僕の彼女はアイツの親友

みつ光男

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Act 38. 回想編 1~さよならの街角

【修羅の道へと】

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「いやぁ、もしも何かあった時に…ね
俺、弱いから」

「ははは!お前度胸あるやないか、おもろいな」

 まさかこんな形でクラスの中で
最も悪そうな男子と打ち解けるとは…

音楽の力ってのはどんな世界でも
平等なんだと思った。

彼の名は信濃恒大しなの こうたと言い
この日を境に僕は彼のことを
"コウタくん"と呼ぶようになった。

 そして彼らと関わるようになってから
何故か担任は僕に対して媚びへつらうようになった。

不良たちのことを
影では"屑"呼ばわりしておきながら
表向きは理解ある態度を取って同調する…

ここの教師たちは本当に卑屈だった。

きっと僕のことも影では
同じように呼んでいるのであろう、

ー あの転校生も早速染まってしまった、
などと。

 そんなことを気にしていては
ここの学校では生きていけない、

そう思いながらも心の何処かでは
大人が信用できなくなっていた。

あの日以来コウタくんとはすっかり打ち解けて
僕は自分の知る限りのバンドをコウタくんに紹介した

「いつも悪いな、オレに出来ることあったら
言うてくれ」

僕には 

彼でなければ頼めない、そんな頼みがあった。

「喧嘩、強くなりたいんだよ」

「え?ほんまか?」

 彼は一瞬驚いた表情を浮かべて笑ったが
それは決してバカにした感じからではなかった。

「何や?守りたいものでもあるんか?」

「俺、前に住んでたとこでは強い女子に頼りきりで、今度は俺が守ってやらないと…
そんな風に考えたら、やっぱ強くなきゃって」

「…そうか、好きなんか?」

「うーん、どうなんだろ?」

「ま、それはええか、最初はまあまあキツいぞ」

コウタくんはそう言って笑った。
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