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Ⅵ. 新種累々

【Menace to Puppets】

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ーえ?コイツが腐鬼?

殺人鬼のようなパペッツと聞いたが…

パッと見、フツーにかわいいビジュアルの
女の子じゃないか。
キャプテンは何であんなに怯えているんだ?

「まさか…今度こそ私のことを…」

「いいえ…ヒマだったから、あとお腹が減ったから下界に降りてきたの…」

「ヒマ?ヒマで腹減ったらこうして何人も人を殺すんかー?」

「あら、誰かしらこのお兄さん?」

「兄さん、あかん!うちらの敵う相手やない!殺される!」

「そう…こうやって…ね…ラトゥン・トゥ・ザ…」

呪文のような言葉を唱え腐鬼が両手を広げた

「うわぉぉぉぉー!!!」

 身の危険を感じた僕は
訳もわからず対抗して大声を張り上げた

もしかしたらさっきのように
謎の衝撃波が出るのではないか…と

が、それは無駄な抵抗だった、
僕の左腕は微動だにしない。

狂気に満ちた腐鬼の攻撃が今、正に放たれんとしている。


終わった…られる

そう思った瞬間

「うっ…!」

何か遮るような手振りで顔を覆った腐鬼の動きが
一瞬止まった。

「これは……そんなことが出来るのね?お兄さん…」

いや、僕は何もしていない

意識的に攻撃を避ける方法など
この状況下で思い付くはずなどない、

ただ無駄に声を張り上げただけだ。

「お前なんかに負けるかー!!」

それでも僕はまだ意味もなく声を張り上げていた。

「兄さん!危ない!後ろに下がって!」

「え?あ!わかった!」

サヤカの声でようやく我に返った僕は
腐鬼が怯んだ隙を見て

サヤカをかばうように部屋の端へと移動した

その時…

「お兄さん…」

不敵に微笑みながら腐鬼が語りかけてきた。

ー 何者なんだ?この腐鬼ってヤツ…

さっきまで僕をる気満々だったのに
突然穏やかな表情を浮かべながら

笑顔で話しかけてくるって…?

情緒不安定なのか?サイコパスなのか?
どちらにしてもイカれている、

どんなに可愛くても、あの凛と同じ化け物なのだから。

「ねえ、そんな怖い顔しないでよ」

「するに決まってるやろ!俺、殺されかけてんで!」

「そう…今のアナタではわたしに勝てない」

そんなことは僕も重々承知の上だ、

だからと言ってすごすごと
引き下がるわけにもいかない。

「で?どうしようってんだ?」

「お兄さんがもっともっと強くなって再会した時…私と殺し合いましょ」

「要は次会った時に戦う…ってことやんな?」

「そう…だから今日は見逃してあげる」

僕は内心ホッとしながらも

「信用できんな、油断させるつもりやろ?」

「うぅん、ほんとよ」

しかし訳がわからない

消そうと思えば今すぐにでもやれるのに
彼女の目的は何なんだ?

「そんなこと言われて男がすごすごと引き下がれるかいな!」

「兄さん!挑発に乗ったらあかん!」

 その言葉に反応したのかサヤカが叫んだが
腐鬼はそんなサヤカには目もくれず

「お兄さん…きっと強くなるはずよ」

「変なこと言うなぁ、俺が強くなったらそっちは不利になるんやで?」

「じゃないと…楽しくないでしょ?」

彼女は今まで会ってきた敵とはどこか違う
純粋に強さだけを求めているようにも思える。
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