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Ⅰ竜になれない竜人皇子と竜人子爵の優愛

広がるアレクの世界

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<アレク皇子>
 「素晴らしかったです。殿下に皆様が釘付けでしたよ」
「成人の儀も、会食でも、殿下の美しさに皆様が見惚れておいででした」
「殿下のお噂がすごいですよ。天使のほほえみとか、神の御使いだとか。とにかく、本日もお誘いが山のように来ております」
「……ありがとう。全てランドールに渡しておいてください」
侍女も侍従も、姉さま方の成人祝賀会の日の話題でニコニコ話しかけてくる。これまで静かに遠巻きにされていたのが嘘みたいだ。
貴族からのお茶会やダンス会(僕が出られるわけない)など、あの翌日からお誘いだらけ。すべてランドールに断ってもらっている。これまでの静かな日常が変化した。

そして、変化と言えば、毎日顔を出すオリバーとカイト。姉さま達は三日に一回。お茶を飲んだり、少し一緒に歩いたり。「リハビリだよ」と言われて、オリバーの部屋や、カイトの部屋まで行くこともある。
大きな画面で映画を見たりもした。僕は、周囲の色々を見たくなくてテレビも置いていない。近代的な二人の部屋に驚くばかりだった。ランドールは、それぞれ落ち着く空間が違うのですよ、と微笑んでいた。
歩くのにちょっと疲れると途中で横抱きにされてしまう。今では、目隠しされて横抱きにされても、三人のうち誰に運ばれているか分かってしまう。ランドールに抱えられ慣れているとはいえ、同い年の兄弟に運ばれるのは男としていいのだろうか。
「離れていた分、スキンシップをとりたいのですよ」
そう言うランドールの言葉は穏やかだが、表情は険しい。
活動量が増えた分、食事量も増えた。これにはランドールが心から喜んでいるのが分かった。食事がおいしい。夜もよく寝られる。なんだか引きこもっていた自分がバカみたいだ。日常にワクワクと楽しみができた。
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