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その壱.幼少期編
【見てはいけない景色】
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小学校低学年の頃だっただろうか?
それは家族でドライブしていた時のこと
信号待ちか何かで停車した時だっただろうか
それとも駐車場でのことだっただろうか、
窓の外の景色を見ていた私に向かって父親が
「あ、これは見たらあかん!隠せ隠せ」
父の言葉を聞いた母親は
私に外を見させないようにした。
まだ幼くて素直だったのだろう、
私も親の言い付け通り目を塞いだ。
再び車が動き始めるまでの数秒間のことだったが
外で何が起きたのか、何が起きているのか
全く予測すらつかない。
気が付くと車は走り出していた。
父親は苦笑いしながら
「あれは見たらあかんから」
母親も同様のリアクションだった。
結局、"見てはいけない景色"の正体は
わからないままうやむやにされ
それから数10年の月日は流れて私も人の親となった。
そしてまだ私の子供たちが小さい頃
家族で動物園に向かっていた時のことだった
信号待ちで右折レーンに停まっていた男女が
突然いちゃいちゃし始めた
信号が変わるまでの間、
何とも言えない空気感が車内に流れていた。
妻は「何やってるんやろね」と苦笑い
その時ふと思った…
もしかしてあの日、私に見せさせなかったのは
このような光景だったのではなかろうか?と。
その話を車内ですると
「よくそんな昔の話を覚えてるね」
と、爆笑になり微妙な空気感が無くなったのだが
あの時の両親の不可解な言動は
私の親なりに息子を気遣っての
行為だったのかも?と考えてみた。
もうひとつの説として
動物の亡骸が非常に無惨な状態だったため
グロテスクな光景を見せなくなかったのでは?
とも考えたが
それならば両親があのような意味ありげな
苦笑いはしないであろう、と。
動物の憐れな亡骸については
親になった私がその体験をして
「かわいそうだから見ないであげよう」と
子供たちに話した記憶がある。
他にも外で誰かが排泄していた?とか
怖い人たちが言い争いをしていた?とか
様々な説を考えたが
いずれにせよそのような節操のない大人たちの行為は
子供心に妙な疑問を永年に亘って抱かせてしまうものだ。
それならば私たちの家庭のように
オープンにして笑い飛ばす方が良いのかも知れない。
それは家族でドライブしていた時のこと
信号待ちか何かで停車した時だっただろうか
それとも駐車場でのことだっただろうか、
窓の外の景色を見ていた私に向かって父親が
「あ、これは見たらあかん!隠せ隠せ」
父の言葉を聞いた母親は
私に外を見させないようにした。
まだ幼くて素直だったのだろう、
私も親の言い付け通り目を塞いだ。
再び車が動き始めるまでの数秒間のことだったが
外で何が起きたのか、何が起きているのか
全く予測すらつかない。
気が付くと車は走り出していた。
父親は苦笑いしながら
「あれは見たらあかんから」
母親も同様のリアクションだった。
結局、"見てはいけない景色"の正体は
わからないままうやむやにされ
それから数10年の月日は流れて私も人の親となった。
そしてまだ私の子供たちが小さい頃
家族で動物園に向かっていた時のことだった
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突然いちゃいちゃし始めた
信号が変わるまでの間、
何とも言えない空気感が車内に流れていた。
妻は「何やってるんやろね」と苦笑い
その時ふと思った…
もしかしてあの日、私に見せさせなかったのは
このような光景だったのではなかろうか?と。
その話を車内ですると
「よくそんな昔の話を覚えてるね」
と、爆笑になり微妙な空気感が無くなったのだが
あの時の両親の不可解な言動は
私の親なりに息子を気遣っての
行為だったのかも?と考えてみた。
もうひとつの説として
動物の亡骸が非常に無惨な状態だったため
グロテスクな光景を見せなくなかったのでは?
とも考えたが
それならば両親があのような意味ありげな
苦笑いはしないであろう、と。
動物の憐れな亡骸については
親になった私がその体験をして
「かわいそうだから見ないであげよう」と
子供たちに話した記憶がある。
他にも外で誰かが排泄していた?とか
怖い人たちが言い争いをしていた?とか
様々な説を考えたが
いずれにせよそのような節操のない大人たちの行為は
子供心に妙な疑問を永年に亘って抱かせてしまうものだ。
それならば私たちの家庭のように
オープンにして笑い飛ばす方が良いのかも知れない。
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