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Act 44. 怨恨終幕 Ⅱ~虎穴蚕食~
【勝てばいい】
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「ぐっ…話聞いてんのか!」
「いや、煌子が無事ならお前なんてどうでもいいや、さっ!帰るぞ、煌子!」
「余裕こいてられんのも今だけだ!この人数に勝てると思ってんのか?」
「貝殻くん、いいこと教えてあげようか?」
「何だ?」
「喧嘩ってのはさ、勝てばいいんだよ」
「どういうことだ?」
「例え他の全員にボコられても…」
「あ?」
「お前一人を潰せば俺の勝ちだ」
「そうか、確かにそれはそうだな」
「悪いけど…」
「何だ?」
「手段は選ばないから、貝殻くん」
「何だと?」
僕は咄嗟にあずさへ合図を送った。
すぐに察したあずさは猛ダッシュで
倉庫の隅に一人立っていた由美子の所へ駆け寄り
強引にこちらへ引っ張ってきた。
「さあ、これで対等だな」
「うわっ、悪いヤツ!」
その様子を見ていた煌子が吹き出す。
「なかなかの策士だね」
「ただずる賢いだけだよ」
「ねえ、高村くんは何であんなに余裕なの?」
「美月、よく見てて。タカムラはズルいだけじゃなくてめちゃめちゃ強いから」
「答えはひとつじゃない…のか」
「え?」
「前に高村くんが言ってた」
「そうなんだ?」
「だから数学、苦手なんだって」
「ふふ、タカムラらしいね」
それでも甲斐は平静を装っていた。
「それで有利になったつもりか?お前が圧倒的に不利なことには変わりないんだぜ」
「まあ、そうだね、そんじゃ、逃げるか!」
コウは突然倉庫の出口に向かって走り出した。
あずさが目を丸くして驚く。
「え?兄ちゃん、何してんの?」
僕はあずさを一瞬見て頷いた、
それが"作戦"であることをあずさは瞬時に理解した。
「いや、煌子が無事ならお前なんてどうでもいいや、さっ!帰るぞ、煌子!」
「余裕こいてられんのも今だけだ!この人数に勝てると思ってんのか?」
「貝殻くん、いいこと教えてあげようか?」
「何だ?」
「喧嘩ってのはさ、勝てばいいんだよ」
「どういうことだ?」
「例え他の全員にボコられても…」
「あ?」
「お前一人を潰せば俺の勝ちだ」
「そうか、確かにそれはそうだな」
「悪いけど…」
「何だ?」
「手段は選ばないから、貝殻くん」
「何だと?」
僕は咄嗟にあずさへ合図を送った。
すぐに察したあずさは猛ダッシュで
倉庫の隅に一人立っていた由美子の所へ駆け寄り
強引にこちらへ引っ張ってきた。
「さあ、これで対等だな」
「うわっ、悪いヤツ!」
その様子を見ていた煌子が吹き出す。
「なかなかの策士だね」
「ただずる賢いだけだよ」
「ねえ、高村くんは何であんなに余裕なの?」
「美月、よく見てて。タカムラはズルいだけじゃなくてめちゃめちゃ強いから」
「答えはひとつじゃない…のか」
「え?」
「前に高村くんが言ってた」
「そうなんだ?」
「だから数学、苦手なんだって」
「ふふ、タカムラらしいね」
それでも甲斐は平静を装っていた。
「それで有利になったつもりか?お前が圧倒的に不利なことには変わりないんだぜ」
「まあ、そうだね、そんじゃ、逃げるか!」
コウは突然倉庫の出口に向かって走り出した。
あずさが目を丸くして驚く。
「え?兄ちゃん、何してんの?」
僕はあずさを一瞬見て頷いた、
それが"作戦"であることをあずさは瞬時に理解した。
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