夢と現実の境界線のようなモノ

みつ光男

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Ⅶ. 有象無象の魑魅魍魎

【Deceiver】

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 血飛沫と白煙が立ち込める
未だ事件の痕跡が生々しく残る厩舎

エミカが慌ててスマホを取り出したと同時に
着信があった

ー あれ?サヤカさんからやん?

「エミカ?今、大丈夫?」

「あ、その、あんまり…大丈夫ではないんです」

エミカの報告を聞いたサヤカは

「そうなんや?そしたらこれから援護班と事後処理部隊向かわせるから」

「あ!そうや、サヤカさん」

「どないしたん?」

「兄さん、今どこにいてるかわかる?」

 私が危うく命を落としかけたあの時
地面から現れたがなければ…
私は確実にられてた。

あの黒いリストバンドは間違いない、
兄さんのや…

でも何で兄さんの手…?だけが
地面から出てきて私を援護した?

もしかしたら何かの能力に目覚めて
それが発動した可能性もあるんやけど…

まだ訓練始めて1年半やで?
そんな短期間で覚醒するもんなん?

 エミカが今しがたの不思議な体験のことを
電話越しにサヤカに伝えると

「そうかぁ、やっぱり兄さんは…」

「え?」

「今一緒やねんけどちょっと前にな…」

K-Tが突然エミカの声が聞こえると言った直後に
そのまま意識を失ったことを伝えると

「あの手はやっぱり兄さんやったんや…」

「こっちでも兄さんの力、言うかな、その片鱗を見てん、私」

まだ不完全ながらも彼のその能力は
間違いなく覚醒している、二人はそう確信した。

「世界…救ってくれるかな?」

「何か…希望がわいてきた」

 ただひとつエミカには不安要素があった。

どうも解せない・・・

何で私がいる場所や行く場所を知ってるかのように
レーテルの刺客が現れたのだろうか?

考えたくないけど…これ、間違いなく内通者がいてるな、
それもごくごく身近なところに。

せめてそれが私の知ってる人やないことを
今は願うだけ・・・
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