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Ⅰ. ゾンビ大会

【謎の組織】

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 ここから逃げると言ってもこの3人で…どのように?

「私に任せとき、これでも君たちより強いから」

「モモネちゃんや母さんは大丈夫やろか?」

「え?一緒に参加してんの?」

「あ、いや、あそこのショッピングモールに」

「確証はないけど…あそこならおそらく大丈夫」

 外にいる大量のゾンビたちは恐らく
鉄格子で仕切られたこの建物の地下から
誰かが"解放"したのだろう、

アンナはそう言った。

「ほんならあの妙なコスプレのゾンビは?」

「雇われたんやろな?ほら、遠隔地で高額バイト、みたいな触れ込みで」

「かわいそうな人たちやで」

「俺らも大分かわいそうやないか」

「あはは、おもろい親子やな」

実際はこんな悠長に話している場合ではないが
そうでもしていないとどうにかなりそうな
そんな極限状態に僕たちはいた。

 しかし当然ながら僕はゾンビが働く企業など
これまで見たことも聞いたこともない
何故そこまでに大量のゾンビが必要なのか?

"労働力"と言うのはあくまでも建て前、
ある国ではゾンビを別の利用方法として
大量に引き取っているらしい。

「オレ、それネットのスレで見たことある!…人間兵器…みたいな話を」

「そうか見てもうたんか?あれは都市伝説ちゃうねん」

 こうしてその組織はによって
莫大なる巨万の富を築かんとしているのだそうだ。

しかし金に目が眩んだ首謀者の無計画さゆえ

ゾンビ達を制御できないまま
この施設が飽和状態になり

「ゾンビ屋敷」が「ゾンビタウン」へ
ゆくゆくは「ゾンビ王国」となることを
恐れた関係者の一人が

この恐るべきプランの全てを
アンナたちが所属する
もうひとつの極秘組織へと情報を漏洩し

街ごと「ゾンビ壊滅計画」の依頼が
進められている、と言う

にわかには信じがたい話。

 最初にゾンビたちを閉じ込めた組織は
この製薬会社の傘下にあると言う、
そしてその組織の反対勢力がアンナの所属する組織

「何て言う名前?俺らも知ってる組織?」

「それは…言えない」


「でも…"正義の味方"には間違いないんやろ?」

「そりゃそうやん」

そもそも彼女が何処の組織に属しているのか
それすらも一般市民はおろか

そのような組織が存在することを
政府ですら把握していないらしい

言わば "裏組織" なのだ。
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