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第06章. 夜中の3時のロマンチック
【舞いあがれ!】
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それでもしばらくの間、
僕は舞とどう関わっていけばいいのかわからなかった。
まず、あんな話を聞かされたにも関わらず
未だに舞に電話をかけることができない。
有香から話を聞いてはや数日過ぎていたが
この日も下宿に据え付けの赤電話の前で
空き缶に入った10円玉を眺めながら
ずっと立ち尽くす日が続き
「な、何してるんすか?中村さん?」
そんな僕を見ては1階の新住人である
新入生の後輩三浦に毎夜怪しまれる始末。
何度か思い切ってダイヤルしてみたが
その度受話器を取るのはやはり舞ではなく
いつものように愛想のない対応な同室の女の子。
あぁ…何か怪しまれてるな…?
変な奴が何回も電話してきてるって思われるんじゃ?
これ以上かけるともしかしたら何か言われる?
いや、この娘は電話があったことを舞に伝えてないのか?
そりゃそうだよな…名乗りもせず毎回
「またかけ直します」なんだから伝えようもないか…
それから数日が過ぎ、ようやく思い立って
ダイヤルを回したのが木曜日の夜22時過ぎ
この日を選んだのは
週末だと外出している可能性がある、と読んだからだ。
木曜の夜なら、この時間なら、
大丈夫?
そう言い聞かせて決意しながらも
もしかしたらお風呂に?
タイミングを逃してまたあの同室の娘に煙たがられたら…
なんて考えるとどうしても躊躇ってしまう。
遂に『えーい、どうにでもなれ!』と
半ば勢いに任せてもう覚えてるはずなのに
舞からもらったメモを手にダイヤルを回した。
「もしもし」
あ、今回もこのパターンか?
今日も電話に出たのはやはり同室の女の子だった。
「あ、北浜さんは…いないですよね?またかけ直します」
「えっと、いつもの方ですよね?舞に伝言しましょうか?」
「あ、よかったらお願いします、中村…中村鴻一って言ったらわかると思うので…」
「ナカムラさん…ですね?じゃ電話があったこと伝えときますので」
「あ…よろしくお願いいたします…」
恐らく同い年と思われるその女の子に
何故か敬語を使いながら僕は受話器を置いた。
またタイミングを間違えた、
次はどのタイミングでかけたらいいんだ…
あまり頻繁に電話して「しつこい人」と思われたら
逆に舞に対して申し訳ない。
でも今回は一歩前進したな、しっかり舞に伝言を頼めた
これで疑惑も少しは解消されるのでは?
後はまた日を改めてかけ直せばいい…
僕からのアプローチは少しずつ舞に届くだろう
あれこれ考えながら部屋に戻るや否や
けたたましく下の階から電話のベルが鳴る音が聞こえた。
僕は部屋の敷居に躓きながら
再び廊下に飛び出し
階段を飛ぶように降りると電話に向けて全力疾走
「…もしもし!」
三浦が出るよりも早く受話器を掴んだ、
多分「そうではないか」と思ったからだ。
僕は舞とどう関わっていけばいいのかわからなかった。
まず、あんな話を聞かされたにも関わらず
未だに舞に電話をかけることができない。
有香から話を聞いてはや数日過ぎていたが
この日も下宿に据え付けの赤電話の前で
空き缶に入った10円玉を眺めながら
ずっと立ち尽くす日が続き
「な、何してるんすか?中村さん?」
そんな僕を見ては1階の新住人である
新入生の後輩三浦に毎夜怪しまれる始末。
何度か思い切ってダイヤルしてみたが
その度受話器を取るのはやはり舞ではなく
いつものように愛想のない対応な同室の女の子。
あぁ…何か怪しまれてるな…?
変な奴が何回も電話してきてるって思われるんじゃ?
これ以上かけるともしかしたら何か言われる?
いや、この娘は電話があったことを舞に伝えてないのか?
そりゃそうだよな…名乗りもせず毎回
「またかけ直します」なんだから伝えようもないか…
それから数日が過ぎ、ようやく思い立って
ダイヤルを回したのが木曜日の夜22時過ぎ
この日を選んだのは
週末だと外出している可能性がある、と読んだからだ。
木曜の夜なら、この時間なら、
大丈夫?
そう言い聞かせて決意しながらも
もしかしたらお風呂に?
タイミングを逃してまたあの同室の娘に煙たがられたら…
なんて考えるとどうしても躊躇ってしまう。
遂に『えーい、どうにでもなれ!』と
半ば勢いに任せてもう覚えてるはずなのに
舞からもらったメモを手にダイヤルを回した。
「もしもし」
あ、今回もこのパターンか?
今日も電話に出たのはやはり同室の女の子だった。
「あ、北浜さんは…いないですよね?またかけ直します」
「えっと、いつもの方ですよね?舞に伝言しましょうか?」
「あ、よかったらお願いします、中村…中村鴻一って言ったらわかると思うので…」
「ナカムラさん…ですね?じゃ電話があったこと伝えときますので」
「あ…よろしくお願いいたします…」
恐らく同い年と思われるその女の子に
何故か敬語を使いながら僕は受話器を置いた。
またタイミングを間違えた、
次はどのタイミングでかけたらいいんだ…
あまり頻繁に電話して「しつこい人」と思われたら
逆に舞に対して申し訳ない。
でも今回は一歩前進したな、しっかり舞に伝言を頼めた
これで疑惑も少しは解消されるのでは?
後はまた日を改めてかけ直せばいい…
僕からのアプローチは少しずつ舞に届くだろう
あれこれ考えながら部屋に戻るや否や
けたたましく下の階から電話のベルが鳴る音が聞こえた。
僕は部屋の敷居に躓きながら
再び廊下に飛び出し
階段を飛ぶように降りると電話に向けて全力疾走
「…もしもし!」
三浦が出るよりも早く受話器を掴んだ、
多分「そうではないか」と思ったからだ。
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