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Ⅰ章「分身鳥の恋番」
side:小坂涼⑨
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フランスに来て十日。夏バテなのか、体がだるい。三日ほど高熱も出して、寝込んでしまった。それから眠さと倦怠感が続いている。食欲がないのは夏バテのせい。
なぜかずっと続く下腹部痛は、食べ物が合わないせい、と説明された。時々、うずくまるほどお腹が痛くなる。体調が良くないから外出は止めるよう医師から言われた。
レオが宝物のように僕を大切にする。
食事は口に運ぶところまでしようとするし、少しふらつくと抱き上げられて心配される。心配だからとシャワーも一緒に入る。モコモコの泡で僕を包み込むように丁寧に洗ってくれる。恥ずかしいけれど、慣れてしまった。
レオは、とことん世話を焼く。優しい顔で、優しいレオ。こんなに人に密着されたことも、大切にされたこともないから、心がくすぐったくなる。
知らない国で、調子が悪くて不安で、優しいレオに少し甘えてしまう。甘えてみると、レオが僕を撫でまわして喜ぶから、おかしくて頬が緩んでしまう。
熱を出してから、ずっと室内で過ごして僕の初めての旅行は終わった。
高熱はないけれど、微熱と倦怠感などの症状が続いていて、本当に夏バテなのか不安になっている。
腹部の痛みや眩暈はそれだけじゃない気がする。フランスの言葉が分からず、レオ以外が怖い。早く日本に帰りたかった。
レオが、僕の高校の外国語の特別講師となり一緒に日本に来ることになった。僕の卒業まで一緒にいてくれる。僕のために特別に海外滞在の許可を取ってくれたと聞いて、抱きついて感謝を伝えた。二十日間でお別れかと思っていたから嬉しかった。そんな僕の頬にキスをするレオ。僕の鳥もレオの鳥と仲良くなっている。
フランス滞在でレオのスキンシップの多さと距離の近さをすっかり受け入れていた。
フランスの空港で自分用にお土産を買った。本当は藤原君にあげるお土産。サングラス、割れちゃったからお詫びもかねて。高価なものは選べなくて、ハンカチと銀のボールペン。
レオが一緒に選ぶと言ったけれど、これは僕が選んであげたくて一人で選んだ。
会計がドキドキした。ドルやユーロの支払いは緊張してできず、藤原君に教えてもらったカードでの支払いをした。レオに見つからないように、すぐに自分の斜めかけバックにしまった。人にプレゼントなんて初めて。藤原君、驚くかな。
僕の鳥と目線を交わし微笑み合った。特別にドキドキした。
なぜかずっと続く下腹部痛は、食べ物が合わないせい、と説明された。時々、うずくまるほどお腹が痛くなる。体調が良くないから外出は止めるよう医師から言われた。
レオが宝物のように僕を大切にする。
食事は口に運ぶところまでしようとするし、少しふらつくと抱き上げられて心配される。心配だからとシャワーも一緒に入る。モコモコの泡で僕を包み込むように丁寧に洗ってくれる。恥ずかしいけれど、慣れてしまった。
レオは、とことん世話を焼く。優しい顔で、優しいレオ。こんなに人に密着されたことも、大切にされたこともないから、心がくすぐったくなる。
知らない国で、調子が悪くて不安で、優しいレオに少し甘えてしまう。甘えてみると、レオが僕を撫でまわして喜ぶから、おかしくて頬が緩んでしまう。
熱を出してから、ずっと室内で過ごして僕の初めての旅行は終わった。
高熱はないけれど、微熱と倦怠感などの症状が続いていて、本当に夏バテなのか不安になっている。
腹部の痛みや眩暈はそれだけじゃない気がする。フランスの言葉が分からず、レオ以外が怖い。早く日本に帰りたかった。
レオが、僕の高校の外国語の特別講師となり一緒に日本に来ることになった。僕の卒業まで一緒にいてくれる。僕のために特別に海外滞在の許可を取ってくれたと聞いて、抱きついて感謝を伝えた。二十日間でお別れかと思っていたから嬉しかった。そんな僕の頬にキスをするレオ。僕の鳥もレオの鳥と仲良くなっている。
フランス滞在でレオのスキンシップの多さと距離の近さをすっかり受け入れていた。
フランスの空港で自分用にお土産を買った。本当は藤原君にあげるお土産。サングラス、割れちゃったからお詫びもかねて。高価なものは選べなくて、ハンカチと銀のボールペン。
レオが一緒に選ぶと言ったけれど、これは僕が選んであげたくて一人で選んだ。
会計がドキドキした。ドルやユーロの支払いは緊張してできず、藤原君に教えてもらったカードでの支払いをした。レオに見つからないように、すぐに自分の斜めかけバックにしまった。人にプレゼントなんて初めて。藤原君、驚くかな。
僕の鳥と目線を交わし微笑み合った。特別にドキドキした。
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