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第16章. 女友達
【葛藤】
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進一と亜美留が付き合い始めたことは
悟志には暫く黙っておこうと思った。
下宿の弄られ役でもある進一の話題をすれば
普段は盛り上がるのだが
さすがに恋愛ごととなると少し気も遣うし
その話題を出せば出すほどに
独り身で不遇な悟志が何とも不憫に思えたからだ。
風の噂では亮二も和花とくっついたり離れたりを
繰り返してただならぬ状況らしい。
こんな時に僕たちの充実した顔を見ると
また二人して愚痴りながら酒でも飲み始めることだろう。
が、そんな心配をよそに悟志は
意外とサバサバしたもので
二人が一緒にいるとろほを見かけた、と
僕に報告してきた。
「お前がモンスターとか言うからどんな化け物かと思ったら、全然美人じゃねえか!」
「そうかなぁ?やまちゃんとは好きなタイプが違うだけじゃね?」
「いや、一般的見地からしてもあの人は美人だぞ、あぁ…あの時俺が電話に出てたらなぁ…」
「いや、どうだろうね?」
「どう言うことだよ、俺じゃダメってことかよ」
「思うにあみるん先輩は『かわいい系男子』が好きなんじゃないかな、って」
「そうか、だからシンだったってわけだな」
「ところで…シンちゃん…もう…」
「ヤっちゃった…かな?」
「表現、露骨だなぁ」
「お前と話してる時だけだよ」
「と、なると…遂にチェリーボーイ卒業ってこと?」
「タイプ的に上に乗られてガンガン…、、ってか?」
「だから露骨なんだって」
「お前と話す時だけだよ、だから」
「で…やまちゃん、、、は?」
「俺はまだ…」
「え~!マジで?それはそれで大問題だ」
「いや、この前さ、好きな先輩といい雰囲気になったんだけど」
「挿入できず?」
「何て言うか…いざとなったら」
「縮んだ、、、とか?」
「いや、相手の人も初めてでさ、手順て言うか…何と言うかがわからんくなって…」
「あんだけAV観てんのに?」
「そうそう…って、おい、やめろ!」
「目の前にするとなかなかうまくいかないもんだよね、最初は」
「もう、嫌われたかな?あんなだったから」
「いや、それは大丈夫だろ」
「何だよ、その根拠のない自信は?」
「いや、根拠はないけど」
「あぁ…ヤリたいなぁ」
「だから露骨なんだって」
悟志の気持ちは痛いほどよくわかった。
僕も今でこそ偉そうなことを言っているが
それもこれも
あの惨めな"初体験もどき"の屈辱があっての今だ。
実際、美波との時だって1回目の記憶は
ないくらいだから。
美波との記憶がフラッシュバックした時
先日亜美留と会った日の不安そうな舞の顔が
ふと頭をよぎった。
いわゆる女友達と少し会話をしただけで
あんな表情をさせてしまったのに
もしも美波との過去が知られたりしたら・・・
その先は考えるのも恐ろしかった。
「あぁ、自制しててよかった」
「ん?何の話だ?」
「いや、何でもない」
これでようやく全ての"女友達"と呼ばれる人たちとの
関わりは清算された
この先、おそらく
このような男女の交遊関係で悩むこともなくなる
…だろう
それが舞との気持ちの繋がりを
更に強いものに変えていく
そして心だけでなく体も結ばれれば
それは確固たるものになっていくだろう。
それは舞も同じ気持ちでいてくれている
僕はそう思っていた。
「ごめんね、コウイチくん…わたし」
その頃、舞もまた
ひとつの葛藤と戦い続けていた。
「嫌われちゃったらどうしよう、でも…」
もう"約束の週末"はすぐそこまで来ていた。
悟志には暫く黙っておこうと思った。
下宿の弄られ役でもある進一の話題をすれば
普段は盛り上がるのだが
さすがに恋愛ごととなると少し気も遣うし
その話題を出せば出すほどに
独り身で不遇な悟志が何とも不憫に思えたからだ。
風の噂では亮二も和花とくっついたり離れたりを
繰り返してただならぬ状況らしい。
こんな時に僕たちの充実した顔を見ると
また二人して愚痴りながら酒でも飲み始めることだろう。
が、そんな心配をよそに悟志は
意外とサバサバしたもので
二人が一緒にいるとろほを見かけた、と
僕に報告してきた。
「お前がモンスターとか言うからどんな化け物かと思ったら、全然美人じゃねえか!」
「そうかなぁ?やまちゃんとは好きなタイプが違うだけじゃね?」
「いや、一般的見地からしてもあの人は美人だぞ、あぁ…あの時俺が電話に出てたらなぁ…」
「いや、どうだろうね?」
「どう言うことだよ、俺じゃダメってことかよ」
「思うにあみるん先輩は『かわいい系男子』が好きなんじゃないかな、って」
「そうか、だからシンだったってわけだな」
「ところで…シンちゃん…もう…」
「ヤっちゃった…かな?」
「表現、露骨だなぁ」
「お前と話してる時だけだよ」
「と、なると…遂にチェリーボーイ卒業ってこと?」
「タイプ的に上に乗られてガンガン…、、ってか?」
「だから露骨なんだって」
「お前と話す時だけだよ、だから」
「で…やまちゃん、、、は?」
「俺はまだ…」
「え~!マジで?それはそれで大問題だ」
「いや、この前さ、好きな先輩といい雰囲気になったんだけど」
「挿入できず?」
「何て言うか…いざとなったら」
「縮んだ、、、とか?」
「いや、相手の人も初めてでさ、手順て言うか…何と言うかがわからんくなって…」
「あんだけAV観てんのに?」
「そうそう…って、おい、やめろ!」
「目の前にするとなかなかうまくいかないもんだよね、最初は」
「もう、嫌われたかな?あんなだったから」
「いや、それは大丈夫だろ」
「何だよ、その根拠のない自信は?」
「いや、根拠はないけど」
「あぁ…ヤリたいなぁ」
「だから露骨なんだって」
悟志の気持ちは痛いほどよくわかった。
僕も今でこそ偉そうなことを言っているが
それもこれも
あの惨めな"初体験もどき"の屈辱があっての今だ。
実際、美波との時だって1回目の記憶は
ないくらいだから。
美波との記憶がフラッシュバックした時
先日亜美留と会った日の不安そうな舞の顔が
ふと頭をよぎった。
いわゆる女友達と少し会話をしただけで
あんな表情をさせてしまったのに
もしも美波との過去が知られたりしたら・・・
その先は考えるのも恐ろしかった。
「あぁ、自制しててよかった」
「ん?何の話だ?」
「いや、何でもない」
これでようやく全ての"女友達"と呼ばれる人たちとの
関わりは清算された
この先、おそらく
このような男女の交遊関係で悩むこともなくなる
…だろう
それが舞との気持ちの繋がりを
更に強いものに変えていく
そして心だけでなく体も結ばれれば
それは確固たるものになっていくだろう。
それは舞も同じ気持ちでいてくれている
僕はそう思っていた。
「ごめんね、コウイチくん…わたし」
その頃、舞もまた
ひとつの葛藤と戦い続けていた。
「嫌われちゃったらどうしよう、でも…」
もう"約束の週末"はすぐそこまで来ていた。
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