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Act 49. いつも君の声は
【曖昧な関係は退廃の算定】
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ここまではこれまで通りの二人のやり取り、
この先お互いが"どの道"を選ぶのかで
僕たちのこれからはどちらに向かうのか?
それが明白になるだろう。
この場合の "道" とはもちろん今、歩いている道であり
更には僕たちの選択する答えのことでもある。
煌子が以前のようにここを避けて帰るのであれば
今日もあの暗い過去を払拭出来ないだろう
ここで何があったのか僕は知らない、
むしろ知らなくてもいい。
いずれ煌子からその話が聞ける日が来れば
聞けばいいだけのことだ。
だとしたら、今僕に出来ることは何だろう?
「覚えてる?煌子」
「え…何?」
「初めて出掛けた帰り道で」
「あ、アタシが『ここでいいよ』って言ったこと?」
「そうそう」
「もう何年前だろ?アタシさ…ここでね」
煌子はその全てを洗いざらい僕に話してくれた。
「そんなことが・・・あったのか」
「バカみたいでしょ、そんなトラウマのせいで」
「わかる、わかるよ」
「・・・え?」
「嫌な思い出ほど忘れられないもんだよ、俺だってそうだし」
「・・・タカムラ」
「そりゃ一人だとしんどいけど…さ」
「うん…」
その先がどうしても切り出せない、
" 俺が一緒なら大丈夫だろ? " …と。
でも今ここで、この瞬間に僕がそれを言わなきゃ
煌子はいつまでもこの先に進むことが出来ない
そして僕たちの曖昧な関係が
再び何の進展もなくだらだらと続くだけになる。
このタイミングが最大のチャンスであり
最後のチャンスなのだから。
この先お互いが"どの道"を選ぶのかで
僕たちのこれからはどちらに向かうのか?
それが明白になるだろう。
この場合の "道" とはもちろん今、歩いている道であり
更には僕たちの選択する答えのことでもある。
煌子が以前のようにここを避けて帰るのであれば
今日もあの暗い過去を払拭出来ないだろう
ここで何があったのか僕は知らない、
むしろ知らなくてもいい。
いずれ煌子からその話が聞ける日が来れば
聞けばいいだけのことだ。
だとしたら、今僕に出来ることは何だろう?
「覚えてる?煌子」
「え…何?」
「初めて出掛けた帰り道で」
「あ、アタシが『ここでいいよ』って言ったこと?」
「そうそう」
「もう何年前だろ?アタシさ…ここでね」
煌子はその全てを洗いざらい僕に話してくれた。
「そんなことが・・・あったのか」
「バカみたいでしょ、そんなトラウマのせいで」
「わかる、わかるよ」
「・・・え?」
「嫌な思い出ほど忘れられないもんだよ、俺だってそうだし」
「・・・タカムラ」
「そりゃ一人だとしんどいけど…さ」
「うん…」
その先がどうしても切り出せない、
" 俺が一緒なら大丈夫だろ? " …と。
でも今ここで、この瞬間に僕がそれを言わなきゃ
煌子はいつまでもこの先に進むことが出来ない
そして僕たちの曖昧な関係が
再び何の進展もなくだらだらと続くだけになる。
このタイミングが最大のチャンスであり
最後のチャンスなのだから。
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