僕とあの娘

みつ光男

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第04章. Girl(s) next door

【ふたりの想い】

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 有香もまた、僕に対しては
美波以上に異性としての関心は無さそうだ。

それこそ「男」として見ていないようにすら思う。

だからこそ今回のように舞を連れて来たのだろう。

数日後、僕は有香に電話をかけた、
やはり有香の方が関わりが長いし
かけやすくもあったからだ。

しばらく有香とのやり取りで予行演習した後で
舞にも幾度となくかけてはみたがいつも不在だった。

また今度、と思いながらも
なかなか受話器に向かうことが出来なかった。

「え、今…いませんけど…」
「まだ帰ってないんですけど…」

こんな感じの何となく無愛想な印象な
同室の女の子に伝言を頼むのも少し気が引けて

いつも
「それじゃまた、かけ直します」

そう伝えるだけで名前を名乗る事もなかった。

舞はとても話しやすくはあるのだが

有香のような弾けた天性のノリの良さはないから
これまで二人だけで話す機会もなく

仲間に混じって会話が生まれた時も
至ってごく普通の日常会話になっていた。

美波のように共通の話題もあまりない、と言うか
まだそこまで舞のことを知らなかったので

何を話していいのかも正直わからなかった。

ただあの日の積極的な舞を思い出すと
この先、二人で話す機会は増えるのでは?

そんな淡い期待も抱き始めていた。

確かに昨年の秋に駐車場で出会ってから
舞との再会を何度もほんのりと願ってはいた。

でもそんなに当時、舞衣のことを
『気になって眠れないほど』意識することはなかった、

これまでは前回会ってからのブランクが
空くことがあまりにも多すぎたからだ。

思い入れが消えかけた時に
流浪の旅人の如く、ふと現れる舞

いくら連絡先を交換したとしても
このスタンスは今後もさほど変わらないだろうと
勝手に、思い込んでいた。

だからと言って「関心がない」と言えば嘘になる。

メイクひとつ取っても美波ほどの派手さはなく
有香ほどナチュラル過ぎるでもない

全てにおいて "いい感じ" の舞

ファッションに関しても奇抜と言う訳でもないが
かなりお洒落に着こなしている。

とにかく全てにおいてセンスが僕好みで
更には穏やかながら愛嬌もある

ロングの黒髪にちょっと猫目なところも
ビジュアルはかなり好みのタイプ。

 だからこそ僕なんかが…と言う思いがあり、
舞の想いとは裏腹に
僕にとっては遠い存在でしかなかった。


そして僕には数ヶ月前の "ある出来事" がきっかけで
もうひとつ胸の中に抱え込んでいた想いがあった。

だからいつか舞と二人だけで遊びに行く、
そんなことを思い描いたりはあまりなかった。


あの頃、舞の気持ちなんて
きっと深く考えていなかっただろう。

舞がどれだけ僕のことを想って
コミュニケーションを取ろうと策を巡らし

何らかの形で「好き」のサインを送っていた…
など、微塵も感じていなかったはずだ。

「彼女がいたらいいな」

僕はただそう思っていたくらいで

“舞の想い”に気づくことはおろか
それを受け止める心の準備などまるで出来ていなかった。
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