僕の彼女はアイツの親友

Act 42. 黒幕現る

【どっちがムカつく女？】

　"煌子"と言う名を聞き、僕は過敏に反応した。

「何だって？」

「ほら！またそうやってその名前に過剰に反応するでしょ！」

「そりゃ、するよ、俺は…」

「俺は…何よ？」

「あ、いや、どうぞ…話の続きを」

「言われなくたってするわよ！煌子は中学の時だって、高校に入ってからだって…」

「煌子が瀧川さんに何をしたってんだ？」

「私より目立ってる、のよ！」

「何だ…それ？」

「このクラスになった時だって…私が話しかけても高村くんは素っ気なかったのに、煌子には…」

「あ、あの時…」

「挙げ句の果てにあんなに仲良くなって…だから煌子は不幸になればいいの！」

「まさかの？俺のせいで？」

「自惚れないでよ！私は高村くんなんかどうでもいいの！煌子とは話すのに私には話さないのが気に入らないだ…け、うっ！」

と、その直後、由美子はそのまま膝から崩れ落ちた。

「え？一体、何がどうした？」

「バッカじゃないの？この女、はい！兄ちゃん一丁あがりー！」

目の前にはどこからともなく現れたあずさが立っていた
その表情はあの頃のまんま、悪ガキだった。

「あ、あずさ！…って、ちょっとは加減しろよ
相手は女子で素人だぞ！」

「何かめっちゃムカついてん」

「悪い顔してるなぁ…」

「え？かわいい顔やなんて…」

「言ってない言ってない」

由美子はあずさの一撃を腹部に食らって
そのまま気を失ってしまった。

「ほな行こか」

「さあ行くか、甲斐のとこへ…って、おい！」

「何？」

「瀧川さんがこんなじゃ甲斐の居場所がわかんないじゃないか」

　肝心の由美子が気を失っているのでは
甲斐がどこにいるのか聞き出せない、

このままでは
無駄に時間だけが過ぎてゆくばかりだ。