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Ⅳ. Memories Of Desperation

【驚愕の真実】

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「何だ、ここにいたのか…」

そう言い放った母親の視線はまるで氷のように冷たく
無表情で銃を取り出すと
躊躇なく僕に照準を定めて撃とうとしてきた。

 僕は手にしていたショベルを
盾の代わりにして飛んでくる弾丸をはじき返す。

我ながら思った…

ー 何だ?俺のこのスピードは?

今までの訓練の成果はこんなにまで
僕の肉体を超人化させているのか?

ここまで俊敏な動きが出来るようになっていたとは、
まるでアニメのヒーローだ。


 そんな攻防を続けている間に
僕の中で消えていた記憶が少しずつ鮮明に甦ってきた。

以前の記憶で登場した母親と言えば

確かあのさびれたあばら家で
一人懺悔の日々を送っていたみすぼらしい姿と

以前、サヤカから聞かされていた話


それは・・・

ー 数年前「ある事件」で家族を失ったこと

いや、正確に言えば
僕を除く家族の消息が不明となった

ショッピングモール立て籠り事件。

"ある人体実験のために計画された大量殺人"に
多数の買い物客が巻き込まれた悲劇。

ショッピングモール立てこもり犯に
容赦なく人質が惨殺されたその事件の中で

その施設で働いていた僕の母親が
僕だけをこっそり裏口から逃がし

家族を見殺しにしてしまったため

その罪の重さに耐えかねて
ひとり細々と余生を送っている…

そして家族を失った僕は
悲しみのあまり全ての記憶を失い

断片的に思い出しはするものの
肝心な所になると激しい頭痛に襲われ

思い出す事が出来ず
自分に家族がいた事すら記憶から消えてしまった…


 そんな、サヤカから聞かされた話を
僕は真実だと思い込んでいた。

サヤカもまた事実を知ってか知らずか
僕にそれだけしか告げていなかった。

だがしかし、

今、僕が思い出した現実はあまりにも残酷だった。

 母親はあの「ゾンビ大会」でイベントに便乗して
ゾンビ増殖のための無差別大量殺人を指揮した張本人であり

その場に取り残された僕だけを助け出して
家族を見殺しにしたのではなく

僕の家族はおろか、その場にいた全員を
抹殺しようと企てていたのだ。

そして最終的に僕だけを取り逃がしてしまい
一人生き残った僕は良心の呵責から全ての記憶を無くした?


そしてあの日僕は見てしまった…

以前は穏やかな笑顔で接客している母親が
いつもの職場の制服姿ではなく、軍服に身を包み

無慈悲な殺人機械の如く軍団を指揮している姿を。


「何で…何でや、おかん」

母親は家族を助けようとしたのではなく
僕を含め全員を抹殺しようとしたのだ、と…

どうもこちらが「正解」のようだ。

しかし、何が目的で?

家族内に鬱積した怨恨?
それとも如何ともし難い理由が?

いずれにせよ命を奪うなどお門違いも甚だしい
それも関係のない一般市民までも。
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