夢と現実の境界線のようなモノ

みつ光男

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Ⅳ. Memories Of Desperation

【目撃者】

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 飛行機の高度が下がり
空からの映像が下方へ画面がズームになる、
僕は目を凝らしながら何を撮影しているのか確認する。

そこに映っていたのは逃げ惑う人々と
それを追いかける迷彩服や戦闘服の男、

まるで戦場だ…

そして彼らに混ざって千鳥足で闊歩する
有象無象…

これは…

あの日、僕がフェニックスホールで見た
ゾンビそのものだった。

 これはバラエティ番組の撮影なのか?
もしくは僕たちが受けている特殊訓練の実戦形式を
ゾンビに見立てた人間を使い
空から撮影してるのか、などと

様々な推測を重ねながら食い入るように映像を観ていると

逃げている人たちは明らかに一般市民
それも必死の形相。

テレビ番組の撮影でもない
特殊訓練のVTRでもない切迫感。


「ただ今から救助に当たる!地上に降りたら指示通りそれぞれの持ち場で任務を全うすること!」

誰かのアナウンスが機内に流れ
慌ただしく人の行き交う様子が映し出される。

「リーダー、これは?」

「前代未聞の事件だ、ただの立て籠り事件じゃないぞ」

「何が起きてるんですか!」

「死体だ!この街で行方不明になっていた死体が動き出してるらしい!」

「む、無理です!自分はこのような任務…」


ブチッ!

 ここで一旦映像が途切れたかと思うと
不思議な事にまるでテレビの画面と僕の体が

突如リンクするかのように一体化して
いつの間にか僕は映像の中に入り込み

その事件の"目撃者"となっていた。

 この瞬間、心の奥底に眠る意識と記憶の中で
"何か" が動き始めた。

 気づけば僕はある薄暗い建物の中を歩いていた、
先ほど空中からのカメラで見た
派手な外壁のショッピングモール

その館内を一人歩いている。

 照明が全て消され、まるで夜のような闇の中
非常灯がその仄かな緑色の明かりで
周辺を照らしている静寂の世界。

真っ暗な中を歩き始め目を凝らすと
少しずつ視界がはっきりと鮮明になってきた

無人と思われる施設内をあてもなく歩く、
まるでVRゲームを体験しているようだ。

 しかもどこかで見たことのあるような景色
僕は映像の中を彷徨さまよいながら
記憶を呼び戻す糸口を探していた、

それはまるでいつ何が襲ってきてもおかしくない
危険なサバイバルゲームをプレイしているような感覚。

建物の中は上側にバルコニーのような通路のある
体育館のような構造で

ショッピングモールと言うよりは
様々なお店が軒を並べる展示会のブースのような感じだ。

 どこか見覚えのある風景、
勝手知ったる感じで僕はを目指して歩いていた

…その時だった。
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