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第14章. おんなになぁれ
【急接近な濃厚接触】
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一方、咲良を見送った鴻一は
講義まであとひと眠りしようと布団に潜り込んだ。
と、その時
慣れない香りがふと鼻をついた。
目の前のちゃぶ台には咲良が飲み残した缶ビール
ビールの独特の風味が僕はとても苦手だ。
「もう飲むなら全部飲めばいいのに、さくちゃんは全く!」
僕は缶ビールの残りを洗面所に流し
窓を開けた部屋中に消臭スプレーを散布する
これでスッキリした
「部屋もぐちゃぐちゃだなぁ」
咲良が買ってきてくれた大量のお菓子を
非常食として押し入れの中に片付けて
横になった瞬間、睡魔に襲われた。
「何か大変な一日だったな」
そのおかげか、体の痛みも忘れてしまっていた
学校行く前にしばらく寝ておこう
すると…
コンコン…!
ドアをノックする音がする。
気のせいかな?
夢見てるのかな?
それとも忘れ物でもした咲良が
取りに来たのだろうか
気が遠くなって意識が薄れていく。
「・・・くん」
誰かの声がする
「・・・くん」
夢ではないようだ
やがて静かにドアが開いた
てっきり咲良が戻ってきたのだと思った。
「んー?何ー?何かあったのー?」
寝ぼけた僕がそう口にした時
「あはは、コウイチくん、寝ぼけてる~!」
訪問者は舞だった。
「あ!舞!来てくれたんだ!」
「おはよ」
「熟睡してましたがな」
「ふふっ寝言、言ってたよぉ」
よかった・・・
舞は寝言だと勘違いしたようだ。
ほんの少しの気まずさを解消しようと
「舞、会いたかったー」
僕は立ち上がって舞を抱きしめた。
「わたしも・・・」
舞もまるで子供のように僕に抱きつく。
しばらく抱き合ったまま
舞の艶やかな髪を撫でる僕の右手には
咲良の歯形がしっかりと残っていた。
その時、舞がふと口にした言葉に
僕は戦慄を覚えざるを得なかった
「あれ?今日のコウイチくん・・・」
「なに?」
「何かね・・・咲良と同じ匂いがする」
まさか・・・
舞は全てを察したのか?
あくまでも僕は平静を装って
「え?さくちゃんの?よくわかんないな」
「ふふっ、気のせいだね、さっき咲良に会ったからそう思ったのかも」
「え?こんな時間に?あ!そうか、直接実家から…って話してたね」
僕はまるで知らぬ存ぜぬの様相で
舞の言葉を聞いていた。
まさかほんの数分前まで
咲良がこの部屋で眠っていたことなど
知るよしもないだろう
それを思うと何とも申し訳ない気持ちにかられて
何とか埋め合わせをしなければ
そんな思いでいっぱいになった。
「舞・・・」
「なぁにぃ?」
「土曜日、また釣りに行く?」
「あ!いいね、今度はわたしも・・・」
「え?何?」
「咲良みたいに外泊申請しちゃおうかなー」
「ははは、釣りなのに」
「そっ!またバスに遅れたら…」
「チャリで2人乗りはやっぱしんどい?」
「ん~ん、お泊まりしちゃう、わざと乗り遅れて」
「ははは、最初からそのつもりなんだ?」
「だぁってー!」
突然、甘えた声を出しながら舞の顔が近づいてきた。
そしてあの日以来、舞の唇が僕の唇に触れた
「コウイチ・・・くん」
僕はしなだれかかってきた舞に
押し倒されるようにベッドに横になった
舞の唇は僕の唇と重なったまま妖しく蠢き
その柔らかな舌先が僕の舌と絡まる
こんな濃厚な接触は
少なくともこれまでの舞とは皆無だった
「舞、制服がしわになっちゃうよ」
「いいよ・・・」
そして僕の首筋から鎖骨にかけて
舞は僕に視線を向けながら
ゆっくりと唇を這わせてゆく。
「ど、どしたの?舞?今日はそんなに…」
「会いたかった…の」
ー会えない間、色々妄想しちゃって
もう今日はいっぱい触れ合いたくって・・・
暫し、舞にされるがままだった
僕は舞の背中に手を回して
その柔らかな黒髪をそっと撫でた。
それが今の僕に出来る唯一の抵抗だった。
講義まであとひと眠りしようと布団に潜り込んだ。
と、その時
慣れない香りがふと鼻をついた。
目の前のちゃぶ台には咲良が飲み残した缶ビール
ビールの独特の風味が僕はとても苦手だ。
「もう飲むなら全部飲めばいいのに、さくちゃんは全く!」
僕は缶ビールの残りを洗面所に流し
窓を開けた部屋中に消臭スプレーを散布する
これでスッキリした
「部屋もぐちゃぐちゃだなぁ」
咲良が買ってきてくれた大量のお菓子を
非常食として押し入れの中に片付けて
横になった瞬間、睡魔に襲われた。
「何か大変な一日だったな」
そのおかげか、体の痛みも忘れてしまっていた
学校行く前にしばらく寝ておこう
すると…
コンコン…!
ドアをノックする音がする。
気のせいかな?
夢見てるのかな?
それとも忘れ物でもした咲良が
取りに来たのだろうか
気が遠くなって意識が薄れていく。
「・・・くん」
誰かの声がする
「・・・くん」
夢ではないようだ
やがて静かにドアが開いた
てっきり咲良が戻ってきたのだと思った。
「んー?何ー?何かあったのー?」
寝ぼけた僕がそう口にした時
「あはは、コウイチくん、寝ぼけてる~!」
訪問者は舞だった。
「あ!舞!来てくれたんだ!」
「おはよ」
「熟睡してましたがな」
「ふふっ寝言、言ってたよぉ」
よかった・・・
舞は寝言だと勘違いしたようだ。
ほんの少しの気まずさを解消しようと
「舞、会いたかったー」
僕は立ち上がって舞を抱きしめた。
「わたしも・・・」
舞もまるで子供のように僕に抱きつく。
しばらく抱き合ったまま
舞の艶やかな髪を撫でる僕の右手には
咲良の歯形がしっかりと残っていた。
その時、舞がふと口にした言葉に
僕は戦慄を覚えざるを得なかった
「あれ?今日のコウイチくん・・・」
「なに?」
「何かね・・・咲良と同じ匂いがする」
まさか・・・
舞は全てを察したのか?
あくまでも僕は平静を装って
「え?さくちゃんの?よくわかんないな」
「ふふっ、気のせいだね、さっき咲良に会ったからそう思ったのかも」
「え?こんな時間に?あ!そうか、直接実家から…って話してたね」
僕はまるで知らぬ存ぜぬの様相で
舞の言葉を聞いていた。
まさかほんの数分前まで
咲良がこの部屋で眠っていたことなど
知るよしもないだろう
それを思うと何とも申し訳ない気持ちにかられて
何とか埋め合わせをしなければ
そんな思いでいっぱいになった。
「舞・・・」
「なぁにぃ?」
「土曜日、また釣りに行く?」
「あ!いいね、今度はわたしも・・・」
「え?何?」
「咲良みたいに外泊申請しちゃおうかなー」
「ははは、釣りなのに」
「そっ!またバスに遅れたら…」
「チャリで2人乗りはやっぱしんどい?」
「ん~ん、お泊まりしちゃう、わざと乗り遅れて」
「ははは、最初からそのつもりなんだ?」
「だぁってー!」
突然、甘えた声を出しながら舞の顔が近づいてきた。
そしてあの日以来、舞の唇が僕の唇に触れた
「コウイチ・・・くん」
僕はしなだれかかってきた舞に
押し倒されるようにベッドに横になった
舞の唇は僕の唇と重なったまま妖しく蠢き
その柔らかな舌先が僕の舌と絡まる
こんな濃厚な接触は
少なくともこれまでの舞とは皆無だった
「舞、制服がしわになっちゃうよ」
「いいよ・・・」
そして僕の首筋から鎖骨にかけて
舞は僕に視線を向けながら
ゆっくりと唇を這わせてゆく。
「ど、どしたの?舞?今日はそんなに…」
「会いたかった…の」
ー会えない間、色々妄想しちゃって
もう今日はいっぱい触れ合いたくって・・・
暫し、舞にされるがままだった
僕は舞の背中に手を回して
その柔らかな黒髪をそっと撫でた。
それが今の僕に出来る唯一の抵抗だった。
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