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第07章. 釣りに行こう
【真っ赤な自転車にふたり乗りで】
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「あ!でも、今食べたらお昼どうしよ?」
おにぎりを頬張りながら
舞は急に困ったような表情で僕に言った。
「じゃ、お昼ご飯は釣れた魚にしよっか?」
「え?その場で食べるの?」
「そっ!そのまま丸かじりで」
「えー!そんなの大丈夫なのー?」
「ははは…ウソだよ」
「もうっ!!」
ー釣れるかどうかはわかんないけど
ま、ぼんやり海でも眺めてたら
イヤなことがあってもきっと忘れるから…
「うん、楽しみだね」
「じゃ、行こっか釣具屋さん…あ、舞ちゃん」
「なに?」
「ほっぺにご飯粒、ついてるよ」
「また!その手には乗らないから」
「ほら」
僕は舞の頬についていたご飯粒を取ってあげた。
「もぅ…わたしってこう言うことが…」
「かわいいですな」
「あぁ、もう…!恥ずかしいー!」
真っ赤に頬を染めて照れる舞を見て
かわいい・・・本気でそう思った。
僕はこんな舞とこれからも
きっとずっと一緒にいられるんだろうな、
そう思うだけで飛び上がりたいような気分になった。
お昼前の満潮までには釣りを始めたい、
ようやく僕たちは下宿から歩いてすぐ近くの
釣具屋へと急いだ。
舞とはこれまで同じ時を過ごせなかった分だけ
話したいことがたくさんあった、
僕たちの長い1日はまだ始まったばかり。
舞にとって釣具屋は未知の世界だったようで
店内をウロウロと子供のように
はしゃぎながら歩き回っていた。
そんな舞を見ているだけで楽しかった。
「ねえねえ、釣竿はどうするの?」
「あ、竿は俺が何本か持ってるからどれでも使っていいよ」
「ほんと?じゃ、何買いに来たの?」
「今日は『サビキ』って釣りをするから道具とエサを買っていこう」
「え?あのニョロニョロしたやつ?つけるの?」
「ああ言うの苦手かなと思って…今日のエサはオキアミ、冷凍のエビだよ」
「すごいねコウイチくん、何でそんなこと知ってるの?」
「ま、子供の頃からやってるから」
「わたしも早くやってみたい」
「うん、じゃあ海に行こうか」
さてどうやって行くか?
車がないって何て不便なんだろう
「バスでいいじゃん」
「え?バスで釣りに行くつもり?」
僕は思わず吹き出した。
釣り竿やクーラーボックスを持った
カップルがバスに乗って釣りに行く?
「えー、その方が早いよぉ」
あどけない表情でそう切り返す舞を横目に
僕は何か手段を探していた。
「近くだからこれに乗って行こっか?」
「うん、いいよ」
僕は下宿の駐輪場に置いてある
既に誰の物かもわからない
真っ赤な自転車を引っ張り出して
舞と二人乗りで海を目指した。
おにぎりを頬張りながら
舞は急に困ったような表情で僕に言った。
「じゃ、お昼ご飯は釣れた魚にしよっか?」
「え?その場で食べるの?」
「そっ!そのまま丸かじりで」
「えー!そんなの大丈夫なのー?」
「ははは…ウソだよ」
「もうっ!!」
ー釣れるかどうかはわかんないけど
ま、ぼんやり海でも眺めてたら
イヤなことがあってもきっと忘れるから…
「うん、楽しみだね」
「じゃ、行こっか釣具屋さん…あ、舞ちゃん」
「なに?」
「ほっぺにご飯粒、ついてるよ」
「また!その手には乗らないから」
「ほら」
僕は舞の頬についていたご飯粒を取ってあげた。
「もぅ…わたしってこう言うことが…」
「かわいいですな」
「あぁ、もう…!恥ずかしいー!」
真っ赤に頬を染めて照れる舞を見て
かわいい・・・本気でそう思った。
僕はこんな舞とこれからも
きっとずっと一緒にいられるんだろうな、
そう思うだけで飛び上がりたいような気分になった。
お昼前の満潮までには釣りを始めたい、
ようやく僕たちは下宿から歩いてすぐ近くの
釣具屋へと急いだ。
舞とはこれまで同じ時を過ごせなかった分だけ
話したいことがたくさんあった、
僕たちの長い1日はまだ始まったばかり。
舞にとって釣具屋は未知の世界だったようで
店内をウロウロと子供のように
はしゃぎながら歩き回っていた。
そんな舞を見ているだけで楽しかった。
「ねえねえ、釣竿はどうするの?」
「あ、竿は俺が何本か持ってるからどれでも使っていいよ」
「ほんと?じゃ、何買いに来たの?」
「今日は『サビキ』って釣りをするから道具とエサを買っていこう」
「え?あのニョロニョロしたやつ?つけるの?」
「ああ言うの苦手かなと思って…今日のエサはオキアミ、冷凍のエビだよ」
「すごいねコウイチくん、何でそんなこと知ってるの?」
「ま、子供の頃からやってるから」
「わたしも早くやってみたい」
「うん、じゃあ海に行こうか」
さてどうやって行くか?
車がないって何て不便なんだろう
「バスでいいじゃん」
「え?バスで釣りに行くつもり?」
僕は思わず吹き出した。
釣り竿やクーラーボックスを持った
カップルがバスに乗って釣りに行く?
「えー、その方が早いよぉ」
あどけない表情でそう切り返す舞を横目に
僕は何か手段を探していた。
「近くだからこれに乗って行こっか?」
「うん、いいよ」
僕は下宿の駐輪場に置いてある
既に誰の物かもわからない
真っ赤な自転車を引っ張り出して
舞と二人乗りで海を目指した。
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