夢と現実の境界線のようなモノ

みつ光男

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Ⅵ. 新種累々

【腐鬼現る】

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 あれが何かしらの能力であるなら
どのタイミングでそれが覚醒したのだろう?

残念ながらその力を今は自分では行使はおろか、
コントロールすら出来ない…

しかし何かしらのタイミングで発動するのは
例の訓練の成果なのだろうか?

そして何故僕がその力を秘めていることを
LBKはどのようにして見抜いたと言うのだ?

「せやな、それが兄さんの潜在的な力のひとつかも」

「でも何でその力があることに…」

「それがわかるのがLBK…としか言い様がないねんな、能力は人それぞれやし個人差もあるし」

「あと…あの女が俺に言ったんやけど…"選ばれし者"って?」

「それが…さっき話した生まれつき持ってる能力のこと、それらを総称して"Kの名を持つ戦士"って呼ばれてんねん」

「俺もその一人ってこと?なるほど、あの検査で…それを調べたってこと?」

「たぶんね、あとゾンビ化しないのも…きっと」

少しずつ何かが見えてきた、
いつの時代もこうして争いが生まれるのだろう、

最先端の戦力は何かを支配しようとする輩に取っては
最大の武器となるのだから。


「この先、俺は何をすれば?」

「とにかく平穏な日々を取り戻すために敵と戦うしか…漠然とした言い方やけど」

「街中にゾンビのいる世界なんて…」

「誰も望まへんもんね…」

しばし沈黙が続き気まずくなったので
僕はこう切り出した。

「俺の才能、いつ完全に目覚めるんやろなぁ?」

「私の勘やけど…絶対もうすぐ」

「そっかなぁ?」

ーそれでね、ひとつアドバイスと言うか何と言うか…

「何?」

「今後最前線に向かう機会も増えると思うねんけど…」

もし出会っても絶対に戦ってはいけない相手がおんねん…

「え?そうなん?さっきの凛って人より強い?」

「あ、もう比べ物にならんくらいに」

それは青色のロングヘアーに碧眼が
トレードマークの女、名前を腐鬼ふきって言うねん。

「キャプテンは出会ったこと?」

「一度だけ…とてもじゃないけど…勝てないと思って逃げてしまった…」

ゾンビにも臆さないあの勇敢なサヤカですら怯える…

一体どんな敵なのか?

「恐らく会うことはない思うねんけど」

「そうなんや?」

「腐鬼は"タワー・オブ・ザ・ブラッド"の番人やから
こっちの世界に降りてくることはまずないねん」

ー 今日はパペッツの一人を倒したことやし
まずは一旦旅館に戻ってRazeたちと合流しよっか

それからリリカのことをLBKに現状報告やな。

「それじゃ!急ごうキャプテン!」

僕はサヤカと二人、惨劇の起きた
高崎旅館に戻ることにした。


 その時二人は気づいていなかった、
旅館の屋根の上で佇む一人の女の姿に…

青色のロングヘアーに碧眼の彼女が呟く

「ごちそうさまぁ…」

 そう言って彼女は真っ赤な鮮血の滴る唇を
指先でそっと拭った。
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