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第18章. A Little Piece of Heaven
【メビウス】
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「舞・・・」
「なぁに?コウイチくん」
「舞と出会えてよかったよ」
「もぅ!それ、何か今日で終わりみたいな言い方!」
「あははは、ごめんごめん、これから…なのにね、俺たちはまだ」
「そう…そうだよ、今日から新章に突入だよ」
「でさ…?」
「なぁに?」
「早かった…かな?…」
「うぅん、わたしたちはわたしたちのスピードでいいんだよ」
「あ、いや、そっちもだけど…あの、アレ…時間的に早く…なかった?もうちょっと頑張れたかな…って」
「あ、やだ…!そっち?」
突然我に返ったように頬を紅潮させる
すっぴんの舞をいつもより可愛く感じた。
「ねぇ、コウイチくん…?」
「どしたの?」
「また…ほしくなっちゃった」
「え?もうこれで5回目…だよ?」
「ねぇ…」
舞から求められたことで
今日も帰りのバスは時間ギリギリだった。
「だから言ったのに」
「だってぇ…」
僕たちはようやくスタートラインに立ったのだろうか?
これまで舞とはどちらかと言えば
プラトニックな関係を好んでいる感じではあったが
これからはこのような時間帯が
増えることは間違いないだろう。
それは決して悪いことではない、
言葉では伝えきれない想いを
お互いの体で伝えあっているのだと思えば
これ以上の愛情表現の手段は他にないのだから。
結局今日も僕は舞と共にバスに乗り寮まで送っている
その道すがら
「俺、バイト始めようかと思って」
「あ、例の車の件でしょ?」
「うん、そしたらさこうしてバスに乗らなくてもよくなるかな、って」
「わたしはこれからよりも今が楽しいんことが大事、だからあんまり無理しないでね」
「わかった」
「またバイト先決まったら教えてね」
気づけばバスはもう南駅町の近くまで来ていた。
「あ、次の停留所だね」
「うん、また明日ね」
「いつものフードコートで、あ、実習だった?」
「ううん、明日は座学だから学校だよ」
「じゃ、学校の前で待ってるね」
「ほんとに!?」
「あ、こんな金髪のヤツが校門に立ってたらマズいかな?」
「大丈夫だよ、割りと有名なんだよコウイチくん」
「え?何で?」
「結構ライブ観に行ってるから、うちの生徒たち」
「そうなんだ?」
「だ、か、ら…って」
「え?何?」
「浮気なんかしたら舞ちゃんは許さないぞ」
いつからだろう?
舞がこんな正直に
自分の思いを口にするようになったのは。
「ふっ」
「あ!もう何よ!鼻で笑ったでしょ、今!」
「かわいいなと…思ってさ」
「え、まぁ、そりゃ…コウイチくんのために毎日がんばってるもん、自分磨きとか」
「だよね、舞はフツーに喋ってる時も…ベッドの上でも、いつもかわいいよ」
「えぁぁぉあああ、もう!コウイチくん!」
ついさっきよりも更に頬を紅潮させた舞
色白の肌に浮かんだピンクがとても鮮やかだ
寮の少し手前で見送った舞の後ろ姿を見送ってると
ふと背中に人の気配を感じた。
「ナ・カ・ム・ラ…くんっ!」
「あ、さくちゃん」
すれ違いざまに咲良は僕の耳元でこう囁いた。
「どうだった?舞は…よかった?」
「え、あ、そりゃ…まあ…って何言わせんだよ」
「ヤッたな…こりゃ、後で舞に聞こうっと」
「こらー!」
再びバス停に戻ろうとした時
バスから足早に一人の女の子が飛び降りてきて
僕とぶつかりそうになった。
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫だよ、そっちは?大丈夫?」
「あ、私は…はいっ、ぁ、ぁぁりがとうございますぅ」
テンパった様子でそう答えた小柄な女の子は
看護学校らしき制服を身に纏っていた。
「舞の後輩…なのかな?」
淡い柑橘系のコロンの香りを残して
その少女はそのまま舞と同じ寮へと入っていった。
「なぁに?コウイチくん」
「舞と出会えてよかったよ」
「もぅ!それ、何か今日で終わりみたいな言い方!」
「あははは、ごめんごめん、これから…なのにね、俺たちはまだ」
「そう…そうだよ、今日から新章に突入だよ」
「でさ…?」
「なぁに?」
「早かった…かな?…」
「うぅん、わたしたちはわたしたちのスピードでいいんだよ」
「あ、いや、そっちもだけど…あの、アレ…時間的に早く…なかった?もうちょっと頑張れたかな…って」
「あ、やだ…!そっち?」
突然我に返ったように頬を紅潮させる
すっぴんの舞をいつもより可愛く感じた。
「ねぇ、コウイチくん…?」
「どしたの?」
「また…ほしくなっちゃった」
「え?もうこれで5回目…だよ?」
「ねぇ…」
舞から求められたことで
今日も帰りのバスは時間ギリギリだった。
「だから言ったのに」
「だってぇ…」
僕たちはようやくスタートラインに立ったのだろうか?
これまで舞とはどちらかと言えば
プラトニックな関係を好んでいる感じではあったが
これからはこのような時間帯が
増えることは間違いないだろう。
それは決して悪いことではない、
言葉では伝えきれない想いを
お互いの体で伝えあっているのだと思えば
これ以上の愛情表現の手段は他にないのだから。
結局今日も僕は舞と共にバスに乗り寮まで送っている
その道すがら
「俺、バイト始めようかと思って」
「あ、例の車の件でしょ?」
「うん、そしたらさこうしてバスに乗らなくてもよくなるかな、って」
「わたしはこれからよりも今が楽しいんことが大事、だからあんまり無理しないでね」
「わかった」
「またバイト先決まったら教えてね」
気づけばバスはもう南駅町の近くまで来ていた。
「あ、次の停留所だね」
「うん、また明日ね」
「いつものフードコートで、あ、実習だった?」
「ううん、明日は座学だから学校だよ」
「じゃ、学校の前で待ってるね」
「ほんとに!?」
「あ、こんな金髪のヤツが校門に立ってたらマズいかな?」
「大丈夫だよ、割りと有名なんだよコウイチくん」
「え?何で?」
「結構ライブ観に行ってるから、うちの生徒たち」
「そうなんだ?」
「だ、か、ら…って」
「え?何?」
「浮気なんかしたら舞ちゃんは許さないぞ」
いつからだろう?
舞がこんな正直に
自分の思いを口にするようになったのは。
「ふっ」
「あ!もう何よ!鼻で笑ったでしょ、今!」
「かわいいなと…思ってさ」
「え、まぁ、そりゃ…コウイチくんのために毎日がんばってるもん、自分磨きとか」
「だよね、舞はフツーに喋ってる時も…ベッドの上でも、いつもかわいいよ」
「えぁぁぉあああ、もう!コウイチくん!」
ついさっきよりも更に頬を紅潮させた舞
色白の肌に浮かんだピンクがとても鮮やかだ
寮の少し手前で見送った舞の後ろ姿を見送ってると
ふと背中に人の気配を感じた。
「ナ・カ・ム・ラ…くんっ!」
「あ、さくちゃん」
すれ違いざまに咲良は僕の耳元でこう囁いた。
「どうだった?舞は…よかった?」
「え、あ、そりゃ…まあ…って何言わせんだよ」
「ヤッたな…こりゃ、後で舞に聞こうっと」
「こらー!」
再びバス停に戻ろうとした時
バスから足早に一人の女の子が飛び降りてきて
僕とぶつかりそうになった。
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫だよ、そっちは?大丈夫?」
「あ、私は…はいっ、ぁ、ぁぁりがとうございますぅ」
テンパった様子でそう答えた小柄な女の子は
看護学校らしき制服を身に纏っていた。
「舞の後輩…なのかな?」
淡い柑橘系のコロンの香りを残して
その少女はそのまま舞と同じ寮へと入っていった。
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