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第09章. “愛してる”がわからない
【施錠】
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"あの日 "はごくありふれた日々の中で突然訪れた
まるで交通事故のような突然変異案件。
講義が終わった僕はいつものように
夕食のおかずを調達してスーパーの袋を手に
下宿へと戻った、部屋は施錠していなかった。
確かにたくさんのCDや雑誌はあったが
普段、金銭は全く置いてないし
講義も4限のみだったので
鍵を閉めずに大学に行ったのだ。
だが今日は何かが違っていた、
部屋に戻った瞬間に"人がいた気配"を感じたのだ。
リモコンや日用品が移動していた、とか
そんなのではない。
僕は慌てて数少ない貴重品を確認したが
問題はなかった。
あれ?それなら僕の早とちりかな?
それならば問題ないだろうと
鉄パイプ製の簡易ベッドに腰かけた・・・
その時だった
突然布団がめくれ上がり
「わ~~~っ!」と言う声と共に
『誰か』が飛び出してきた。
僕はあまりの驚きに
まるでバネ仕掛けの操り人形のように
この狭い四畳半の部屋の端から端まで飛び上がった。
部屋の端っこで柱に背中をぶつけた僕を見て
「あっ!ごめんごめんムラコウ!…大丈夫?」
声の主は・・・
「みなみんかぁ!ビックリしたなぁ、もう!」
美波だった。
「ごめんねムラコウ、最初はドアのとこで待ってたんだけど、管理人のおばあさんが見えたから…」
ちょうど部屋の鍵がかかってなかったから
部屋の中に逃げ込んだ、ってわけ。
留守みたいだし帰ろうかな、って思って
窓から外を見てたらムラコウが見えたから
「おどかそうと思って布団の中に、へへっ」
「へへっ、じゃないよ、心臓止まったよ、ほんと」
「でも止まってないじゃん、よかったね」
「でもさぁ…」
「どしたの?」
「もしも俺が彼女とか連れて帰ってたら…洒落にならなかっただろうな」
「えっ!ムラコウ、彼女できたのー?」
「いや、例えば…の話だよ」
「そうなんだ、でもムラコウなら」
「何?」
「いてもおかしくないよね、優しいから」
「でも今日は焦った、もうマジで心臓に悪いから」
「ごめーん、ね」
美波はそう言うとベッドに腰かける僕の横に
すっと寄り添った。
その柔らかな香りと体温を肌に感じた瞬間
僕の中で " あの時の記憶 "がフラッシュバックした。
「あっ、そうだ」
ふと立ち上がった美波は
ガチャ…!
ドアの前に行くと鍵を閉めた。
「どうしたの?」
「あ、ちょっとね」
その行為の意味はすぐにわかることとなった。
「ねぇムラコウ…」
再び僕の隣に座った美波は甘いトーンで話しかけてきた。
「何?」
「この前の話…」
「この前の?」
「うん…聞かせて」
「え?どの話?」
美波は僕の顔をまじまじと見つめてこう言った。
「・・・体験談!」
「またそれ?全然面白くないよ、ほんとに」
「いいから!あるんでしょ?」
「あんまり話したくないんだよね」
「え、何でー?」
ー そりゃ、そうだろ
そんな…まだ過去の思い出として笑えるほど
昔のことじゃないんだから
まだ生々しく記憶に残っている無様な " 初体験 "
「ふぅ…じゃ、話そっか」
誰かに話すことで楽になるかも知れない、
大きく溜め息をついてから僕は話し始めた。
「お!待ってました」
それは2年前のこと、僕が高校の同級生だった
沙弥香と付き合っていた頃の話だ・・・
まるで交通事故のような突然変異案件。
講義が終わった僕はいつものように
夕食のおかずを調達してスーパーの袋を手に
下宿へと戻った、部屋は施錠していなかった。
確かにたくさんのCDや雑誌はあったが
普段、金銭は全く置いてないし
講義も4限のみだったので
鍵を閉めずに大学に行ったのだ。
だが今日は何かが違っていた、
部屋に戻った瞬間に"人がいた気配"を感じたのだ。
リモコンや日用品が移動していた、とか
そんなのではない。
僕は慌てて数少ない貴重品を確認したが
問題はなかった。
あれ?それなら僕の早とちりかな?
それならば問題ないだろうと
鉄パイプ製の簡易ベッドに腰かけた・・・
その時だった
突然布団がめくれ上がり
「わ~~~っ!」と言う声と共に
『誰か』が飛び出してきた。
僕はあまりの驚きに
まるでバネ仕掛けの操り人形のように
この狭い四畳半の部屋の端から端まで飛び上がった。
部屋の端っこで柱に背中をぶつけた僕を見て
「あっ!ごめんごめんムラコウ!…大丈夫?」
声の主は・・・
「みなみんかぁ!ビックリしたなぁ、もう!」
美波だった。
「ごめんねムラコウ、最初はドアのとこで待ってたんだけど、管理人のおばあさんが見えたから…」
ちょうど部屋の鍵がかかってなかったから
部屋の中に逃げ込んだ、ってわけ。
留守みたいだし帰ろうかな、って思って
窓から外を見てたらムラコウが見えたから
「おどかそうと思って布団の中に、へへっ」
「へへっ、じゃないよ、心臓止まったよ、ほんと」
「でも止まってないじゃん、よかったね」
「でもさぁ…」
「どしたの?」
「もしも俺が彼女とか連れて帰ってたら…洒落にならなかっただろうな」
「えっ!ムラコウ、彼女できたのー?」
「いや、例えば…の話だよ」
「そうなんだ、でもムラコウなら」
「何?」
「いてもおかしくないよね、優しいから」
「でも今日は焦った、もうマジで心臓に悪いから」
「ごめーん、ね」
美波はそう言うとベッドに腰かける僕の横に
すっと寄り添った。
その柔らかな香りと体温を肌に感じた瞬間
僕の中で " あの時の記憶 "がフラッシュバックした。
「あっ、そうだ」
ふと立ち上がった美波は
ガチャ…!
ドアの前に行くと鍵を閉めた。
「どうしたの?」
「あ、ちょっとね」
その行為の意味はすぐにわかることとなった。
「ねぇムラコウ…」
再び僕の隣に座った美波は甘いトーンで話しかけてきた。
「何?」
「この前の話…」
「この前の?」
「うん…聞かせて」
「え?どの話?」
美波は僕の顔をまじまじと見つめてこう言った。
「・・・体験談!」
「またそれ?全然面白くないよ、ほんとに」
「いいから!あるんでしょ?」
「あんまり話したくないんだよね」
「え、何でー?」
ー そりゃ、そうだろ
そんな…まだ過去の思い出として笑えるほど
昔のことじゃないんだから
まだ生々しく記憶に残っている無様な " 初体験 "
「ふぅ…じゃ、話そっか」
誰かに話すことで楽になるかも知れない、
大きく溜め息をついてから僕は話し始めた。
「お!待ってました」
それは2年前のこと、僕が高校の同級生だった
沙弥香と付き合っていた頃の話だ・・・
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