僕の彼女はアイツの親友

みつ光男

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Act 08. 季節外れの

【女子の勘は鋭敏なり】

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「マジかよ~、テル~!純也~!」

「ん?どうした?」

既に帰ろうとしていたテルが振り返る。

「バンドのプロモーションだよ」

「そうか!俺も行っていいんだな?」

 その時、珍しく煌子が会話に割って入った。

「谷口トモキもメンバーなんだよね?」

"トモキ"と言う名前が煌子から出たことに
少なからず動揺したが平静を装いながら答えた

「そうだけど」

「あの人…」

「どした?」

「何でもない、もう教室にいないみたい」

少し気になった。

トモキは煌子とはただの幼なじみ、
とだけ言っていたが

どこか引っ掛かるところがあるのは確かだ。

「もしかしたらさ」

「何?」

「谷口って、今日来る女子の中に好きな娘がいるから帰ったとか?」

女の勘は鋭い。

 おそらくこのメンバーの中に
美優がいたのに気づいたトモキは
そそくさと帰ったのかも知れない。

それとも煌子がいたから?
その可能性も考えられる。

「さあね?いるかもね」

「ま、どうでもいいんだけど」

煌子はこの後トモキの事については触れなかった。

どちらかが何かを知ってるのでは?と
僕は思った。

 僕と煌子の距離が縮まることを望むトモキ
トモキと距離を置こうとする煌子。

あの時トモキは話をはぐらかしたが
きっと煌子の過去について
何か知っているのだろう。

そこに触れられたくないから
今日は避けて帰ったのか?

それとも…

深く考えるのはやめることにした。

僕は煌子との「スープの冷めない距離」が
心地よかったから

知ってしまうことでそれを敢えて崩す必要はない、
そんな結論へとたどり着いた。

それより今日を楽しみたい、その気持ちの方が
複雑な人間関係を詮索するより勝っていたのだろう。
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