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Ⅰ. ゾンビ大会
【救世主降臨?その名はサヤカ】
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と、そこへ…
隣の壁を突き破って
一人の女性が正に室内に飛び込んできた。
「サヤカさん!」
彼女こそアンナと共にこの施設へ潜入した
"キャプテン" サヤカ。
「この人がこの組織のキャプテン、サヤカさん」
「え?・・・父さん!」
サヤカの姿を見たシオンが驚きの声を上げるが
銃の使い方を再確認していてそれどころではない僕は
「ん?どないした…?」
と、適当に切り返した。
そんな会話を遮るように
「サヤカさん、無事だったんですね!」
心配そうに駆け寄るアンナに向かって
サヤカは開口一番
「アンナ、生きてたんやな!よかった…」
サヤカは僕たちに視線を送ったその時
一瞬、安堵の表情を浮かべたように見えたが
今はそれどころではなかった。
「生存者?」
「そう…です、今のところこの二人だけ」
「そう…なんや」
このような窮地に追いやられた今、
落ち着いて会話をする気持ちの余裕など
あるはずがない。
「サヤカさん、そっちは…どうでした?」
「あかん、もう隣のショッピングモールも壊滅状態や、まさか連中の本当の狙いがあっちやったとは…」
「て、事は幹部のヤツらは…?」
「もうこの街を捨てるつもりや…いずれ街全体をヤツらの飼育場にするんやろ」
「キャプテン、例の女の子は?」
「見つけてんけど、あと一歩で…」
ショッピングモール?
イベント会場の隣に併設している
ショッピングモールは
娘モモネと妻ミユキが買い物をしている
正にその場所だ。
「って事は、モモネちゃんと母さんが!」
さっきまであんなに怯えていたシオンが
血相を変えて一人、外に飛び出した。
「少年!今は危険や!!」
「助けな!あの二人は何にも出来ずにアイツらに殺されてしまう」
「あ、待って!アンナはお父さん警護して、私はあの子のとこに…」
「俺も戦います!シオンも探さないと!」
そこから先の後の事は何一つ覚えていない・・・
気がつけば、無残な姿で横たわる
既に誰か判別すらつかない亡骸の前で
半狂乱となった僕は
後ろから誰かに羽交い絞めにされていた。
「お父さん、落ち着いてください!」
「これが…これが落ち着いてられるかー!シオンは…シオンはどこやー!」
そう連呼した事だけは辛うじて覚えていた。
一瞬我に返りふと周りを見渡してみると
煙の立ち上るショッピングモール
そこにはパトカー、消防車、救急車が
せわしなく走り回り
その周辺には血まみれで倒れる人たち
もう人間だった面影すら残していない肉片
そしてこの世の物とも思えない
腐敗臭を漂わせて徘徊する虚ろな目をした生き物
軍服のような衣服に身を包んだ男たちが
銃を乱射する光景…
それは正に地獄絵図だった。
隣の壁を突き破って
一人の女性が正に室内に飛び込んできた。
「サヤカさん!」
彼女こそアンナと共にこの施設へ潜入した
"キャプテン" サヤカ。
「この人がこの組織のキャプテン、サヤカさん」
「え?・・・父さん!」
サヤカの姿を見たシオンが驚きの声を上げるが
銃の使い方を再確認していてそれどころではない僕は
「ん?どないした…?」
と、適当に切り返した。
そんな会話を遮るように
「サヤカさん、無事だったんですね!」
心配そうに駆け寄るアンナに向かって
サヤカは開口一番
「アンナ、生きてたんやな!よかった…」
サヤカは僕たちに視線を送ったその時
一瞬、安堵の表情を浮かべたように見えたが
今はそれどころではなかった。
「生存者?」
「そう…です、今のところこの二人だけ」
「そう…なんや」
このような窮地に追いやられた今、
落ち着いて会話をする気持ちの余裕など
あるはずがない。
「サヤカさん、そっちは…どうでした?」
「あかん、もう隣のショッピングモールも壊滅状態や、まさか連中の本当の狙いがあっちやったとは…」
「て、事は幹部のヤツらは…?」
「もうこの街を捨てるつもりや…いずれ街全体をヤツらの飼育場にするんやろ」
「キャプテン、例の女の子は?」
「見つけてんけど、あと一歩で…」
ショッピングモール?
イベント会場の隣に併設している
ショッピングモールは
娘モモネと妻ミユキが買い物をしている
正にその場所だ。
「って事は、モモネちゃんと母さんが!」
さっきまであんなに怯えていたシオンが
血相を変えて一人、外に飛び出した。
「少年!今は危険や!!」
「助けな!あの二人は何にも出来ずにアイツらに殺されてしまう」
「あ、待って!アンナはお父さん警護して、私はあの子のとこに…」
「俺も戦います!シオンも探さないと!」
そこから先の後の事は何一つ覚えていない・・・
気がつけば、無残な姿で横たわる
既に誰か判別すらつかない亡骸の前で
半狂乱となった僕は
後ろから誰かに羽交い絞めにされていた。
「お父さん、落ち着いてください!」
「これが…これが落ち着いてられるかー!シオンは…シオンはどこやー!」
そう連呼した事だけは辛うじて覚えていた。
一瞬我に返りふと周りを見渡してみると
煙の立ち上るショッピングモール
そこにはパトカー、消防車、救急車が
せわしなく走り回り
その周辺には血まみれで倒れる人たち
もう人間だった面影すら残していない肉片
そしてこの世の物とも思えない
腐敗臭を漂わせて徘徊する虚ろな目をした生き物
軍服のような衣服に身を包んだ男たちが
銃を乱射する光景…
それは正に地獄絵図だった。
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