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Ⅰ. ゾンビ大会
【DEAD OR ALIVE!】
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と、なるとこの部屋を出るとそこは戦場と同じ…
僕たちもただ逃げているだけ、とは
いかなくなるだろう。
例えアンナが歴戦の猛者であろうと
1人で数10人のゾンビと戦いながら
僕たちを援護するなど無理に等しい。
「じゃオレらもここから出るためには戦わなあかんの?」
「せやな」
「…これはやっぱりほんまもんの銃やったんやな」
「銃なんか使ったことないぞ」
「安心して、撃ち方なら今から教えるから」
「いや撃ち方とかやなくて…」
「生き物を撃つことにやね…」
「大丈夫、ゾンビは死んでるやん」
「そう言う問題ちゃうねん」
アンナはペットボトルに入ったドリンクを
腰の辺りで固定して
長いストローでいつでも飲めるようにしている。
「そのドリンクは肉体強化剤みたいなのん?」
「あ、これは抹茶オーレ、私めっちゃ好きやねん」
「何じゃそりゃ」
「ええやろ」
強面の隊員アンナから笑顔がこぼれた、
何故か彼女は関西弁。
僕たちも同じ関西の人間なので
自然と親しみが沸いてきた、
だがしかし、今はそれどころではない。
ガシャーン!
ガラスが割れるような音がした。
「あかん、アイツら入ってきたな!」
突如、外から聞こえ始めた怒号と悲鳴
そして肉の裂けるような骨の砕けるような、
バキバキ、メリメリと言う異様な音と共に聞こえる
断末魔の叫び声
正に阿鼻叫喚の驚天動地。
外ではもう
既にリアル"ゾンビ大会"が始まり
何も知らない哀れな参加者が
次々と餌食となっているのが"音" だけでわかる。
ここに逃げ込んでいなければ今頃、僕とシオンも…
今まで聞いたことのないような
悲痛な叫び声を耳にしながらシオンが言う。
「これ現実なん?」
「受け入れられへんと思うけど、そうやねん」
「無理や…こんなの生き残れるわけがない!」
「私に任せて!絶対にここから助け出すから」
「うわー!俺らみんな死ぬんか?何とかならんの?」
さっきまで冷静を装っていたシオンが
突然感情を露にして取り乱した。
誰だってそうだろう
かく言う僕だって叫び出したい気持ちで
冷静さなんてとっくの前に無くなっていた。
「シオン落ち着け!俺かて信じられるかいな、こんな話」
「現実なんか、これは…ゲームちゃうんか?」
「これは現実…」
「アンナさんはスタッフ…と言うオチは?」
「ごめんな少年…これはリアルやねん」
「あぁ…死にたくない」
シオンはそう言って頭を抱えた、
それは僕とて同じ気持ちだった。
「生き残るんや、みんなと会わなあかんやろ!」
「そうや、母さん!モモネちゃん!」
それでも僕たちはアンナに続いて
最初の一歩をどうしても踏み出せないでいた。
僕たちもただ逃げているだけ、とは
いかなくなるだろう。
例えアンナが歴戦の猛者であろうと
1人で数10人のゾンビと戦いながら
僕たちを援護するなど無理に等しい。
「じゃオレらもここから出るためには戦わなあかんの?」
「せやな」
「…これはやっぱりほんまもんの銃やったんやな」
「銃なんか使ったことないぞ」
「安心して、撃ち方なら今から教えるから」
「いや撃ち方とかやなくて…」
「生き物を撃つことにやね…」
「大丈夫、ゾンビは死んでるやん」
「そう言う問題ちゃうねん」
アンナはペットボトルに入ったドリンクを
腰の辺りで固定して
長いストローでいつでも飲めるようにしている。
「そのドリンクは肉体強化剤みたいなのん?」
「あ、これは抹茶オーレ、私めっちゃ好きやねん」
「何じゃそりゃ」
「ええやろ」
強面の隊員アンナから笑顔がこぼれた、
何故か彼女は関西弁。
僕たちも同じ関西の人間なので
自然と親しみが沸いてきた、
だがしかし、今はそれどころではない。
ガシャーン!
ガラスが割れるような音がした。
「あかん、アイツら入ってきたな!」
突如、外から聞こえ始めた怒号と悲鳴
そして肉の裂けるような骨の砕けるような、
バキバキ、メリメリと言う異様な音と共に聞こえる
断末魔の叫び声
正に阿鼻叫喚の驚天動地。
外ではもう
既にリアル"ゾンビ大会"が始まり
何も知らない哀れな参加者が
次々と餌食となっているのが"音" だけでわかる。
ここに逃げ込んでいなければ今頃、僕とシオンも…
今まで聞いたことのないような
悲痛な叫び声を耳にしながらシオンが言う。
「これ現実なん?」
「受け入れられへんと思うけど、そうやねん」
「無理や…こんなの生き残れるわけがない!」
「私に任せて!絶対にここから助け出すから」
「うわー!俺らみんな死ぬんか?何とかならんの?」
さっきまで冷静を装っていたシオンが
突然感情を露にして取り乱した。
誰だってそうだろう
かく言う僕だって叫び出したい気持ちで
冷静さなんてとっくの前に無くなっていた。
「シオン落ち着け!俺かて信じられるかいな、こんな話」
「現実なんか、これは…ゲームちゃうんか?」
「これは現実…」
「アンナさんはスタッフ…と言うオチは?」
「ごめんな少年…これはリアルやねん」
「あぁ…死にたくない」
シオンはそう言って頭を抱えた、
それは僕とて同じ気持ちだった。
「生き残るんや、みんなと会わなあかんやろ!」
「そうや、母さん!モモネちゃん!」
それでも僕たちはアンナに続いて
最初の一歩をどうしても踏み出せないでいた。
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