69 / 129
第14章. おんなになぁれ
【探りを入れる】
しおりを挟む
体調も万全になり今朝の舞との濃密なやり取りで
すっかりその気になった僕は
何なら今日結ばれても、とそわそわしながら
看護学校の授業が終わる1時間前から
いつものフードコートに足を運んだ。
夕方5時を過ぎた頃、背中越しに声をかけられた
「コウイチくん」
舞の声がした、と振り返った瞬間
思わず息を飲んだ。
舞衣の後ろには・・・
咲良がいたのだ。
ーま、まさか
僕がふと咲良に視線を送ると舞から見えない位置で
両手を小さく広げて"セーフ"のポーズをした。
僕はホッと胸を撫で下ろした、
咲良を連れてきたことに他意はないようだ。
「あのね、ちょうど校門のとこで会ったから」
とりあえずドリンクを注文に行くことにした。
「じゃ舞の分は俺が買ってくるから」
「あ、そんじゃうちも行くよ、3つは持てないでしょ」
「じゃわたし待ってるね」
とりあえず咲良と情報交換できるタイミングが作れた。
列に並びながらひそひそと話す
「舞には…?」
「大丈夫、バレてない、へへ」
「ってことは…?」
「今日はたまたま、だよ、舞に声かけられて」
「そっかぁ、あのパターンこれからは無しだから」
「そだね、あ、空き缶は?」
「ちゃんと先に処分したから大丈夫」
「それなら…完璧だね、アリバイは」
「そ、もう勘弁してよほんとに」
「心臓に悪いねぇ」
この先、本当にこんなのはごめんだ
今回はどちらにも否はあるが
二人共に舞への申し訳なさは大きいから
さすがにこの事態を再び招くことはないだろう。
席に戻ると舞は話し始めた。
「あのね、聞きたいことがあるんだ」
「え?うちに?」
「そっ、実は咲良に来てもらったのには…」
やはり舞は全てを知っているのだろうか?
二人に緊張が走った…
が、舞衣が切り出した話題は
いささか拍子抜けする内容だった。
「咲良って、初めて彼氏と…その…」
「ヤラしいことしたのは…的な?」
「へ?」
ー あのね、付き合い始めて会うようになってから
何回目くらいで、そうなったのかな?なんて
「えっとね~、2回目くらいかな?ふふっ」
「え…どこまで?」
「ん?最後まで」
「そんなにあっけらかんと話すんかーい!」
「あ!ナカムラくんもいるのにね、あはは」
「でも、もうコウイチくんと咲良はもう友達だし、同じ感覚だからいいかな?と思って」
「でさでさ?それ、ナカムラくんとの時の参考にすんの?」
「・・・あ、そんなんじゃないよ!ちょっと聞きたかっただけ」
「いやいやいや、それはそうでしょ?」
「…あの、本人、いるんすけど」
「あ、そうだった!」
「忘れてた、ごめんねナカムラくん」
そうか、今朝あんなに積極的な舞だったのは
いつどのタイミングで…?
そんな想いがあったのだろう。
「舞はねぇ…きっと…舞とナカムラくんのペースでいいんじゃない?焦ることないよ」
「え!コウイチくんと同じこと言った!」
ー コウイチくんと咲良って似てるなぁ
だからどちらにも安心して話せるのかな?
「そう!舞はうちのこと、大好きだから
いつも耳噛んできたりとか、ね・・・」
「あー!もうやめてー!恥ずかしいー!」
真っ赤になって照れる舞もまた新鮮だった。
しかし咲良も一緒だったのは何となく
興が削がれたような気持ちになり
おかげで少しだけ冷静にさせられた。
1時間半ほどフードコートで3人、
あれこれ話しはしたが
「じゃあコウイチくん、また明日ね」
そう言うとこの日、舞は咲良と帰っていった。
その行為もまた僕に何となく不安な思いを抱かせた。
ー 舞は今日、僕と二人で居たくないのかな?
実際はその真逆であることなど
その時の僕は知るよしもなかった。
すっかりその気になった僕は
何なら今日結ばれても、とそわそわしながら
看護学校の授業が終わる1時間前から
いつものフードコートに足を運んだ。
夕方5時を過ぎた頃、背中越しに声をかけられた
「コウイチくん」
舞の声がした、と振り返った瞬間
思わず息を飲んだ。
舞衣の後ろには・・・
咲良がいたのだ。
ーま、まさか
僕がふと咲良に視線を送ると舞から見えない位置で
両手を小さく広げて"セーフ"のポーズをした。
僕はホッと胸を撫で下ろした、
咲良を連れてきたことに他意はないようだ。
「あのね、ちょうど校門のとこで会ったから」
とりあえずドリンクを注文に行くことにした。
「じゃ舞の分は俺が買ってくるから」
「あ、そんじゃうちも行くよ、3つは持てないでしょ」
「じゃわたし待ってるね」
とりあえず咲良と情報交換できるタイミングが作れた。
列に並びながらひそひそと話す
「舞には…?」
「大丈夫、バレてない、へへ」
「ってことは…?」
「今日はたまたま、だよ、舞に声かけられて」
「そっかぁ、あのパターンこれからは無しだから」
「そだね、あ、空き缶は?」
「ちゃんと先に処分したから大丈夫」
「それなら…完璧だね、アリバイは」
「そ、もう勘弁してよほんとに」
「心臓に悪いねぇ」
この先、本当にこんなのはごめんだ
今回はどちらにも否はあるが
二人共に舞への申し訳なさは大きいから
さすがにこの事態を再び招くことはないだろう。
席に戻ると舞は話し始めた。
「あのね、聞きたいことがあるんだ」
「え?うちに?」
「そっ、実は咲良に来てもらったのには…」
やはり舞は全てを知っているのだろうか?
二人に緊張が走った…
が、舞衣が切り出した話題は
いささか拍子抜けする内容だった。
「咲良って、初めて彼氏と…その…」
「ヤラしいことしたのは…的な?」
「へ?」
ー あのね、付き合い始めて会うようになってから
何回目くらいで、そうなったのかな?なんて
「えっとね~、2回目くらいかな?ふふっ」
「え…どこまで?」
「ん?最後まで」
「そんなにあっけらかんと話すんかーい!」
「あ!ナカムラくんもいるのにね、あはは」
「でも、もうコウイチくんと咲良はもう友達だし、同じ感覚だからいいかな?と思って」
「でさでさ?それ、ナカムラくんとの時の参考にすんの?」
「・・・あ、そんなんじゃないよ!ちょっと聞きたかっただけ」
「いやいやいや、それはそうでしょ?」
「…あの、本人、いるんすけど」
「あ、そうだった!」
「忘れてた、ごめんねナカムラくん」
そうか、今朝あんなに積極的な舞だったのは
いつどのタイミングで…?
そんな想いがあったのだろう。
「舞はねぇ…きっと…舞とナカムラくんのペースでいいんじゃない?焦ることないよ」
「え!コウイチくんと同じこと言った!」
ー コウイチくんと咲良って似てるなぁ
だからどちらにも安心して話せるのかな?
「そう!舞はうちのこと、大好きだから
いつも耳噛んできたりとか、ね・・・」
「あー!もうやめてー!恥ずかしいー!」
真っ赤になって照れる舞もまた新鮮だった。
しかし咲良も一緒だったのは何となく
興が削がれたような気持ちになり
おかげで少しだけ冷静にさせられた。
1時間半ほどフードコートで3人、
あれこれ話しはしたが
「じゃあコウイチくん、また明日ね」
そう言うとこの日、舞は咲良と帰っていった。
その行為もまた僕に何となく不安な思いを抱かせた。
ー 舞は今日、僕と二人で居たくないのかな?
実際はその真逆であることなど
その時の僕は知るよしもなかった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~
海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。
そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。
そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ゼンタイリスト! 全身タイツなひとびと
ジャン・幸田
ライト文芸
ある日、繁華街に影人間に遭遇した!
それに興味を持った好奇心旺盛な大学生・誠弥が出会ったのはゼンタイ好きの連中だった。
それを興味本位と学術的な興味で追っかけた彼は驚異の世界に遭遇する!
なんとかして彼ら彼女らの心情を理解しようとして、振り回される事になった誠弥は文章を纏められることができるのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる