32 / 129
第07章. 釣りに行こう
【真っ赤な自転車にふたり乗りで】
しおりを挟む
「あ!でも、今食べたらお昼どうしよ?」
おにぎりを頬張りながら
舞は急に困ったような表情で僕に言った。
「じゃ、お昼ご飯は釣れた魚にしよっか?」
「え?その場で食べるの?」
「そっ!そのまま丸かじりで」
「えー!そんなの大丈夫なのー?」
「ははは…ウソだよ」
「もうっ!!」
ー釣れるかどうかはわかんないけど
ま、ぼんやり海でも眺めてたら
イヤなことがあってもきっと忘れるから…
「うん、楽しみだね」
「じゃ、行こっか釣具屋さん…あ、舞ちゃん」
「なに?」
「ほっぺにご飯粒、ついてるよ」
「また!その手には乗らないから」
「ほら」
僕は舞の頬についていたご飯粒を取ってあげた。
「もぅ…わたしってこう言うことが…」
「かわいいですな」
「あぁ、もう…!恥ずかしいー!」
真っ赤に頬を染めて照れる舞を見て
かわいい・・・本気でそう思った。
僕はこんな舞とこれからも
きっとずっと一緒にいられるんだろうな、
そう思うだけで飛び上がりたいような気分になった。
お昼前の満潮までには釣りを始めたい、
ようやく僕たちは下宿から歩いてすぐ近くの
釣具屋へと急いだ。
舞とはこれまで同じ時を過ごせなかった分だけ
話したいことがたくさんあった、
僕たちの長い1日はまだ始まったばかり。
舞にとって釣具屋は未知の世界だったようで
店内をウロウロと子供のように
はしゃぎながら歩き回っていた。
そんな舞を見ているだけで楽しかった。
「ねえねえ、釣竿はどうするの?」
「あ、竿は俺が何本か持ってるからどれでも使っていいよ」
「ほんと?じゃ、何買いに来たの?」
「今日は『サビキ』って釣りをするから道具とエサを買っていこう」
「え?あのニョロニョロしたやつ?つけるの?」
「ああ言うの苦手かなと思って…今日のエサはオキアミ、冷凍のエビだよ」
「すごいねコウイチくん、何でそんなこと知ってるの?」
「ま、子供の頃からやってるから」
「わたしも早くやってみたい」
「うん、じゃあ海に行こうか」
さてどうやって行くか?
車がないって何て不便なんだろう
「バスでいいじゃん」
「え?バスで釣りに行くつもり?」
僕は思わず吹き出した。
釣り竿やクーラーボックスを持った
カップルがバスに乗って釣りに行く?
「えー、その方が早いよぉ」
あどけない表情でそう切り返す舞を横目に
僕は何か手段を探していた。
「近くだからこれに乗って行こっか?」
「うん、いいよ」
僕は下宿の駐輪場に置いてある
既に誰の物かもわからない
真っ赤な自転車を引っ張り出して
舞と二人乗りで海を目指した。
おにぎりを頬張りながら
舞は急に困ったような表情で僕に言った。
「じゃ、お昼ご飯は釣れた魚にしよっか?」
「え?その場で食べるの?」
「そっ!そのまま丸かじりで」
「えー!そんなの大丈夫なのー?」
「ははは…ウソだよ」
「もうっ!!」
ー釣れるかどうかはわかんないけど
ま、ぼんやり海でも眺めてたら
イヤなことがあってもきっと忘れるから…
「うん、楽しみだね」
「じゃ、行こっか釣具屋さん…あ、舞ちゃん」
「なに?」
「ほっぺにご飯粒、ついてるよ」
「また!その手には乗らないから」
「ほら」
僕は舞の頬についていたご飯粒を取ってあげた。
「もぅ…わたしってこう言うことが…」
「かわいいですな」
「あぁ、もう…!恥ずかしいー!」
真っ赤に頬を染めて照れる舞を見て
かわいい・・・本気でそう思った。
僕はこんな舞とこれからも
きっとずっと一緒にいられるんだろうな、
そう思うだけで飛び上がりたいような気分になった。
お昼前の満潮までには釣りを始めたい、
ようやく僕たちは下宿から歩いてすぐ近くの
釣具屋へと急いだ。
舞とはこれまで同じ時を過ごせなかった分だけ
話したいことがたくさんあった、
僕たちの長い1日はまだ始まったばかり。
舞にとって釣具屋は未知の世界だったようで
店内をウロウロと子供のように
はしゃぎながら歩き回っていた。
そんな舞を見ているだけで楽しかった。
「ねえねえ、釣竿はどうするの?」
「あ、竿は俺が何本か持ってるからどれでも使っていいよ」
「ほんと?じゃ、何買いに来たの?」
「今日は『サビキ』って釣りをするから道具とエサを買っていこう」
「え?あのニョロニョロしたやつ?つけるの?」
「ああ言うの苦手かなと思って…今日のエサはオキアミ、冷凍のエビだよ」
「すごいねコウイチくん、何でそんなこと知ってるの?」
「ま、子供の頃からやってるから」
「わたしも早くやってみたい」
「うん、じゃあ海に行こうか」
さてどうやって行くか?
車がないって何て不便なんだろう
「バスでいいじゃん」
「え?バスで釣りに行くつもり?」
僕は思わず吹き出した。
釣り竿やクーラーボックスを持った
カップルがバスに乗って釣りに行く?
「えー、その方が早いよぉ」
あどけない表情でそう切り返す舞を横目に
僕は何か手段を探していた。
「近くだからこれに乗って行こっか?」
「うん、いいよ」
僕は下宿の駐輪場に置いてある
既に誰の物かもわからない
真っ赤な自転車を引っ張り出して
舞と二人乗りで海を目指した。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
流星の徒花
柴野日向
ライト文芸
若葉町に住む中学生の雨宮翔太は、通い詰めている食堂で転校生の榎本凛と出会った。
明るい少女に対し初めは興味を持たない翔太だったが、互いに重い運命を背負っていることを知り、次第に惹かれ合っていく。
残酷な境遇に抗いつつ懸命に咲き続ける徒花が、いつしか流星となるまでの物語。
どん底韋駄天這い上がれ! ー立教大学軌跡の四年間ー
七部(ななべ)
ライト文芸
高校駅伝の古豪、大阪府清風高校の三年生、横浜 快斗(よこはま かいと)は最終七区で五位入賞。いい結果、古豪の完全復活と思ったが一位からの五人落ち。眼から涙が溢れ出る。
しばらく意識が無いような状態が続いたが、大学駅伝の推薦で選ばれたのは立教大学…!
これは快斗の東京、立教大学ライフを描いたスポーツ小説です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~
海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。
そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。
そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イチゴ
高本 顕杜
ライト文芸
イチゴが落ちていく――、そのイチゴだけは!!
イチゴ農家の陽一が丹精込めて育てていたイチゴの株。その株のイチゴが落ちていってしまう――。必至で手を伸ばしキャッチしようとするも、そこへあるのモノが割りこんできて……。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる