僕とあの娘

みつ光男

文字の大きさ
上 下
97 / 129
第20章.  「男」なんて

【ホテルはリバーサイド】

しおりを挟む
 周りに川もないくせに何故"リバーサイド"?
そんな疑問を抱く暇すら与えず

「ねぇ早く入ろうよ、寒いから」

「謀ったな、

「あれ、いつからそんなエラそーな口聞くようになった?ナカムラ」

「俺は真面目に送っていこうとしてたのに…」

「まだ酒が抜けないんだって、お願い!ナカムラ、ちょっと付き合ってよ、酔いが覚めるまで」

「何にもしないでくださいね」

「それ、あたしのセリフ」

「するわけないっしょ!」

仕方ない…

陽菜子を背負ったまま僕は
部屋ごとに戸建てになっている
何とも古めかしいホテルへと歩を進めた。

「あー!重かったなぁ」

僕がベッドの上に無造作に陽菜子を下ろすと

「あ、いたたた、ちょっとナカムラ!レディにはもっと優しくしてよね」

「何がレディっすか!ただの酔っ払いでしょ」

 すると陽菜子は悪戯っぽい表情でベッドに潜り込み
シーツをパンパンと叩きながら

「ナカムラ、ここ!こっち来てよ、寒いんだから」

「だ、か、ら!何で俺がそんなことに…」

僕は敢えて距離を置いてソファーに腰かける。

「だってぇ、こんなことに連れ込まれて…」

「ヒナさんが行けって言ったんじゃないすか!」

「まあまあそんなに怒らないで、夜は長いよ」

「お風呂でも入ってさっさと酔い醒ましてください」

「一緒に入るぅ?」

「お断りします」

「じゃあさ、何にもしないから隣で話聞いてよ」

「もう…しょうがないなぁ」

陽菜子は珍しく真剣な表情で聞いてきた。

「ナカムラって何年?大学」

「俺は2年っすよ、二十歳になったばかりです」

「じゃ、タメじゃん!」

「え?」

僕は言葉を失った…

てっきり4、5歳は年上だと思い込んでいた
陽菜子がまさか同い年だとは。

ふくれっ面をした陽菜子が切り返す

「何?そのリアクション?もっとおばさんだと思ってた?」

「あ、いやそうじゃなくて…ですね」

「だからさ、タメ口でいいんだって」

「あ、いや、でも先輩じゃないすか、そう言うのはしっかり線引きしたいんすよ」

「そっ…」

「何すか、その素っ気ない返事」

「ま、それがあんたのいいとこだよね」

「そう言えばヒナさん、男なんてキライだって言ってましたよね?」

「うん、キライだよ」

「じゃ何で俺のことは…?」

「さあ、わかんない、あんた女の子でしょ?やっぱり」

「正真正銘、男ですから、男は狼なんですよ」

「ちょっと確かめよっか?」

「へ?」

「おいで」

陽菜子は僕の首に手を回して
甘えるようにしなだれかかってきた

その勢いで僕は陽菜子と同じ体勢で
ベッドに横になってしまった。

その瞬間、またしても
陽菜子の柔らかな唇が僕の唇と重なり

遠慮なく舌を挿入したかと思うと
僕の唇に軽く歯を立てながら背中を指でなぞり
せわしなく愛撫を続けた。

「んぐ…」

「あっ…」

「ヒナさん…ちょっと!」

「ナカムラの口の中、甘いね、まだ」

陽菜子は僕の首筋に唇を這わせながら
熱くなりつつある股間へそっと手を伸ばした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。 遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。 本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。 優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~

釈 余白(しやく)
ライト文芸
 今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。  そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。  そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。  今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。  かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。  はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

春秋花壇
現代文学
注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...