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Ⅴ. Genocide
【Hell Awaits】
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実は父さんにそう言われる前から
オレは薄々気づいてはいた。
自分には何かしら妙な能力があるのではないか?
と、言うことに。
小さい頃からそうだった、
小学校の帰り道、脳裏に浮かんだ光景が
あまりにも怖すぎて遠回りして帰っていると
いつもの通学路から車の衝突音がして
大惨事になっていた。
父さんと釣りに行った時も
頭に浮かんだイメージの場所に
竿を投げると大量に魚が釣れた。
それらは全て前の日の夜、夢で見た話だった。
母さんは偶然だと笑ってたけど、父さんは
「その能力磨いとけよ、鍛えたらいつか役に立つから」
真顔でそう言ってた。
オレはこの時、自分にはほんの少し先の
未来を読み取る力があるのだと確信した。
絶対的感性、とでも言う力。
"あの日"もそうだった、
そう、「ゾンビ大会」に父さんと二人で参加した
あの日も・・・そう
サヤカさんが現れて外に出ようとした、その時
誰かに襲われて逃げ惑う
モモネちゃんと母さんの姿が浮かび
オレは一目散に外へ駆け出した。
その直後、二人はオレの脳裏に浮かぶイメージから
忽然と姿を消してしまった。
その後、血まみれで地面に倒れている
二人の女性の姿が脳裏に浮かんだが
それは母さんとモモネちゃんでは
ないような気がした。
そしてオレが外に駆け出した時見た光景は
とてもこの世のものとは思えないほどの
おぞましいモノだった。
人間とも化け物とも見分けのつかない
生き物が人々を襲って血の滴る内臓を貪り
更には戦闘服らしきものを着た
軍人のような人たちが銃を乱射している。
正に「地獄」だった。
オレはただただ
アンナさんから教えられたまま銃を構えて
誰かを倒すと言うよりは自分自身を守るために
撃っては走り、走っては撃つの繰り返しだった。
ただ、どんなに探しても
脳裏に浮かんだ場所にモモネちゃんと
母さんは見つからなかった。
ふと逃げ込んだ壁の後ろで様子を伺っていると
数人の屈強な男がいぶかしげな表情で
オレの後ろに立っていた。
「お前ら誰や!」
そう言って銃を向けたオレに向かって
その中の一人が困惑した表情でこう尋ねた、
「何が起きてんるだ!!ここで!」
彼らは「ゾンビ大会」を主催していた組織の
関連会社が経営する
格闘技団体に所属しているらしく
このショッピングモール近くの体育館で
試合をしている時に異変に気づいたとのこと。
「とりあえずここを離れよう」
オレは彼らに言われるまま
横付けされた車に乗り込んで
この阿鼻叫喚の地獄絵図の中から逃走した。
「家族は一緒じゃないのか?」
「父さんは警護されてるから多分大丈夫。ただ…」
絞り出すようにここまでは言えたものの
この後は涙が出て言葉にならなかった。
言葉を詰まらせるオレに向かって
「わかった、もうそれ以上話すな。辛かっただろ、とりあえずしばらく俺たちと一緒にいるか?」
彼の名前は大仙翔と言った。
他にも4人の仲間がいた。
家族と生き別れとなり身寄りのないオレは
彼らに薦められるがままに
この日から格闘技団体「ジェノサイド」の一員
そう、練習生となった。
オレは薄々気づいてはいた。
自分には何かしら妙な能力があるのではないか?
と、言うことに。
小さい頃からそうだった、
小学校の帰り道、脳裏に浮かんだ光景が
あまりにも怖すぎて遠回りして帰っていると
いつもの通学路から車の衝突音がして
大惨事になっていた。
父さんと釣りに行った時も
頭に浮かんだイメージの場所に
竿を投げると大量に魚が釣れた。
それらは全て前の日の夜、夢で見た話だった。
母さんは偶然だと笑ってたけど、父さんは
「その能力磨いとけよ、鍛えたらいつか役に立つから」
真顔でそう言ってた。
オレはこの時、自分にはほんの少し先の
未来を読み取る力があるのだと確信した。
絶対的感性、とでも言う力。
"あの日"もそうだった、
そう、「ゾンビ大会」に父さんと二人で参加した
あの日も・・・そう
サヤカさんが現れて外に出ようとした、その時
誰かに襲われて逃げ惑う
モモネちゃんと母さんの姿が浮かび
オレは一目散に外へ駆け出した。
その直後、二人はオレの脳裏に浮かぶイメージから
忽然と姿を消してしまった。
その後、血まみれで地面に倒れている
二人の女性の姿が脳裏に浮かんだが
それは母さんとモモネちゃんでは
ないような気がした。
そしてオレが外に駆け出した時見た光景は
とてもこの世のものとは思えないほどの
おぞましいモノだった。
人間とも化け物とも見分けのつかない
生き物が人々を襲って血の滴る内臓を貪り
更には戦闘服らしきものを着た
軍人のような人たちが銃を乱射している。
正に「地獄」だった。
オレはただただ
アンナさんから教えられたまま銃を構えて
誰かを倒すと言うよりは自分自身を守るために
撃っては走り、走っては撃つの繰り返しだった。
ただ、どんなに探しても
脳裏に浮かんだ場所にモモネちゃんと
母さんは見つからなかった。
ふと逃げ込んだ壁の後ろで様子を伺っていると
数人の屈強な男がいぶかしげな表情で
オレの後ろに立っていた。
「お前ら誰や!」
そう言って銃を向けたオレに向かって
その中の一人が困惑した表情でこう尋ねた、
「何が起きてんるだ!!ここで!」
彼らは「ゾンビ大会」を主催していた組織の
関連会社が経営する
格闘技団体に所属しているらしく
このショッピングモール近くの体育館で
試合をしている時に異変に気づいたとのこと。
「とりあえずここを離れよう」
オレは彼らに言われるまま
横付けされた車に乗り込んで
この阿鼻叫喚の地獄絵図の中から逃走した。
「家族は一緒じゃないのか?」
「父さんは警護されてるから多分大丈夫。ただ…」
絞り出すようにここまでは言えたものの
この後は涙が出て言葉にならなかった。
言葉を詰まらせるオレに向かって
「わかった、もうそれ以上話すな。辛かっただろ、とりあえずしばらく俺たちと一緒にいるか?」
彼の名前は大仙翔と言った。
他にも4人の仲間がいた。
家族と生き別れとなり身寄りのないオレは
彼らに薦められるがままに
この日から格闘技団体「ジェノサイド」の一員
そう、練習生となった。
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