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Ⅰ竜になれない竜人皇子と竜人子爵の優愛

第二皇子カイト

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<カイト皇子>
 父上は、やはり素晴らしい。陛下としての統治も父親としても。感謝と尊敬。俺もこうなりたいと思った。今日、俺たち家族の絆をつないでくれたのは間違いなく父上だ。この絆を深めていくのは、俺たちのやるべきことだ。

 父上の退出後、ランドールが急にアレクの足を出した。白く透き通るような足に見入ってしまった。細く、余分な筋肉のない柔らかそうな足。足首から足趾にかけて、片手で包めてしまいそう。右足は、すらりと伸びやか。艶めかしさにドキリとする。
左足、そこには大きな傷跡。傷跡周囲で凹凸がある。痛々しい。申し訳なさが沸き上がる。すぐに右足が隠されてしまい、左足のケアをランドールが行う。どうしたらいいか分からない俺たちは見守った。アレクの休息を妨げないことが、最善だろう。
「……ふぅ、……ぅ」
顔の半分がタオルで隠れているアレクの口から、時々艶っぽい声が漏れる。声が漏れるときに見える、小さな口からのぞく粘膜の赤さ。心臓の裏側をくすぐられたような妙な感覚。自然と自分の口元を手で隠した。顔がほてる。口元が緩んでしまっていないか心配になった。横を見ると、オリバーも口元を隠し、目を泳がせている。同じ気持ちだと分かった。しばらくするとアレクは眠ってしまった。
あの足に触りたい。胸が高鳴った。
足をマッサージするランドールと代わりたくて声をかけようとしたが、ランドールに「お静かに」とジェスチャーで止められる。

 アレクの全てを知っていそうなランドールに燃えるような何かが沸き起こる。アレクと交流を深めなくては。今日アレクを抱き上げられなかった悔しさがよみがえる。

 アレクが欲しい。アレクに触れたい。
 
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