僕とあの娘

みつ光男

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第15章.  シングルベッド

【カラダだけ…】

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「ど!どうしたんだよ、みなみん?びしょ濡れじゃないか!」

「ムラコウ…」

美波は一言、小さく呟くと僕の胸に顔を埋めた。

「どした?みなみん?」

平静を装ってはいるものの
僕の体は過敏に反応していた

やはり、あの日体感した美波の肌の感触は
僕の中から完全には拭い去れていなかった。

「もぅ…やだ!」

「だから、どうしたの?みなみん」

「もう、何もかも嫌になっちゃった」

「そっか」

「わかってる、わかってるよ!ムラコウだってこんなことされたら迷惑なのは」

「…え」

「彼女がいるのも、わかってる」

「じゃ、何でもオレのとこに…?」

「わかんない」

「とにかく、早く拭かなきゃ風邪ひくよ」

「ズルい…よ」

「え?」

「ズルいよ!優しくされたら、また…その気になっちゃうじゃない!」

このままでは埒があかない
何とか美波を冷静にさせる言葉を僕は探した。

確かに美波とはになった
でも舞がいる現在いま
ズルズルと関係を続ける訳にはいかない

かと言って今は激しい言葉で責め立てるのは逆効果だ。

曇る窓…湿気と美波の体温…蒸せ返るような空気の中で
雨に濡れた美波の髪の香りが
あの日の出来事をふと思い出させた。

" 流されちゃいけない "

僕は自分に言い聞かせながら
こうして美波を腕の中に抱いたまま
彼女の気持ちが落ち着くまで待つしか術がない…

その時だった

「あっ!こんなとこに!美波、探したよ!」

現れたのは有香だった
僕は内心、ホッと胸を撫で下ろした。

「あ、有香、よかった、探してたの?みなみんを」

「そう!もうずっと連絡取れなくって、何でここにいんの?」

「よくわかったね、ここだって」

「女の勘…ってやつ」

「それじゃ…みなみんのことよろしく、」

「あれ、今日、舞は…?」

舞と言う名前に反応したのか
その時、僕の腕の中にいる美波の体が小さく脈打った。

「あ、今日はちょっと…訳ありで」

「あ、もしかしての日なんだ?」

「な、何で…そんなこと」

「舞、酷いからねが始まるとさ」

そんな会話を遮るように美波が割って入る

「じゃあ…今日は…私と…一緒に…いてくれる?」

「だ、か、ら!もう美波!どうしたの?ムラコウはダメなんだって」

「私、2番目でいいよ、何ならでもいいから」

僕は何も言えなかった。

「ほらムラコウが困ってるじゃない、美波!帰るよ」

「だって、だってムラコウは…」

「ほーら、帰るよ美波」

有香に引っ張られるように連れて行かれた美波が
振り向き様、訳ありげに目配せをした…

嫌な予感しかしなかった。
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