18 / 129
第04章. Girl(s) next door
【ふたりの想い】
しおりを挟む
有香もまた、僕に対しては
美波以上に異性としての関心は無さそうだ。
それこそ「男」として見ていないようにすら思う。
だからこそ今回のように舞を連れて来たのだろう。
数日後、僕は有香に電話をかけた、
やはり有香の方が関わりが長いし
かけやすくもあったからだ。
しばらく有香とのやり取りで予行演習した後で
舞にも幾度となくかけてはみたがいつも不在だった。
また今度、と思いながらも
なかなか受話器に向かうことが出来なかった。
「え、今…いませんけど…」
「まだ帰ってないんですけど…」
こんな感じの何となく無愛想な印象な
同室の女の子に伝言を頼むのも少し気が引けて
いつも
「それじゃまた、かけ直します」
そう伝えるだけで名前を名乗る事もなかった。
舞はとても話しやすくはあるのだが
有香のような弾けた天性のノリの良さはないから
これまで二人だけで話す機会もなく
仲間に混じって会話が生まれた時も
至ってごく普通の日常会話になっていた。
美波のように共通の話題もあまりない、と言うか
まだそこまで舞のことを知らなかったので
何を話していいのかも正直わからなかった。
ただあの日の積極的な舞を思い出すと
この先、二人で話す機会は増えるのでは?
そんな淡い期待も抱き始めていた。
確かに昨年の秋に駐車場で出会ってから
舞との再会を何度もほんのりと願ってはいた。
でもそんなに当時、舞衣のことを
『気になって眠れないほど』意識することはなかった、
これまでは前回会ってからのブランクが
空くことがあまりにも多すぎたからだ。
思い入れが消えかけた時に
流浪の旅人の如く、ふと現れる舞
いくら連絡先を交換したとしても
このスタンスは今後もさほど変わらないだろうと
勝手に、思い込んでいた。
だからと言って「関心がない」と言えば嘘になる。
メイクひとつ取っても美波ほどの派手さはなく
有香ほどナチュラル過ぎるでもない
全てにおいて "いい感じ" の舞
ファッションに関しても奇抜と言う訳でもないが
かなりお洒落に着こなしている。
とにかく全てにおいてセンスが僕好みで
更には穏やかながら愛嬌もある
ロングの黒髪にちょっと猫目なところも
ビジュアルはかなり好みのタイプ。
だからこそ僕なんかが…と言う思いがあり、
舞の想いとは裏腹に
僕にとっては遠い存在でしかなかった。
そして僕には数ヶ月前の "ある出来事" がきっかけで
もうひとつ胸の中に抱え込んでいた想いがあった。
だからいつか舞と二人だけで遊びに行く、
そんなことを思い描いたりはあまりなかった。
あの頃、舞の気持ちなんて
きっと深く考えていなかっただろう。
舞がどれだけ僕のことを想って
コミュニケーションを取ろうと策を巡らし
何らかの形で「好き」のサインを送っていた…
など、微塵も感じていなかったはずだ。
「彼女がいたらいいな」
僕はただそう思っていたくらいで
“舞の想い”に気づくことはおろか
それを受け止める心の準備などまるで出来ていなかった。
美波以上に異性としての関心は無さそうだ。
それこそ「男」として見ていないようにすら思う。
だからこそ今回のように舞を連れて来たのだろう。
数日後、僕は有香に電話をかけた、
やはり有香の方が関わりが長いし
かけやすくもあったからだ。
しばらく有香とのやり取りで予行演習した後で
舞にも幾度となくかけてはみたがいつも不在だった。
また今度、と思いながらも
なかなか受話器に向かうことが出来なかった。
「え、今…いませんけど…」
「まだ帰ってないんですけど…」
こんな感じの何となく無愛想な印象な
同室の女の子に伝言を頼むのも少し気が引けて
いつも
「それじゃまた、かけ直します」
そう伝えるだけで名前を名乗る事もなかった。
舞はとても話しやすくはあるのだが
有香のような弾けた天性のノリの良さはないから
これまで二人だけで話す機会もなく
仲間に混じって会話が生まれた時も
至ってごく普通の日常会話になっていた。
美波のように共通の話題もあまりない、と言うか
まだそこまで舞のことを知らなかったので
何を話していいのかも正直わからなかった。
ただあの日の積極的な舞を思い出すと
この先、二人で話す機会は増えるのでは?
そんな淡い期待も抱き始めていた。
確かに昨年の秋に駐車場で出会ってから
舞との再会を何度もほんのりと願ってはいた。
でもそんなに当時、舞衣のことを
『気になって眠れないほど』意識することはなかった、
これまでは前回会ってからのブランクが
空くことがあまりにも多すぎたからだ。
思い入れが消えかけた時に
流浪の旅人の如く、ふと現れる舞
いくら連絡先を交換したとしても
このスタンスは今後もさほど変わらないだろうと
勝手に、思い込んでいた。
だからと言って「関心がない」と言えば嘘になる。
メイクひとつ取っても美波ほどの派手さはなく
有香ほどナチュラル過ぎるでもない
全てにおいて "いい感じ" の舞
ファッションに関しても奇抜と言う訳でもないが
かなりお洒落に着こなしている。
とにかく全てにおいてセンスが僕好みで
更には穏やかながら愛嬌もある
ロングの黒髪にちょっと猫目なところも
ビジュアルはかなり好みのタイプ。
だからこそ僕なんかが…と言う思いがあり、
舞の想いとは裏腹に
僕にとっては遠い存在でしかなかった。
そして僕には数ヶ月前の "ある出来事" がきっかけで
もうひとつ胸の中に抱え込んでいた想いがあった。
だからいつか舞と二人だけで遊びに行く、
そんなことを思い描いたりはあまりなかった。
あの頃、舞の気持ちなんて
きっと深く考えていなかっただろう。
舞がどれだけ僕のことを想って
コミュニケーションを取ろうと策を巡らし
何らかの形で「好き」のサインを送っていた…
など、微塵も感じていなかったはずだ。
「彼女がいたらいいな」
僕はただそう思っていたくらいで
“舞の想い”に気づくことはおろか
それを受け止める心の準備などまるで出来ていなかった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~
海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。
そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。
そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ゼンタイリスト! 全身タイツなひとびと
ジャン・幸田
ライト文芸
ある日、繁華街に影人間に遭遇した!
それに興味を持った好奇心旺盛な大学生・誠弥が出会ったのはゼンタイ好きの連中だった。
それを興味本位と学術的な興味で追っかけた彼は驚異の世界に遭遇する!
なんとかして彼ら彼女らの心情を理解しようとして、振り回される事になった誠弥は文章を纏められることができるのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる