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Ⅵ. 新種累々

【覚醒前夜】

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「え?あの化け物みたいになるのは…」

「遺伝子操作で体の中に別の動物のDNAに加えて何か特殊物質をシステムとして取り込むわけ」

その特殊物質の研究こそ、
レーテルが開発している物件らしいねんて。

すると個人の特性に合わせた何かしらの能力が発動して
脳に戦闘の命令が伝達された時、

つまりは自分の中で闘争本能が目覚めた瞬間
変形して攻撃する、と言う動作までもが

遺伝子に新たに組み込まれんねん、

つまりはレーテルに改造された
人工的な化け物ってことやな。

「でも…何で?」

「最初はその力でゾンビを管理して統制を取るためだけやった、らしいねんけど」

でもそれが"人間兵器"として使えると見込んだレーテルの幹部がパペッツの開発を進めた。

そして、そこに目を付けて共同開発を募った先が…

「どこ?」

「うちの組織、LBKやねん」

「え?敵なのに?」

「色々複雑な関係らしいねん」

サヤカの説明を聞いても何が何だかわからない、

とにかく最先端の科学技術を巡って
ふたつの組織が対立しているのであろう、

それくらいのことが朧気ながら理解は出来た。

ー 実はLBKには生まれつき
パペッツのような特殊能力を持つ人間が存在する

そこでレーテルはその人間を受け入れて
研究材料として利用しようと目論んだ…

「その一人が私やねん」

「え!」

私に何の能力があるのかはわからんけど
LBKに入ったばかりの頃

突然車に乗せられて病院に連れて行かれた。

恐らくLBKが何らかの交換条件のもと、
私の身柄をレーテルに引き渡したんやろな。

「それで?キャプテンは何かされた?」

「色々と検査みたいなのを…で、帰ってきたら
めちゃめちゃ身体能力上がってて」

恐らく私の中で"何か"が目覚めたのかも
もしくは何らかの方法で覚醒させられた、のかも

それ以降自分でも驚くくらいにフィジカルも
メンタルも…全ての精度が上がってて。

「実は私以外にも何人かおんねん」

「生まれつきの…能力者…が?」

サヤカは黙ったまま小さく頷いた。

「いつか兄さんもそんな時に居合わせるかも」

「俺も…俺も強くなりたいなぁ…そしたら」


その時だった、

「兄さん!」

「な、何なに?突然大きな声出して」

「兄さんの中にもあるんやって!それが」

「え?」

「あれはそのための訓練やねんから」

ー そしてその能力は既に開花しつつある

私、見たんやから…凛のあの傷痕は間違いなく
兄さんの何かしらの攻撃でつけられたもの

致命傷レベルのダメージを与える力を
もう既に身につけつつある…

「もしかしたらさっきのは…」

「え?」

「無意識に攻撃してたんかな?」

僕は左腕から発せられたと思われる
謎の衝撃波についてサヤカに話した。
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