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第05章. 海まで行こうよ
【理性の糸】
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「そんな誘惑には負けないからな…!」
食事する手を止めずに強がる僕を見て美波は笑った、
言葉とは裏話に僕の心臓は飛び出しそうなくらい
高鳴っていた。
「ふふっ、じゃあ、ゆっくり食べててね」
美波は僕から離れてベッドの真ん中で横になった。
僕はしばらく無言で食べ続けていたが
美波があまりにも静かになったので
もしかしたら寝てしまったのでは?と声をかけてみた。
「みなみん、起きてる?」
無反応だ。
仕方なく僕は美波の傍に移動した…
その時だった。
美波は突然起き上がって僕の胸に顔を押し当て
「あれ?さっきみたいにドキドキしてないね」
「もう落ち着いたよ、この状況にもここにいることも、ね」
すると美波は僕の手を掴み
自分の左胸にそっと当てがった。
「え…!!?」
服の上からではあるが
美波の柔らかな胸の感触が僕の掌に直接伝わり
そこから美波の鼓動が僕の右手を通り抜けていった。
「…わかる?」
「何が、だよ?」
「私は」
「・・・」
「ドキドキ…してるの」
「・・・」
「ねぇ」
「な、なに?」
「ムラコウ…欲しいの、私」
「…え?」
何だか妖しい雰囲気に呑み込まれかけた…その直後
「…ほら!!」
「えっ?」
「そう言うとこ!ほんと、かわいいよね」
「もう、からかってんのかよ!」
「だってぇ…」
「いやいや、そんなに簡単なもんじゃな…い…ん」
僕の言葉を遮るように美波は突然唇を重ねた。
今度は先程のような
唇が触れるだけのソフトな感触ではなく
これまで味わったことのないひときわ濃厚な感覚だった。
「・・・ん」
美波の艶っぽい息遣いが僕の聴覚を刺激する
僕は抗うことも出来ず
美波にされるがままだった。
「どう?…その気になった?」
気づけば僕たちはベッドの上でもつれるように抱き合い
お互いの足を絡め合っていた。
このままだと・・・
ここでようやく我に返った僕は美波をそっと引き離した。
「まだ…俺らは」
「…だよね、ごめんね」
ふと我に返ったように美波は座り込んだ。
「ありがと、何かうれしくて」
「何が、だよ?」
「ムラコウに拒まれなかったこと」
「女心は難しいよ、何で…?」
「私、もうキレイな体じゃないのに、ムラコウは嫌がらなかった」
「当たり前だよ、みなみんはみなみんだから」
「そ…そうだよね」
「だからそんなに自分を…」
「安売りはしないつもり」
ーこれからはもっと自由に好きな人見つけるから…
ムラコウのおかげで何だか救われた気分。
「本当に俺なんかで?」
「だよ!あ、口紅がついたまま」
そう言って美波は僕の顎の辺りをペロリと舐めた。
それはこれまでの屈託のない美波とは全く違う
“女”を垣間見た瞬間でもあった。
「またいつか…どこかで会えるかな」
「うん!また遊びに行こう!どこでも…」
「それがここだったら…今の続き、お願いね!」
「約束はできんけどね」
「もう!ムラコウの意地悪っ!」
そう言って美波は再び僕に抱きついてきた。
…これでよかったの、だろうか?
美波の言動はあながち
全てが冗談だったとも思えない
もしも僕が拒まなかったとしたら…
求められてその先に進む勇気のなかった僕は
やはり過去の失恋がトラウマになっていた。
それはあまりにも惨めな
初体験もどきの後遺症だった。
それを知ってか知らずか、計らずとも美波は
僕にリハビリを施してくれたかのようだった。
食事する手を止めずに強がる僕を見て美波は笑った、
言葉とは裏話に僕の心臓は飛び出しそうなくらい
高鳴っていた。
「ふふっ、じゃあ、ゆっくり食べててね」
美波は僕から離れてベッドの真ん中で横になった。
僕はしばらく無言で食べ続けていたが
美波があまりにも静かになったので
もしかしたら寝てしまったのでは?と声をかけてみた。
「みなみん、起きてる?」
無反応だ。
仕方なく僕は美波の傍に移動した…
その時だった。
美波は突然起き上がって僕の胸に顔を押し当て
「あれ?さっきみたいにドキドキしてないね」
「もう落ち着いたよ、この状況にもここにいることも、ね」
すると美波は僕の手を掴み
自分の左胸にそっと当てがった。
「え…!!?」
服の上からではあるが
美波の柔らかな胸の感触が僕の掌に直接伝わり
そこから美波の鼓動が僕の右手を通り抜けていった。
「…わかる?」
「何が、だよ?」
「私は」
「・・・」
「ドキドキ…してるの」
「・・・」
「ねぇ」
「な、なに?」
「ムラコウ…欲しいの、私」
「…え?」
何だか妖しい雰囲気に呑み込まれかけた…その直後
「…ほら!!」
「えっ?」
「そう言うとこ!ほんと、かわいいよね」
「もう、からかってんのかよ!」
「だってぇ…」
「いやいや、そんなに簡単なもんじゃな…い…ん」
僕の言葉を遮るように美波は突然唇を重ねた。
今度は先程のような
唇が触れるだけのソフトな感触ではなく
これまで味わったことのないひときわ濃厚な感覚だった。
「・・・ん」
美波の艶っぽい息遣いが僕の聴覚を刺激する
僕は抗うことも出来ず
美波にされるがままだった。
「どう?…その気になった?」
気づけば僕たちはベッドの上でもつれるように抱き合い
お互いの足を絡め合っていた。
このままだと・・・
ここでようやく我に返った僕は美波をそっと引き離した。
「まだ…俺らは」
「…だよね、ごめんね」
ふと我に返ったように美波は座り込んだ。
「ありがと、何かうれしくて」
「何が、だよ?」
「ムラコウに拒まれなかったこと」
「女心は難しいよ、何で…?」
「私、もうキレイな体じゃないのに、ムラコウは嫌がらなかった」
「当たり前だよ、みなみんはみなみんだから」
「そ…そうだよね」
「だからそんなに自分を…」
「安売りはしないつもり」
ーこれからはもっと自由に好きな人見つけるから…
ムラコウのおかげで何だか救われた気分。
「本当に俺なんかで?」
「だよ!あ、口紅がついたまま」
そう言って美波は僕の顎の辺りをペロリと舐めた。
それはこれまでの屈託のない美波とは全く違う
“女”を垣間見た瞬間でもあった。
「またいつか…どこかで会えるかな」
「うん!また遊びに行こう!どこでも…」
「それがここだったら…今の続き、お願いね!」
「約束はできんけどね」
「もう!ムラコウの意地悪っ!」
そう言って美波は再び僕に抱きついてきた。
…これでよかったの、だろうか?
美波の言動はあながち
全てが冗談だったとも思えない
もしも僕が拒まなかったとしたら…
求められてその先に進む勇気のなかった僕は
やはり過去の失恋がトラウマになっていた。
それはあまりにも惨めな
初体験もどきの後遺症だった。
それを知ってか知らずか、計らずとも美波は
僕にリハビリを施してくれたかのようだった。
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