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第10章. つづいてゆくのかな?
【しあわせであるように…】
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「どうしたの舞?珍しいね、一人でレンタルに来るなんて」
「ううん、一人・・・じゃないよ 彼氏と、かな
ふふっ」
そう言って頬を紅潮させた舞はうつむきながら
少し離れた場所でCDを見ているそんな“彼氏”を指差した。
「あ!ムラコウだ!…上手くやってるんだ!よかったね」
「うん、今日も学校帰りにちょっと、ね」
「そっかあ、何か付き合い悪いと思ったら…そう言うことね」
「ごめんね、最近すぐ帰っちゃって」
「いいっていいって!ずっとムラコウのこと好きだったんでしょ?よかったじゃない」
「有香、ほんとにありがとう、わたし一人じゃここまでは…」
「気にすることないよ!私のことなんて、おーい!ムラコウ~っ!」
誰かに呼ばれた気がして振り返ると
何とも言えない懐かしさが込み上げてきた。
舞と有香、この2ショットを見るのは
いつ以来だろう?
「うわっ!久しぶりだな、まさか有香にここで会うとは」
「思い出の場所…だったっけ?ここって」
「いやぁ、あの時ライブのチケットをさ…」
「あー!あれ?もう1年前くらい?」
「秋くらい…だったよね?コウイチくん」
「さすが舞!よく覚えてるね…あの頃からムラコウのこと…す、す…」
「もう!有香ったら!」
あの日のように真っ赤になって照れる舞を見て
このままでいい、このままがいいな、素直にそう思った。
「有香は今日一人で?」
「あ、そ、そうね、たまたま借りてたCD返しに来ただけ」
「そっか、それじゃまた!」
「じゃあ、これからも仲良くねー」
有香は正面玄関の駐車場へ戻っていった。
「舞は借りたいの決まった?」
「うん!」
「じゃ、行こう」
僕たちはレンタルを終えると
先ほどと同じルートで下宿へと戻った
もちろんクレーンゲームもしっかり楽しんでから。
そして車に戻った有香は
助手席に座る友人に話しかけた。
「いやぁ、今、意外な人に会っちゃった」
「誰に?」
「ムラコウだよ!」
「え、ムラコウ?」
「そっ!舞と一緒だった」
「そぅ、あの二人…付き合ったんだ、やっぱり」
「どうしたの?そんなに残念なお知らせだった?」
「そんなこと…ないよ」
「だよねー!美波」
こんな小さな街で暮らしていれば僕が気づかないだけで
この先もこんなニアミスは頻発するだろう。
ームラコウ、やっぱりあの娘と
付き合ってるんだ。
あの時…あの娘、コンパの時に初めて会ったけど
ずっとムラコウのこと話してたよね、確か。
「で?どうだったムラコウ、元気そうだった?」
「ま、いつものムラコウだよ、どうしたの?何か気になる?」
「あ、いや、私、そこそこ会ってないからね」
「そう?前は二人でよく遊びに行ってたよね?」
「ま、そうだね、ムラコウとの思い出はそれなりにあるから…」
「へぇ~、そうなんだ?」
「有香には話してないけどね、あんまり。
思い出だけで3年は生きていけるくらい、ははっ」
「ほぅ?え?もしかしてアッチの方も…?」
「それはないよ」
「どうだか?」
「どう言う意味?」
「美波って気持ちと体が連動してそうだもん、それに…」
「な、何?」
「まんざらでもなかったんでしょ?ムラコウのこと」
…有香って
普段、男子になんて無頓着なふりしてて
妙なとこ鋭くって不意に痛いとこ突いてくるよね。
「あ、まぁ、キライではないよ」
「って事はぁ?」
「何なのよ」
「好きだった…んだね?」
「はぁ…」
「図星?」
大きく息を吐き出してから美波は答えた。
「あながち間違いではない」
「認めたな」
「半強制だよ、それ」
ーでもね、ムラコウには致命的な欠点があるの…
「え?何それ?どういうこと?」
「あの人…優しすぎるんだよ」
ー優しいのは とてもステキなこと
でも優し過ぎると、関わった人の中に
不幸な人が生まれてしまう…私みたいにね。
美波はその言葉を胸の奥にしまったまま
「つづいていくのかな・・・?」
「えっ?」
「あの二人、つづいていくのかな?」
「大丈夫じゃない?お似合いだし」
有香は美波がその言葉を口にした本当の思いを
まだその時は知らなかった。
「ううん、一人・・・じゃないよ 彼氏と、かな
ふふっ」
そう言って頬を紅潮させた舞はうつむきながら
少し離れた場所でCDを見ているそんな“彼氏”を指差した。
「あ!ムラコウだ!…上手くやってるんだ!よかったね」
「うん、今日も学校帰りにちょっと、ね」
「そっかあ、何か付き合い悪いと思ったら…そう言うことね」
「ごめんね、最近すぐ帰っちゃって」
「いいっていいって!ずっとムラコウのこと好きだったんでしょ?よかったじゃない」
「有香、ほんとにありがとう、わたし一人じゃここまでは…」
「気にすることないよ!私のことなんて、おーい!ムラコウ~っ!」
誰かに呼ばれた気がして振り返ると
何とも言えない懐かしさが込み上げてきた。
舞と有香、この2ショットを見るのは
いつ以来だろう?
「うわっ!久しぶりだな、まさか有香にここで会うとは」
「思い出の場所…だったっけ?ここって」
「いやぁ、あの時ライブのチケットをさ…」
「あー!あれ?もう1年前くらい?」
「秋くらい…だったよね?コウイチくん」
「さすが舞!よく覚えてるね…あの頃からムラコウのこと…す、す…」
「もう!有香ったら!」
あの日のように真っ赤になって照れる舞を見て
このままでいい、このままがいいな、素直にそう思った。
「有香は今日一人で?」
「あ、そ、そうね、たまたま借りてたCD返しに来ただけ」
「そっか、それじゃまた!」
「じゃあ、これからも仲良くねー」
有香は正面玄関の駐車場へ戻っていった。
「舞は借りたいの決まった?」
「うん!」
「じゃ、行こう」
僕たちはレンタルを終えると
先ほどと同じルートで下宿へと戻った
もちろんクレーンゲームもしっかり楽しんでから。
そして車に戻った有香は
助手席に座る友人に話しかけた。
「いやぁ、今、意外な人に会っちゃった」
「誰に?」
「ムラコウだよ!」
「え、ムラコウ?」
「そっ!舞と一緒だった」
「そぅ、あの二人…付き合ったんだ、やっぱり」
「どうしたの?そんなに残念なお知らせだった?」
「そんなこと…ないよ」
「だよねー!美波」
こんな小さな街で暮らしていれば僕が気づかないだけで
この先もこんなニアミスは頻発するだろう。
ームラコウ、やっぱりあの娘と
付き合ってるんだ。
あの時…あの娘、コンパの時に初めて会ったけど
ずっとムラコウのこと話してたよね、確か。
「で?どうだったムラコウ、元気そうだった?」
「ま、いつものムラコウだよ、どうしたの?何か気になる?」
「あ、いや、私、そこそこ会ってないからね」
「そう?前は二人でよく遊びに行ってたよね?」
「ま、そうだね、ムラコウとの思い出はそれなりにあるから…」
「へぇ~、そうなんだ?」
「有香には話してないけどね、あんまり。
思い出だけで3年は生きていけるくらい、ははっ」
「ほぅ?え?もしかしてアッチの方も…?」
「それはないよ」
「どうだか?」
「どう言う意味?」
「美波って気持ちと体が連動してそうだもん、それに…」
「な、何?」
「まんざらでもなかったんでしょ?ムラコウのこと」
…有香って
普段、男子になんて無頓着なふりしてて
妙なとこ鋭くって不意に痛いとこ突いてくるよね。
「あ、まぁ、キライではないよ」
「って事はぁ?」
「何なのよ」
「好きだった…んだね?」
「はぁ…」
「図星?」
大きく息を吐き出してから美波は答えた。
「あながち間違いではない」
「認めたな」
「半強制だよ、それ」
ーでもね、ムラコウには致命的な欠点があるの…
「え?何それ?どういうこと?」
「あの人…優しすぎるんだよ」
ー優しいのは とてもステキなこと
でも優し過ぎると、関わった人の中に
不幸な人が生まれてしまう…私みたいにね。
美波はその言葉を胸の奥にしまったまま
「つづいていくのかな・・・?」
「えっ?」
「あの二人、つづいていくのかな?」
「大丈夫じゃない?お似合いだし」
有香は美波がその言葉を口にした本当の思いを
まだその時は知らなかった。
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