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Ⅰ. ゾンビ大会

【地図から消えた街】

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 突如現れただったがまだ安心出来ない、
彼女がヤツらの一味である可能性だって
十分あり得るのだから。

そもそも銃を構えて威嚇しながら歩み寄ってくるなんて
明らかに尋常ではない。

「おいおい、まさかこれも " 演出 " の一環かいな?」

「いや、違うぞ、目がマジやあの人」

その時、彼女は声を荒げて僕たちを恫喝した。

「お前たち!!のか?」

「え?」

「生きているのかと聞いてるんだ!つまりは…人間なのか!?」

「は、はい!人間です!」

 僕たちが怪しい者でもゾンビでもなく 
ゲームの参加者であることを告げ

今に至る事情を話すと

「そうか、そしたらあんたらもゲーム名目の『ゾンビ計画』に参加したんやな、気の毒に」

ゲーム名目?
ゾンビ計画?

…何の事だ?

これはゲームじゃないのか?
ただのイベントではないのか?

「な、な、何のことですか!?」

 興奮気味の僕たちを刺激しないためか
その女性は究めて冷静に話し始めた。

「私の名前はアンナ、このしょーもないゾンビ計画を中止するためにある組織の一人として潜入したんやけど…」

アンナが言うにはこの施設内では極秘のプロジェクト
「人類ゾンビ化計画」が進められていると言う
にわかには信じ難い話。

 ある製薬メーカーが
生ける屍 " ゾンビ " を開発して

労働賃金の発生しない
製薬会社と企業との間で "レンタル契約" を結び

後はそのゾンビたちに無報酬で
"永遠の強制労働"をさせる
無論、企業にはゾンビのレンタル代を払わせながら。

当初はその製薬会社が葬儀社を装って
遺族に話を持ちかけ、商談が成立すると

亡くなった人を火葬したように見せかけて
高額で引き取り
ゾンビ化させる新薬を試していたらしいのだが

当然そのようなプロジェクトが
国から認可されるはずもない。

 にも関わらず、この製薬会社は無許可で
ある企業にゾンビの貸し出しを行ったため

それを知った裏世界に精通する者たちからの
ゾンビへの労働依頼が殺到した。

ゾンビの作成と手配に苦慮した結果、
"ゲーム" と称して人を集め
人間を生きたままゾンビ化させているうちに

何かしらの副作用の影響でより強力な
"ハイブリッドゾンビ"を生み出す結果となり

対応策の無い施設内の職員は
全て食い尽くされてしまった、

都会だとすぐに発覚して
このような計画は遂行出来ない。

 こうした過疎化の進む街で不定期に
"ゾンビ大会"と称したイベントを開催して
ゾンビとなる"人材" を集めている、らしい。

「それがこの施設…ってこと?」

「でもいくら田舎でもそんなのお役所が許さないんじゃ?」


「実はこの街…既に地図から存在消されてんねん」

アンナの口から衝撃の事実が明かされた。
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