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Ⅵ. 新種累々
【凛】
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すると突然、地面と一体化した液体に向けて
何本もの矢のように長く
鋭利な黒い物体が怪物に突き刺さり
液体状の生き物は身動き取れなくなってしまった、
まるで標本にされた昆虫のように。
そして突き刺さった矢のような物体から
電気のような、それでいて雷鳴のような何かが
バチバチと音を立てて流れる
「うぎゃー!」
断末魔の悲鳴が聞こえた
倒した?倒したのか?
しかし一体誰がどのようにして?
白い怪物は再び人間の女性の姿に戻ると
僕を見ながらこう言った
「あ…あいつも、あの男も"選ばれし者"なのか?」
さっきから何を言ってるんだ?
「聞いてない…聞いてないぞ…早く、報告しなければ…」
「何のことだ!さっきから」
「お…お前…この凛様に傷をつけるとは…何者だ?」
ー あ、いや、最終的に倒したのは
この黒い矢みたいなの使った人なんだけどな
ま、とりあえずカッコつけとこう。
「お前が諸悪の根源か?もう好きにはさせんからな!」
「わ…私ごときを倒したくらいで…調子に乗るな…お前のことは…ぎゃあぁぁぁ!!」
その時、また数本の黒い矢が突き刺さり
その女性は絶命した。
口から血を吐きだし、無惨にも内臓が飛び出した
そのグロテスクな亡骸を
何故か僕は間近で凝視していた。
「え?この黒い矢って…?」
致命傷を与えたあの黒い物体…近くでよく見ると
まるで束ねられた三つ編みの髪の毛のようだ。
何なんだ?
目の前で信じられないことが起きている
ことの重大さにようやく気づいた僕は
ヘナヘナと腰を抜かさんばかりにその場にしゃがみ込み
しばらく動くことが出来なかった。
数分が経過しただろうか?
背後に気配を感じて振り返るとそこには…
「兄さん!」
現れたのはサヤカだった。
「キャプテン!何でここに?」
「高崎荘のRazeと連絡取れんなって来てみたら…」
僕はことの顛末を全てサヤカに報告した。
「そうなんや…リリカ…間に合わんかったか」
「キャプテンもここに来る予定で?」
「そうやねん、Razeの調査で目星がついてたから」
サヤカは黙ったまた変わり果てた姿となった
例の怪物に変化した女性を指差してこう言った。
「凛…って言うねん、あの女」
「え?確かそう言えばそんな風に名乗ってた…
あの人は一体何者?」
ー 兄さん、まだ知らんこと多いと思うから…
「ゾンビのこととか?」
「うん、それ以外にも色々…」
レーテルメディカルがゾンビ開発ウイルスを
作ってることは聞いたことがあるやんな?
今、そのゾンビたちはあの街の奥地にある
"タワー・オブ・ザ・ブラッド"って言う
建物の中に隔離されてんねん、
いつでも極秘に裏企業へ貸し出せるようにな。
せやけどあいつらには感情がなく見境もない
そこで、ヤツらを管理する者が必要とされ
この凛のような"パペッツ"と呼ばれる
特殊能力者が生み出されたんや…
何本もの矢のように長く
鋭利な黒い物体が怪物に突き刺さり
液体状の生き物は身動き取れなくなってしまった、
まるで標本にされた昆虫のように。
そして突き刺さった矢のような物体から
電気のような、それでいて雷鳴のような何かが
バチバチと音を立てて流れる
「うぎゃー!」
断末魔の悲鳴が聞こえた
倒した?倒したのか?
しかし一体誰がどのようにして?
白い怪物は再び人間の女性の姿に戻ると
僕を見ながらこう言った
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さっきから何を言ってるんだ?
「聞いてない…聞いてないぞ…早く、報告しなければ…」
「何のことだ!さっきから」
「お…お前…この凛様に傷をつけるとは…何者だ?」
ー あ、いや、最終的に倒したのは
この黒い矢みたいなの使った人なんだけどな
ま、とりあえずカッコつけとこう。
「お前が諸悪の根源か?もう好きにはさせんからな!」
「わ…私ごときを倒したくらいで…調子に乗るな…お前のことは…ぎゃあぁぁぁ!!」
その時、また数本の黒い矢が突き刺さり
その女性は絶命した。
口から血を吐きだし、無惨にも内臓が飛び出した
そのグロテスクな亡骸を
何故か僕は間近で凝視していた。
「え?この黒い矢って…?」
致命傷を与えたあの黒い物体…近くでよく見ると
まるで束ねられた三つ編みの髪の毛のようだ。
何なんだ?
目の前で信じられないことが起きている
ことの重大さにようやく気づいた僕は
ヘナヘナと腰を抜かさんばかりにその場にしゃがみ込み
しばらく動くことが出来なかった。
数分が経過しただろうか?
背後に気配を感じて振り返るとそこには…
「兄さん!」
現れたのはサヤカだった。
「キャプテン!何でここに?」
「高崎荘のRazeと連絡取れんなって来てみたら…」
僕はことの顛末を全てサヤカに報告した。
「そうなんや…リリカ…間に合わんかったか」
「キャプテンもここに来る予定で?」
「そうやねん、Razeの調査で目星がついてたから」
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「え?確かそう言えばそんな風に名乗ってた…
あの人は一体何者?」
ー 兄さん、まだ知らんこと多いと思うから…
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「うん、それ以外にも色々…」
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