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Ⅶ. 有象無象の魑魅魍魎
【悪夢到来】
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乗馬クラブに到着したエミカは着替えを済ませ
馴染みの馬がいる厩舎へと向かった。
彼女がいつも乗っているのは
真っ白な毛並みが美しい
エドファラスキートと言う名の馬。
いつもなら数人の係員がいる馬房に
今日は誰もいない、何となく嫌な予感がした。
「あれ?何で今日は…」
そう言いかけてそこでエミカが見たものは
本来ならエドファラスキートがいるはずの
馬房の草の上に点々とついている赤黒い塊
そこに倒れていたのは血にまみれ
無惨に横たわる乗馬クラブの職員、樋口だった。
その奥で真っ白な体に返り血を浴びた
エドファラフスキーが不安そうに佇んでいる。
「樋口さん!」
ー まさか…エドが襲った?
そんなはずないやん
でも何かがここにいてるなら
私だってそれに遭遇してるはず
更衣室から厩舎までは一本道
ここに来るまで誰にも会わなかった…
それじゃ…誰がどこから?
今日はプライベート…
いつもの装備は身につけていない、
まさかこの機を狙って誰かが?
グルルルルル…
どこかから音が聞こえる、いや、音ではない、
それは不気味な唸り声のようでもある。
すると馬房の床が少しずつこんもりと膨れ上がり
ひび割れ始めたかと思うと
地面を突き破って無数の手がはみ出してきた。
「何?何!これって…こんなとこから…何で!」
5体…いや、10体はいる
結界の境目ではないありふれた場所から現れたのは
無数のゾンビどもだった。
エミカは現実世界と別世界の切れ目、
結界を見分ける能力を持ち合わせている。
そのエミカが見切れない場所から突然現れたゾンビ
「しかも…コイツら全員…混合種」
地面を掘り出して現れたのは
これまで遭遇してきたような
虚ろな瞳でぎこちなく動き回る、
そんなタイプのゾンビではない。
しっかりと一点を見据えて
完全にエミカをロックオンしている。
混合種ゾンビは限りなく
人間に近い思考を持ち合わせ
一度狙いをつけると執拗に攻撃を繰り返す厄介なゾンビ。
完全に不利やな…
この狭い厩舎の中にこれだけの、
しかも俊敏な混合種ゾンビが…
しかも武器が何一つない。
「あはははは、ハマったようだなLBK!」
どこからか声が聞こえる
それはどうも地面の中からのようだ。
「この場所に誘い出すのがワタクシの狙い…ゾンビどもに地下から尾行させておいたのだ」
声の主を探そうにも、じりじりと迫り来るゾンビたちに
行く手を阻まれて身動きが取れない、
ー このゾンビたち…統率されている?
と、言うことはパペッツの仕業…
「かかれ!ゾンビども!喰い殺してしまえ」
「あかん!このままでは…やられてまう!」
ー これ、まだ未完成やし、痛いから
あんまり使いたくないねんけど…な
「ヘルファイア・スナイプ…!」
エミカの右腕が細長い弓状の鞭に変わる。
「スパーク!!!」
その瞬間、激しい火花が回転しながら
ゾンビたちに放たれ
近くまで来ていた
大半のゾンビたちは一瞬にして灰と化した。
「うわ…まだ何体か残ってる…」
まだ後ろにいた2体のゾンビが牙を向いて襲いかかる
エミカの攻撃が途絶え、もはやこれまでか…
「うわっ!」
エミカが目を閉じた瞬間、
2体のゾンビが足並みを揃えるようにバタリと倒れた。
「あれ?どないなってんの?」
ふとエミカがゾンビの足元に目をやると
地面から這いあがるように伸びた2本の上腕部が
しっかりとゾンビの足を捕まえている。
次の瞬間・・・
グゴゴゴゴコ…!
まるで感電したかのように痙攣しながら
断末魔の悲鳴を上げたゾンビたちは絶命した。
馴染みの馬がいる厩舎へと向かった。
彼女がいつも乗っているのは
真っ白な毛並みが美しい
エドファラスキートと言う名の馬。
いつもなら数人の係員がいる馬房に
今日は誰もいない、何となく嫌な予感がした。
「あれ?何で今日は…」
そう言いかけてそこでエミカが見たものは
本来ならエドファラスキートがいるはずの
馬房の草の上に点々とついている赤黒い塊
そこに倒れていたのは血にまみれ
無惨に横たわる乗馬クラブの職員、樋口だった。
その奥で真っ白な体に返り血を浴びた
エドファラフスキーが不安そうに佇んでいる。
「樋口さん!」
ー まさか…エドが襲った?
そんなはずないやん
でも何かがここにいてるなら
私だってそれに遭遇してるはず
更衣室から厩舎までは一本道
ここに来るまで誰にも会わなかった…
それじゃ…誰がどこから?
今日はプライベート…
いつもの装備は身につけていない、
まさかこの機を狙って誰かが?
グルルルルル…
どこかから音が聞こえる、いや、音ではない、
それは不気味な唸り声のようでもある。
すると馬房の床が少しずつこんもりと膨れ上がり
ひび割れ始めたかと思うと
地面を突き破って無数の手がはみ出してきた。
「何?何!これって…こんなとこから…何で!」
5体…いや、10体はいる
結界の境目ではないありふれた場所から現れたのは
無数のゾンビどもだった。
エミカは現実世界と別世界の切れ目、
結界を見分ける能力を持ち合わせている。
そのエミカが見切れない場所から突然現れたゾンビ
「しかも…コイツら全員…混合種」
地面を掘り出して現れたのは
これまで遭遇してきたような
虚ろな瞳でぎこちなく動き回る、
そんなタイプのゾンビではない。
しっかりと一点を見据えて
完全にエミカをロックオンしている。
混合種ゾンビは限りなく
人間に近い思考を持ち合わせ
一度狙いをつけると執拗に攻撃を繰り返す厄介なゾンビ。
完全に不利やな…
この狭い厩舎の中にこれだけの、
しかも俊敏な混合種ゾンビが…
しかも武器が何一つない。
「あはははは、ハマったようだなLBK!」
どこからか声が聞こえる
それはどうも地面の中からのようだ。
「この場所に誘い出すのがワタクシの狙い…ゾンビどもに地下から尾行させておいたのだ」
声の主を探そうにも、じりじりと迫り来るゾンビたちに
行く手を阻まれて身動きが取れない、
ー このゾンビたち…統率されている?
と、言うことはパペッツの仕業…
「かかれ!ゾンビども!喰い殺してしまえ」
「あかん!このままでは…やられてまう!」
ー これ、まだ未完成やし、痛いから
あんまり使いたくないねんけど…な
「ヘルファイア・スナイプ…!」
エミカの右腕が細長い弓状の鞭に変わる。
「スパーク!!!」
その瞬間、激しい火花が回転しながら
ゾンビたちに放たれ
近くまで来ていた
大半のゾンビたちは一瞬にして灰と化した。
「うわ…まだ何体か残ってる…」
まだ後ろにいた2体のゾンビが牙を向いて襲いかかる
エミカの攻撃が途絶え、もはやこれまでか…
「うわっ!」
エミカが目を閉じた瞬間、
2体のゾンビが足並みを揃えるようにバタリと倒れた。
「あれ?どないなってんの?」
ふとエミカがゾンビの足元に目をやると
地面から這いあがるように伸びた2本の上腕部が
しっかりとゾンビの足を捕まえている。
次の瞬間・・・
グゴゴゴゴコ…!
まるで感電したかのように痙攣しながら
断末魔の悲鳴を上げたゾンビたちは絶命した。
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