夢と現実の境界線のようなモノ

みつ光男

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Ⅱ. 夕焼けのブランコ

【夕焼けのブランコは死の暗示】

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 " 夕焼けのブランコ " とは
この公園で日暮れまでに帰らないで

紅く夕日に照らされたブランコに乗っていると
何者かに連れ去られる、と言う

遊びに夢中で暗くなっても家に帰らない
子供たちへの戒めの意味合いも込めた

この地区に昔から伝わる都市伝説。

 アカリが襲われるのを目にしたミルカは
この場所で彼女の死を見た事を
サヤカに直接言えなかったので

その伝説になぞらえることで
何とかして伝えようと考えた
暗号的なメッセージだったようだ。

真っ赤な夕日ではなく
アカリの鮮血で染まったブランコ…

それが現代版"夕焼けのブランコ"伝説の
本来の意味だった。

そして度重なるミルカへの着信は
それを口止めしようとするカナコからの電話…
だったのだろう。

「な、何でそんな事を…」

「話す必要ないし…ミルカもあの現場見てなかったらこんな事にはならんかったのにね。
それよりこれからフェスがある会場、知ってるやろ?」

「隣町にある『フェニックスホール』…やな?」

「うちらの仲間があの場に二人の亡骸を置きに行ってん、あと何時間か経ったら2体のゾンビが会場で目覚めて…楽しみやね」

「な!何でそんな事を!」

「兄さんは知らんでええことや」

事件現場からアカリの亡骸を連れ去ったのは
間違いない、カナコだ・・・

彼女は悪の組織の一味なのだろうか?
ならば何故、アカリやミルカと繋がりが?

そしてゾンビをライブ会場に解き放つなんて…
何が目的で何を企んでいるんだ?

今はそんなことを考えている時ではない

ウィルスを注入された二人が
ゾンビとなって会場を徘徊して
甚大な事件に発展したとしたら…?

大惨事になるのは免れない。

「お、オレはどうなるんや!まさか同じウィルスを…」

「あら、兄さんもフェスが終わる頃には
きっと『な・か・ま・い・り』やで、ふふっ」

何とかしなければ!
とにかく会場に行かなければ!
誰かにこの話を伝えなければ!

僕がゾンビになってしまう前に…

この音楽フェスにはC.O.のメンバーも出演する、
僕はカナコに背を向け
大急ぎで会場へと向かった。

「兄さん…急いでも、もう無理やで」

カナコは僕を追うことすらせず
憎々しげな笑みを浮かべていた。
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