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第一章:兄との日々 ついてくる差

私の兄はなんでもできる

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 私のお兄ちゃんは本当になんでもできる。お兄ちゃんの話を聞くと、初対面の人に「ちょっと話を盛りすぎじゃない?」と言われる。それほどお兄ちゃん「アレン」はカリスマ性溢れる人なのだ。
 だが、私はその事についてあまりよく思っていない。妹の分際で生意気だとは思うが、私はお兄ちゃんの才能に対して嫉妬している。
 私とお兄ちゃんは王族や貴族ほどではないが、かなり良い家庭に生まれ育った。それを踏まえてかなり矛盾したことを言う。家のお兄ちゃんの存在は「ワイバーンがドラゴンを生む(鳶が鷹を生む)」状態なのだ。
 我が家は祖父が偉大で、その人のおかげで良い生活ができている。今は亡き故人の成果にあぐらをかく。まさにボンボンである。
 だから、その事をバカにしてくる人がいる。自分の事業が成功して家内が良くなっている人たちのことだ。そんな人たちは、特に努力をしてないパパやママたちをバカにする。しかし、バカにしていくうちにお兄ちゃんの存在を知り始めた途端に、だんだん自信がなくなりバカにしなくなる。それでもしつこい人はお兄ちゃんの名前を言ったら、分が悪そうな顔をして、我がフォン家に近づかなくなるので、幼少期の頃は多用していた。
 だけど、思春期になった時、私はこの家の立ち位置がないと感じるようになり、お兄ちゃんに嫉妬と劣等感が募るようになった。
 だから、私は努力することにした。一人でできるようになった着替え(ファンタジー世界の金持ちは着替えをできる人は少ない)を召使いに頼まなくても、できるようになったり、お金も無駄遣いしなくなった。
 そこから、私は貴族の秘書になるための勉強をしに、サントラル学園に通っている。この学園はお兄ちゃんも通学していたので、私は少しの期待感を持ち、日々頑張っている。
 

 今日も通学していると、親友であるエトラちゃんが通学路にいたので話しかけた。
 「おはようエトラちゃん。今日も良い天気だね。」
 「あら、おはようございます。リンちゃん。確かに晴れでございますね」
 彼女はそう言うが、ここのところずっと曇りである。
 「あ、そうだ。今日魔法学で『精霊魔法』を学ぶんだった。どうしよう私本当に勉強してないよ。」
 「私は徹夜しましたが、あまり自信がないのですわ。」
 そんな苦手な科目のことを話しながら、あと数分で学園に着く頃に急にエトラが「先月、隣町からこの町にかけて、かなり強力なゴーレムが100体やってきたそうよ」と初耳なことを言ってきた。
 「え?大惨事じゃん・・・・・・。ゴーレムは今は作り方不明だから、大昔のタイプだろうけど、100体も集まるなんてね。」
 「本当に大変なことになるところでしたよ。」
 「え?じゃあなんでこの町は平気なの?ゴーレムはどこ行ったの?」
 すると、エトラは「知らないのか」みたいな顔をした。
 「それはあなたのお兄様が全て破壊したからでしょ?」
 「・・・・・・」
 これを聞いた時、本当に最悪の気分だった。そしてさらに私に史上最悪の追い討ちをかけた。
 「私は多少、夢みがちと思われてもいいわ!!私、アレンさんに恋をしました!!」
 いや、くもりだった空がさらに曇った。最悪だ。人生終わった。
 「リンちゃん!!私、玉砕しても構いませんわ!!アレンさんに合わせてくださいまし!」
 「あ、あ、あ、でもお兄ちゃんも忙しいだろうから」
 「そこを何とか!!お願いします!親友のリンちゃん!」こんなに懇願されて断れるはずもなく、首を縦に振ってしまった。
 

 コンコン
 「はぁ~いどうぞ」相変わらず、憎たらしいほど惚れ惚れする低い声だ。私に理性がなかったら、本当にたいへんなことになっていたかもしれない。
 「おぉ、リン。学校はどうだった?精霊学の授業は楽しかった?案外精霊と仲良くなるのは、重要だからね。」
 「そんなことよりお兄ちゃん。お兄ちゃんに会いたいっいう私の友達がいるわ」それを聞いたお兄ちゃんは苦笑した。
 「え?僕なんかに?う~ん。」少し考えたあと、「じゃあ明後日くらいには会えるよ。その時は休日だしね。」
 「うんわかった。あと、お兄ちゃん。」
 「なに?って何で泣いてるの?」
 私は本心を打ち明ける。今日ずっと思っていた言葉だ。
 「お兄ちゃんのせいで失恋したんだけど、どうしてくれるの?」
 「え?」
 「じゃあ、おやすみ!」バタン!部屋の中には少しの沈黙が流れた。
 「えぇ・・・。本当に覚えないんだけど。」
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