカロール殿下を振り返ると雄の顔をしている殿下と目が合う。そのまま顎を捕らえられ貪るようなキス。

キスの間もリンの男根は手淫を続けられてリンは身体をビクつかせながら湯の中に射精した。小さな悲鳴を上げていた。目の前にチカチカと星が煌いた。

「あぁ、良い匂いだ。発情期ほど狂う様な匂いじゃないのが良い。ほろ酔い気分だな」
殿下を見つめるとこれ以上ないくらいに幸せそうに微笑まれる。綺麗だなぁと見惚れた。

「リン、大丈夫?」
「……はい。すごく、気持ちが良くて……」
「うん。俺も。ゆっくり愛し合うのもいいね」
ふふ、と笑い合って湯から出る。リンの身体を拭き上げてくれて裸のままベッドに行く。明るい時間にこんなことをしている不道徳感。発情期じゃなくても愛し合う特別感。理性が残っているせいか、その全てに興奮した。
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