僕の彼女はアイツの親友

Act 13. 失意

【激昂漸増】

「あ、由里ちゃん…」

「『あ、由里ちゃん…』じゃないよ！煌子は？
何で煌子と一緒じゃないの？」

　由里のその言葉が今の僕には
何よりも辛く切なく胸に刺さる。

「あ、もう煌子は…いいんだよ…俺なんかさ」

「もしかしてずっとここに？あんなに楽しみにしてたのに、煌子」

「え…？」

その時、後ろから声がした。

「ゆり姉さーん、どうしたんですかー！急に走り出して…」

　こんな時に男の声なんて聞きたくない
勘弁してくれ、と思いながら顔を上げた時
妙な感覚に陥った。

「あれ？」

「え？どしたんすか？」

「いや、どこかで…あーっ！思い出したぞ、
お前だ！お前だろ！煌子と一緒にいただろ？」

「あー！ちょっと、ちょっと待ってくださいって！」

「さっき煌子とヘラヘラ笑って話しときながら次は由里ちゃんと一緒って、どう言うことだ！」

「え、何言ってるんすか？あの…ボクは…ですね」

「うるせえな！お前みたいなのを"女の敵"って言うんだよ！」

　気がつけば僕よりも随分背が高い
その男の胸ぐらを掴んで
地面に押さえつけ馬乗りになっていた。

正に今にも殴りかからんと言う
鬼気迫る表情を目にした由里は

呆気に取られたままその場に立ち尽くして
その一部始終を見ていたが

「高村くん、高村くん！ちょっと」

ふと我に返って
思い出したように口を開いた。