僕とあの娘

みつ光男

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第11章.  愛をちょうだい

【会いに来て】

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「俺がだって?」

「だろ?いつも遊びに来てる女の子、違うだろ?」

確かに有香に美波、そして舞と
複数の女子が訪れてはいるが

別にやましいことがあるわけではないし

そもそも今は舞と言う
れっきとしたがいる。

でもそんな正論は今の悟史には通じないだろう、

「あぁそうだよ、俺はモテるからな」

開き直った僕の様子を見た二人は僕を見て


ー いや一番悪いのはコイツだよ
世の女子たちの敵だよな

さっきまで言い争っていた
悟史と亮二は突如結託した。

ほんとはこう言うヤツに天罰がくだらないと
いけないのに

俺らなんか可愛いもんだよ・・・


いつしか悪役にされてしまったが
それでようやくこの険悪な雰囲気も解消された。

「あぁ!愛が欲しいなぁ」

「誰か俺に愛をくれー!」

 相談しておきながら標的にされて責められた…
何だか馬鹿馬鹿しくなって少々疲れてきた僕は

「明日早いから部屋に戻るわ」

そう言ってそそくさと悟史の部屋から退散した。

それからもしばらく二人は話し込んでいたようで
時々廊下に二人の話し声が漏れていた。


" あ、これは俺が返しとくからいいよ "

部屋で一人、舞が借りたCDを眺めながら
僕は少し前の話を思い出した。

舞にとって僕が
もしも "初めての男" じゃなかったとしたら…?


あの純情そうにしか見えない舞が過去に誰かと…?
まるで想像がつかなかった。

例えばそんな現実に
実際向き合う時が来たととしたら?

僕は舞を責めるのだろうか?
責める権利があるだろうか?

まだ舞と付き合う前とは言え
美波と"あんな関係"になっておきながら。


それよりも僕の舞への想いが
舞の過去など凌駕してしまうだろう

それでも少なからずショックは受けるに違いない
そう考えると亮二の気持ちもわからないでもないよな、

少し複雑な気持ちになりながらベッドに潜り込んだ。

もしもその日が来ても
『二人にとっての初めて』は

ではやめておこう、

もっともっと舞と過ごす時間が、二人の想い出が、
美波との "情事" を完全に上書きしてしまうまでは…

 亮二の話を聞かされてからと言うもの、
僕は舞と結ばれる時のシチュエーションを
妄想してしまう癖がついてしまった。

それは決して精神的にも肉体的にも
不健康なことではないと思いながらも

そこばかりに気持ちを集中させるのは
いかがなものだろうか?

そんな思いも交錯していた。


時に意味もなくニヤニヤしている僕を見た舞は

「な~んか、楽しそう」

そう言って笑っていた。

内心、このもどかしい気持ちも悟ってくれたらと
思ったりもしたが

あの日、二人の唇が触れ合ってから
僕と舞との間に特に進展はなかった。

 そしてある日舞、は唐突に"あの話題"を切り出した。

「コウイチくん、来る?」

「え?何処に?」

「私の…部屋に」

「あっ!例の?」

「ふふふっ、そう!例の」

「でも、さくちゃんもいるよね?大丈夫?」

「うん!歓迎するよ、って言ってた」

咲良が同じ部屋にいるのであれば
間違っても舞とそれっぽい雰囲気になることはない

それはそれで少し物足りない気もするが
まだ時期尚早、と言うお告げなのだろう。

「でも、どうやって?舞はこの前"秘策"があるって言ってたけど」

「そぅ、それね…楽しみにしてて」

僕が男子禁制である舞の寮の部屋に
何事もなく潜入できる
そんな手段などあるのだろうか?

以前その話題になった時
舞のみならず咲良も随分楽しそうな表情だった。


 この数日後、舞と咲良そして僕の3人で
食事に行くことになった。

組み合わせ的に女子2人男子1人だと
バランスが取れないのでは?と思ったが

二人は口を揃えてこう言うのだった

「他の男子は連れて来ないでね!」


舞が口にする "秘策" とは一体?
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