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Act 20. 牽制 求
【急接近】
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自転車を押しながら
僕たちはしばらく無言で歩き続けた。
これまでは何か話してないと
間が持たない気がしていたのだが
今はこんな沈黙ですら心地よい。
「ねえ…」
「何?」
「今日、どこなの?」
「…ふっ」
「ちょっと!」
「ん?何?」
「ちょっと!聞いてるでしょ」
「うん、聞こえてる」
「もう!今日、前のお店と方向違うんだけど、どこなの?」
「着くまで内緒ってことで」
「なんでよ」
「知りたい?」
「そう言う問題じゃなくて」
「着いてからのお楽しみ」
「もう!なんでよ!」
少し落ち着かない煌子の表情を見て
そろそろかな?と僕は切り出した。
「あのさ、覚えてる?」
「何を?」
「中間の時、対決したの」
「…もしかして?」
「そう!」
「バイキングのこと、覚えてくれてたの?」
「だよ、俺も行きたかったんだから、ほら着いたよ、そこのお店」
すると、いぶかしげだった煌子の表情が
一瞬でほころび
大急ぎで目の前の駐輪場に自転車を停めた。
「…やったぁ!、たまにはやるじゃん!タカムラ!」
「たまにはって…え?」
煌子は突然、僕に駆け寄り
その華奢な腕を僕の右手に絡めてきた。
ふわっとした感覚で煌子の長い髪が
僕の頬をくすぐったと同時に
制服のブレザー越しとは言え
煌子の柔らかな体軀の感触が伝わってきた。
その瞬間、これまで体感したことのない
優しい香りが僕を包んだ。
それはまるで魔法のように僕の心を捉えて離さない…
この感覚…一体何なんだ?
僕たちはしばらく無言で歩き続けた。
これまでは何か話してないと
間が持たない気がしていたのだが
今はこんな沈黙ですら心地よい。
「ねえ…」
「何?」
「今日、どこなの?」
「…ふっ」
「ちょっと!」
「ん?何?」
「ちょっと!聞いてるでしょ」
「うん、聞こえてる」
「もう!今日、前のお店と方向違うんだけど、どこなの?」
「着くまで内緒ってことで」
「なんでよ」
「知りたい?」
「そう言う問題じゃなくて」
「着いてからのお楽しみ」
「もう!なんでよ!」
少し落ち着かない煌子の表情を見て
そろそろかな?と僕は切り出した。
「あのさ、覚えてる?」
「何を?」
「中間の時、対決したの」
「…もしかして?」
「そう!」
「バイキングのこと、覚えてくれてたの?」
「だよ、俺も行きたかったんだから、ほら着いたよ、そこのお店」
すると、いぶかしげだった煌子の表情が
一瞬でほころび
大急ぎで目の前の駐輪場に自転車を停めた。
「…やったぁ!、たまにはやるじゃん!タカムラ!」
「たまにはって…え?」
煌子は突然、僕に駆け寄り
その華奢な腕を僕の右手に絡めてきた。
ふわっとした感覚で煌子の長い髪が
僕の頬をくすぐったと同時に
制服のブレザー越しとは言え
煌子の柔らかな体軀の感触が伝わってきた。
その瞬間、これまで体感したことのない
優しい香りが僕を包んだ。
それはまるで魔法のように僕の心を捉えて離さない…
この感覚…一体何なんだ?
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