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Act 49. いつも君の声は
【一瞬と言う名の永遠】
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「そうそう、ひとつ聞きたいことあって…」
「何?」
「俺の昔のこと、知ってたんだ?」
「名前までは知らなかったけど噂ではね、だから、あんたのこと見張ることにしたんだから」
「なるほど、そう言うことかぁ」
煌子は僕をまじまじと見ながらこう言った
「だって、こんなカッコでしょ?見た目、明らかに品行方正じゃないもん」
「俺は見た目だけだよ、悪そうなのは」
「でも…昔のこと思い出したらそりゃそうでしょ」
「また俺のせいになってる」
「基本、全部あんたのせいだから、ふふ」
ー そんなに有名だったの?
「そりゃワル仲間の間では有名だもん、その都市伝説、まさかタカムラが、ねぇ…」
「でも甲斐は知らなかったみたいだった」
「あ、あの男はね…自分より強い人の噂話は信じないタイプなんでしょ?」
「だから…かぁ」
「え、何が?」
「あ、いや何でもない…そっかぁ、で、実際どうだった、俺?」
「あ、この人、人違いだわって、ははは」
「だって煌子怖いんだもん、全然口聞いてくれないし」
「何よ!怖いって!しかも『だもん』って何よ!その口調」
「消しゴム、拾ってくれないし。そのくせ自分のは拾ってって言うし」
「当然でしょ」
そう、いつもこんな感じだった、
これまで暫く聞くことの出来なかった
少し鼻にかかった煌子の声がすぐ隣で聞こえる
いつも煌子の声は
これまで乾き切っていた僕の日常に
艶やかな彩りを添えてくれていた。
当たり前だったことが
ある日突然、当たり前ではなくなり
そしてまたその当たり前が戻ってきた、
この空間をこれからもずっと体感したいと願うのならば
僕は・・・煌子に伝えなきゃいけないことがある。
気づけば僕たちはいつもの場所に来ていた、
そう、いつもここから煌子が遠回りして帰る例の別れ道
今日は…どうしようか?
どうすればいいだろう?
「何?」
「俺の昔のこと、知ってたんだ?」
「名前までは知らなかったけど噂ではね、だから、あんたのこと見張ることにしたんだから」
「なるほど、そう言うことかぁ」
煌子は僕をまじまじと見ながらこう言った
「だって、こんなカッコでしょ?見た目、明らかに品行方正じゃないもん」
「俺は見た目だけだよ、悪そうなのは」
「でも…昔のこと思い出したらそりゃそうでしょ」
「また俺のせいになってる」
「基本、全部あんたのせいだから、ふふ」
ー そんなに有名だったの?
「そりゃワル仲間の間では有名だもん、その都市伝説、まさかタカムラが、ねぇ…」
「でも甲斐は知らなかったみたいだった」
「あ、あの男はね…自分より強い人の噂話は信じないタイプなんでしょ?」
「だから…かぁ」
「え、何が?」
「あ、いや何でもない…そっかぁ、で、実際どうだった、俺?」
「あ、この人、人違いだわって、ははは」
「だって煌子怖いんだもん、全然口聞いてくれないし」
「何よ!怖いって!しかも『だもん』って何よ!その口調」
「消しゴム、拾ってくれないし。そのくせ自分のは拾ってって言うし」
「当然でしょ」
そう、いつもこんな感じだった、
これまで暫く聞くことの出来なかった
少し鼻にかかった煌子の声がすぐ隣で聞こえる
いつも煌子の声は
これまで乾き切っていた僕の日常に
艶やかな彩りを添えてくれていた。
当たり前だったことが
ある日突然、当たり前ではなくなり
そしてまたその当たり前が戻ってきた、
この空間をこれからもずっと体感したいと願うのならば
僕は・・・煌子に伝えなきゃいけないことがある。
気づけば僕たちはいつもの場所に来ていた、
そう、いつもここから煌子が遠回りして帰る例の別れ道
今日は…どうしようか?
どうすればいいだろう?
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