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Ⅳ. Memories Of Desperation
【リアルワールド】
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僕がゾンビの蠢く地獄へ飛び出してから
隔離されて病院へ運び込まれるまでの記憶は
このショッピングモールでの惨劇を目にした
あまりにもショッキングな光景のせいで
全て失われてしまったのだろう。
つまり僕の母親こそが
賃金の発生しないゾンビを労働力として使用する
「人類ゾンビ化計画」の中心人物の一人だったのだ。
"あの夢"の中でアンナが言っていたように
一度に大量のゾンビを制作するために
こうしたイベントを開き
大量虐殺を繰り返していたのだ。
と、言うことは…
夢で見たシオンと参加したあの"ゾンビ大会"も
アンナの存在も今、家族と離れ離れとなっている原因も
そしてショッピングモールで起きたあの事件、
無惨な光景のどれもこれもが…
全ては夢ではなく現実だったと言うことになる。
「許さない!絶対に許さんぞ」
僕が反撃しようとしたその時、
後ろから誰かに肩を叩かれた…
「思い出してしもてんな」
映像を見ている僕の後ろに立っていたのは
頭にバスタオルを巻いたサヤカだった。
バーチャルの世界から現実に引き戻された僕は
やり場のない怒りに声を震わせた。
「キャプテン、こう言う事やったんやね」
「そう…これはうちの会社が開発したバーチャル体験型の映像システムやねん」
「な、何でおかんが?…」
「コードネーム"KK"…それがあなたのお母さんの名前」
「一体、何で俺の母親が…?」
「今は…それだけしか・・・まだ詳しいことは」
サヤカは俯いて首を横に振った。
「で、あれがあの時、俺が体験した…現実ってこと?」
「思い出した、これで?…思い出せてよかった…んかな?」
そして全てを鮮明に思い出した
あの夏休みの墓参りで里帰りした僕の故郷、
そこで参加したホラーイベントでの恐怖体験と
アンナやサヤカの存在。
「私のことも思い出した?」
「そうや、壁を突き破って入ってきてんな」
「だから…初めてちゃうねんな、あのテレビ番組の収録の時…」
「そっか!やから何となく初めましての感じがせんかったわけやね」
「そっ!よかった…思い出してくれたんや」
とは言え、過去の記憶はまだ戻ってはいない。
「でもそれより前のことは…」
「それもまた、何かのきっかけで…今は無理せんといてな」
僕の記憶を引き戻すきっかけ…
どうもそれは僕が見る夢と何かしらの関係があるようだ。
「"あの夢"はあの日、俺が実際に…」
「夢?」
「あの病院で、ずっと同じ夢を見てて…何かの警告と言うかメッセージみたいに…」
「そっか、目の前であんなの見せられたら、そりゃ、ね、トラウマだわ…って、え?夢」
その時、僕はある重大な事を思い出し
思わずサヤカの言葉を遮った。
「そうや!シオンは?シオンは今どうなってん!!」
僕の記憶はまだシオンが妻や娘を助けようと
あの地獄の中へ飛び出してから途絶えていた。
その頃シオンが
僕の全く想像もつかない場所で
秘かに僕との再会を願っていることなど
今の僕は当然ながら知るよしもなかった。
隔離されて病院へ運び込まれるまでの記憶は
このショッピングモールでの惨劇を目にした
あまりにもショッキングな光景のせいで
全て失われてしまったのだろう。
つまり僕の母親こそが
賃金の発生しないゾンビを労働力として使用する
「人類ゾンビ化計画」の中心人物の一人だったのだ。
"あの夢"の中でアンナが言っていたように
一度に大量のゾンビを制作するために
こうしたイベントを開き
大量虐殺を繰り返していたのだ。
と、言うことは…
夢で見たシオンと参加したあの"ゾンビ大会"も
アンナの存在も今、家族と離れ離れとなっている原因も
そしてショッピングモールで起きたあの事件、
無惨な光景のどれもこれもが…
全ては夢ではなく現実だったと言うことになる。
「許さない!絶対に許さんぞ」
僕が反撃しようとしたその時、
後ろから誰かに肩を叩かれた…
「思い出してしもてんな」
映像を見ている僕の後ろに立っていたのは
頭にバスタオルを巻いたサヤカだった。
バーチャルの世界から現実に引き戻された僕は
やり場のない怒りに声を震わせた。
「キャプテン、こう言う事やったんやね」
「そう…これはうちの会社が開発したバーチャル体験型の映像システムやねん」
「な、何でおかんが?…」
「コードネーム"KK"…それがあなたのお母さんの名前」
「一体、何で俺の母親が…?」
「今は…それだけしか・・・まだ詳しいことは」
サヤカは俯いて首を横に振った。
「で、あれがあの時、俺が体験した…現実ってこと?」
「思い出した、これで?…思い出せてよかった…んかな?」
そして全てを鮮明に思い出した
あの夏休みの墓参りで里帰りした僕の故郷、
そこで参加したホラーイベントでの恐怖体験と
アンナやサヤカの存在。
「私のことも思い出した?」
「そうや、壁を突き破って入ってきてんな」
「だから…初めてちゃうねんな、あのテレビ番組の収録の時…」
「そっか!やから何となく初めましての感じがせんかったわけやね」
「そっ!よかった…思い出してくれたんや」
とは言え、過去の記憶はまだ戻ってはいない。
「でもそれより前のことは…」
「それもまた、何かのきっかけで…今は無理せんといてな」
僕の記憶を引き戻すきっかけ…
どうもそれは僕が見る夢と何かしらの関係があるようだ。
「"あの夢"はあの日、俺が実際に…」
「夢?」
「あの病院で、ずっと同じ夢を見てて…何かの警告と言うかメッセージみたいに…」
「そっか、目の前であんなの見せられたら、そりゃ、ね、トラウマだわ…って、え?夢」
その時、僕はある重大な事を思い出し
思わずサヤカの言葉を遮った。
「そうや!シオンは?シオンは今どうなってん!!」
僕の記憶はまだシオンが妻や娘を助けようと
あの地獄の中へ飛び出してから途絶えていた。
その頃シオンが
僕の全く想像もつかない場所で
秘かに僕との再会を願っていることなど
今の僕は当然ながら知るよしもなかった。
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