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Ⅳ. Memories Of Desperation

【甦る記憶の断片】

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 それでも僕は以前のような喪失感や
孤独にさいなまれる感情が薄くなっていた

なぜなら僕自身、今は一人ではないからだ
この組織に関わる誰もがが皆、
まるで家族のように接してくれていた。

しかし僕にはそれが不思議と言うか
どこか不自然に感じてならない。

何となく、ではあるのだが彼ら彼女らは
以前から僕のことを知っているのではないか?
そう思えるほどに余りにもフレンドリーなのだ。

見えない何かが全て僕と繋がっていて
知らない間に手繰り寄せられている

そんな感覚にすら陥った。

もちろんサヤカも例外ではない
元々気さくで接しやすいタイプではあるが

それだけではない何が不思議な接点を
以前から感じていた。

断片的にしか過去の記憶が残っていない現状では
何一つ確かな事実はわからないままだが

それでも何一つ違和感を覚えないほどに
サヤカを含めたみんなとは
組織の仲間としての絆が強くなっていた。

そんなある日、偶然廊下ですれ違ったサヤカに
僕はいつものように声をかけた。


「あ、サヤカちゃん、この前焼いてもらったDVDやけど、全然再生できひんねんな」

「えー、ほんまに?できてなかった?私、機械のことはさっぱりやねん」

「ファイナライズしてないとか?また時間ある時に…」

「それやったらこの後、うちに来いひん?その前にで"特殊訓練"あんねんけど」

「あ、そうなんや?オレも行かなあかんから、その後で…」

「兄さんはあの一番キツいヤツやろ?今日」

「そう!あの訓練の後は帰ったらすぐ寝てしまうくらいやから」

「ほな今日は終わったらすぐ帰る?」

「あ、大丈夫大丈夫」

「ほんまに?せっかくやから機械の操作の仕方、覚えときたいねんな。あと他にも教えてほしい事あんねん」

「確か、あの2階の部屋やね?」

「そうそう、またうちの子に噛み付かれんようにしいや」

「うちにも犬いてんのになぁ、逆に日本犬の匂いがすると噛みつかれるんやろか?」


ん・・・?


2階の部屋?サヤカの家のペット・・・
そして…サヤカの部屋の記憶?

何故微かに覚えてるんだ?

あの日だ!

「あの日」フェニックスホールで僕に触れた
サヤカの「髪の香り」が
過去の記憶をほんの一部分だけ紐解かせたのだ。

僕はサヤカと過去に
会ったことがあるのだろうか?

いつ?何処で?
そして僕のサヤカとの接点とは?

その答えもいずれ
僕自身が導き出さなくてはいけないのだろう。
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