127 / 129
Epilogue. Longer than Forever
【現実復帰】
しおりを挟む
大学2年の秋、例の怪我から退院して2ヶ月が過ぎ
舞の"初体験"のお相手も無事全うした僕は
前述した通りアルバイトを始めていた。
バイト先では夢に現れた南波陽菜子そっくりな先輩、
前田玲可ともしかして何か起きるのでは…?
などと不徳な妄想をしていた僕は
それが間違いだったことにすぐ気づいた。
「ナカムラー!早く皿洗いなよ、間に合わないじゃない!」
今日も洗い場に響く玲可の大きな声に
僕は慌てて水道の蛇口をフルに回す。
「レイカさん、待ってくださいよー!まだそのジョッキ乾いてませんから!」
「もう!何やってんだよ、団体さん来るよ、もうすぐ!!」
「全く人使いの荒い人だなぁ…」
「ん?今何か言った?ナカムラっ!」
「あ、いえ、何でもないす」
「口動かしてるヒマあったらさっさと皿洗いなよ」
「はーい!」
玲可がこんなにも男勝りな性格だとは
思ってもいなかった
ーこれじゃ夢の中のヒナさんとのような展開は
あり得ないな。
「それじゃおつかれさまでした」
「おっ!おつかれ、大分仕事早くなったじゃない?」
「そ、そりゃ、あんだけ急かされたら…」
「はい、合格っ」
「え?」
「大抵の人は続かないんだけど…よくがんばったじゃん!」
玲可はニッコリ笑って僕を見た
なるほど、僕は試されてたのか?
その笑顔がふと陽菜子と重なり
気づけば僕は玲可の顔をまじまじと見つめていた。
「どしたの?あたしの顔、何かついてる?」
「あ、いや、あの~…かわいいですね」
決して変な気持ちで言ったわけではなく
本心からの言葉だった
こんなに怒られたことはここ数年なかったし
こんなキレイな人にならどんなに怒られても
ノープロブレムだ、と言うニュアンスで。
「な、な!何言ってんの!あ、当たり前でしょ!」
「俺、好きですよレイカさんのこと、どんなに怒られても」
「おだてても何にも出ないからね」
「いやいやそもそも何にも期待してないんで」
「ちょっとは期待しろよー、缶ジュースくらいなら…」
「じゃまたー!」
「お、そ、そう?また明日からビシビシいくからね!」
「明日は休みっす」
「そっか、そんじゃいつか飲みに連れてってあげるよ」
「期待してませんからねー、あ、でも明日はデートなんで」
「ヤる…の?明日?」
「ヤラないですっ!」
「ヤリたいんでしょ?」
「はい!」
「でしょうね?若い若い!ふふ、楽しんどいで」
「はーい」
「ヤッたら報告すること」
「絶対にしません!」
そんな会話をしながらバイト先を後にした。
何だよ、割りと下ネタ好きなんじゃないか
もっと真面目な人だと思ってたよ…
これまであまり話したことのなかった先輩
玲可と話したことで
慣れないバイト先での今後に向けて
少し気持ちが軽くなった、が
そんな高揚感も束の間、
明日は舞と出かけると言うのにあまりの疲労のせいで
帰るなりそのまま夢の中へ誘われた。
舞の"初体験"のお相手も無事全うした僕は
前述した通りアルバイトを始めていた。
バイト先では夢に現れた南波陽菜子そっくりな先輩、
前田玲可ともしかして何か起きるのでは…?
などと不徳な妄想をしていた僕は
それが間違いだったことにすぐ気づいた。
「ナカムラー!早く皿洗いなよ、間に合わないじゃない!」
今日も洗い場に響く玲可の大きな声に
僕は慌てて水道の蛇口をフルに回す。
「レイカさん、待ってくださいよー!まだそのジョッキ乾いてませんから!」
「もう!何やってんだよ、団体さん来るよ、もうすぐ!!」
「全く人使いの荒い人だなぁ…」
「ん?今何か言った?ナカムラっ!」
「あ、いえ、何でもないす」
「口動かしてるヒマあったらさっさと皿洗いなよ」
「はーい!」
玲可がこんなにも男勝りな性格だとは
思ってもいなかった
ーこれじゃ夢の中のヒナさんとのような展開は
あり得ないな。
「それじゃおつかれさまでした」
「おっ!おつかれ、大分仕事早くなったじゃない?」
「そ、そりゃ、あんだけ急かされたら…」
「はい、合格っ」
「え?」
「大抵の人は続かないんだけど…よくがんばったじゃん!」
玲可はニッコリ笑って僕を見た
なるほど、僕は試されてたのか?
その笑顔がふと陽菜子と重なり
気づけば僕は玲可の顔をまじまじと見つめていた。
「どしたの?あたしの顔、何かついてる?」
「あ、いや、あの~…かわいいですね」
決して変な気持ちで言ったわけではなく
本心からの言葉だった
こんなに怒られたことはここ数年なかったし
こんなキレイな人にならどんなに怒られても
ノープロブレムだ、と言うニュアンスで。
「な、な!何言ってんの!あ、当たり前でしょ!」
「俺、好きですよレイカさんのこと、どんなに怒られても」
「おだてても何にも出ないからね」
「いやいやそもそも何にも期待してないんで」
「ちょっとは期待しろよー、缶ジュースくらいなら…」
「じゃまたー!」
「お、そ、そう?また明日からビシビシいくからね!」
「明日は休みっす」
「そっか、そんじゃいつか飲みに連れてってあげるよ」
「期待してませんからねー、あ、でも明日はデートなんで」
「ヤる…の?明日?」
「ヤラないですっ!」
「ヤリたいんでしょ?」
「はい!」
「でしょうね?若い若い!ふふ、楽しんどいで」
「はーい」
「ヤッたら報告すること」
「絶対にしません!」
そんな会話をしながらバイト先を後にした。
何だよ、割りと下ネタ好きなんじゃないか
もっと真面目な人だと思ってたよ…
これまであまり話したことのなかった先輩
玲可と話したことで
慣れないバイト先での今後に向けて
少し気持ちが軽くなった、が
そんな高揚感も束の間、
明日は舞と出かけると言うのにあまりの疲労のせいで
帰るなりそのまま夢の中へ誘われた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
流星の徒花
柴野日向
ライト文芸
若葉町に住む中学生の雨宮翔太は、通い詰めている食堂で転校生の榎本凛と出会った。
明るい少女に対し初めは興味を持たない翔太だったが、互いに重い運命を背負っていることを知り、次第に惹かれ合っていく。
残酷な境遇に抗いつつ懸命に咲き続ける徒花が、いつしか流星となるまでの物語。
もしもしお時間いいですか?
ベアりんぐ
ライト文芸
日常の中に漠然とした不安を抱えていた中学1年の智樹は、誰か知らない人との繋がりを求めて、深夜に知らない番号へと電話をしていた……そんな中、繋がった同い年の少女ハルと毎日通話をしていると、ハルがある提案をした……。
2人の繋がりの中にある感情を、1人の視点から紡いでいく物語の果てに、一体彼らは何をみるのか。彼らの想いはどこへ向かっていくのか。彼の数年間を、見えないレールに乗せて——。
※こちらカクヨム、小説家になろう、Nola、PageMekuでも掲載しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる