僕とあの娘

みつ光男

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第14章.  おんなになぁれ

【ひとつになりたい】

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そして舞は正気に戻ったように座り込み

「あ、ありがとう、ごめんねぇ、朝から濃すぎたかな?」

「いやいやこんなのなら大歓迎」

これまでの柔和でほんわりした舞とは違う
" おんなの一面 "を垣間見た瞬間でもあったが

これで僕は確信した

舞が今はさほど望んでいないのなら
肉体関係はさておき共に過ごす時間を大切にしよう、

これまではそう思っていた。

だがしかし、舞が望むのであれば
もうになってもいいのではないか?

咲良は不思議がっていたが
僕たちは付き合い始めて3ヶ月経過している。

方が逆に不自然と言うものだろう。


この日の積極的な舞衣をして
僕はひとつの思いを決めた。

ゴールではなくもうひとつのスタートとして
舞と結ばれよう、と。

 それは例えば僕が"キミのことが欲しいんだ"などと
ストレートに伝えなくとも
遠回しな表現でも舞ならすぐに理解するだろう。


「・・・舞」

「なぁに?」

「土曜日は泊まってっていいよ」

「ホントに?!」

「うん、帰る時間も気にしなくていいからね」

「やったぁ!」


咲良と過ごした一夜の記憶は
おそらくこの日で上書きされるだろう

そして舞にも要らぬ疑いを抱かれることはない

咲良に対して若干の申し訳なさはあるものの
僕の彼女は舞、なのだから。


「それじゃ夕方ね」

「うん、先に行っとくよ、今日は」

「いい席取っててね、あ、これ、お弁当だよ」

「ありがとう、また講義終わったら食べるよ」

「じゃ行ってくるね」

「はーい、俺ももう少ししたら・・・」

「じゃあ・・・ん」

舞はそう言うと目を閉じて唇を尖らせた。

 ところで咲良は…ギリギリまで学校で待っていたが
舞は一向に戻らない

「こりゃ二人よろしくやってるなぁ、もしかしてあんなことやこんなことも・・・へへへ」

とにかく、ひと安心。

もしもうちのせいで二人に何か亀裂が入ったら
責任感じるレベル、じゃないもんな。

明日、舞は実習で病院直行だから
ちょっとナカムラくんとこ、行ってみようかな?


・・・ん?

でもそんなにうちが頻繁に顔出していいんだろうか?
ナカムラくんは舞衣の彼、なんだもんね。

うちがしゃしゃり出て割って入ったら
迷惑かけちゃうよねぇ。

ま、明日だけにしよっと

とりあえず舞を怒らせることは無くなった、
はずだし。


一方、舞を見送った鴻一はと言うと・・・

「今日の舞、何であんなに…?」

何かを察して、気持ちを引き寄せようとした?
それとも本当にこの二日間会えなかったことで
悶々としてしまった?

いずれにしてもそう遠くない未来に
僕と舞は・・・間違いなく結ばれるだろう。

大事なのはその先、だよな
その先に見えるモノ、目指す先を明確にしなきゃ

「ま、そんなに難しく考えることないか」

舞が笑ってくれてればいい。

でもこの先のことを考えると
誰にでも優しくするのはやめた方がいいのかな?

昨晩の咲良だって毅然と断れば
納得して帰っていたかも知れない。

美波の時だって同じだ

誰からも好かれようとするのは
悪い訳ではないと思うけど

無駄に優しく接するのは考えものだな。


夕方の舞との待ち合わせまで
僕はずっとそんなことを考えていた。
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